異世界を中国拳法でぶん殴る! ~転生したら褐色ショタで人外で、おまけに凶悪犯罪者だったけど、前世で鍛えた中国拳法で真っ当な人生を目指します~

犬童 貞之助

文字の大きさ
137 / 273
第四章 魔導国首都ヘレネス

4-28 武術指導・斧刃脚

しおりを挟む
 竜や女神を連れての朝食後。

 もはや恒例となったアイラとカルラからの猛烈な質問攻めに対し、イルマタルはただの友達だと強弁することでやり過ごした。

 妖精の血が流れている種族──森人族のカルラは、妖精神イルマタルと話す時にどこか恐縮した雰囲気だったが……。やはり相手が自分たちの祖先を創造した神であるということを、本能的に感じ取っていたのかもしれない。

 ともあれ、彼女たちの追及からは逃れた。お次はレルヒ少年の体術指導である。

 彼は朝食が終わった時間にはもうこの宿へとやってきていたため、自由に利用できる宿の庭園(ただし破壊はNG)へと移動し、鍛錬を始めることとなった。

 高級宿というだけあって、宿の庭園は非常に広い。

 しかしあくまで庭であるため、武術の鍛錬を行えるような場所は多くない。どこもかしこも美しい木々や彫像ちょうぞう、装飾柱があるため、大きな広場というものが少ないのだ。

 そんな中でも比較的開けた場所を発見し、近くにあったテラスに曲刀たちを置いて、少年+ウィルムの指導を始める。

 とはいえ、いきなり教えていくわけにもいかない。まずは準備運動やレルヒの身体能力の確認から取り掛からなくてはならないだろう。

 というわけで、準備運動開始である。

「ほぉ~。レルヒは身体が柔らかいのな。良きかな良きかな」
「大学でも実技の授業では柔軟って結構やるんだぜー。去年はそれで、散々な目にあったからな」
「やい、ロウ。妾に関節の慣らしなど不要だ。早う始めるが良い」

 言うことを素直に聞いてくれる少年に対し、高飛車トカゲは勝手気ままだ。これで物覚えが良く戦闘センスもあるのだから、何とも指導者泣かせの存在である。

「ははっ、ロウのやつめ、ウィルムの指導に難儀しているぞ」
「ふふっ、ウィルムはよほど待ち遠しいのでしょうね。竜の姿であれば尻尾をぶんぶんと振っていたことでしょう」

 そしてギャラリーのセルケトとイルマタルは、暢気にもお喋りしている。他人事極まれりである。

 ……というかイル。レルヒが聞いているかもしれない状況で、竜だのなんだのって言うのは止めて欲しい。人の世に関心がないからって、適当が過ぎるぞ妖精神。

 多少ごたつきながらも準備運動を終え、指導へ移る。

 といっても、短い時間で教えられることなどたかが知れている。

 本格的に大陸拳法を教え込むなら、両足を開いて腰を落とす馬歩站椿まほたんとうから始めることになるが……。ただただ姿勢を保つだけの鍛錬を子供にやらせるのはこくであるし、退屈であろう。

 俺も前世において道場に入門した当初は、その退屈な鍛錬に幾度も根を上げたものだ。

 であれば、教えるのは上達の実感が伴うものであり、複雑な動きを要しない平易なものであるのが望ましい。

 更に言うなら、教える技は重大事故へとつながる可能性が少ないもの、というのが理想的だ。教えるのはあくまで護身。身を護るためのものであって、命を奪うために教えるのではない。

 この世界に魔力による身体強化という技法があるため、子供であっても高い身体能力を持つ。

 使い方を誤ってしまうことがある子供だからこそ、教える技というのはよくよく考えなければならないのだ。 

「──というわけで、今回は蹴り技の基本、下段への前蹴りを練習していきます」

「蹴りかあ。あの時のパンチかと思ったけど。まあでも、あのぐるんッ! って足を蹴るのは格好良かったし、いいか。どんな風にやるんだ?」
「期待してるところ悪いが、あの回し蹴りじゃないぞ。あれも技の一つだから、その内教えるかもだけど」

「前蹴りというと、妾の首をへし折ったあれか? 守りが薄い箇所とはいえ、凄まじい一撃だったが」
「あれでもねーよ。あれは上段に打ち込む前蹴りだし。とりあえず実演するから、見といてくれ」

 そんなわけでチョイスしたのは下段前蹴り。相手のすねや膝を蹴り込み足を封じる、極めて有効な手立てである。

 他にも肘打ちや中段突きというのも考えたが、これらは上半身の急所付近へ当たることもあるため、適切ではなかろうと判断した。

 かつて打ち込まれた太極拳の蹴りを思い出したのか首をさするウィルムと、興味深そうにこちらを見つめるレルヒ。二人から見えやすいよう正面に移動し、いざ実演。

 ほんのりと前傾姿勢をとり、軽く膝を曲げて左足を前に出し半身のように構える、大陸拳法の弓歩きゅうほの姿勢で動きを止める。

「──フッ!」

 数瞬の間を置き、歩くようにして前方へ振った逆の脚による下段前蹴り。

 上体を反らさず腰も捻らず、シンプルに打ち出す下半身への攻撃である。

「お~……?」「ほう」

 おや? と首を捻る少年に感心したように頷く美女。受講者の反応は実に対照的だ。

「今ので終わりか? すっごい地味だな……。というか、わざわざ教えてもらわなくても出来そうな気がするぞ」
「はっ。レルヒと言ったか? 試しにやってみると良い。まるで違う蹴りとなるだろうからな」

「えー本当か? まあ、ウィルム姉ちゃんがやってみろって言うなら、やってみるけどさー」

 俺が何か言う前に実践しだす二人。

 積極的なのは良いことだ。放っておかれて少し寂しいけども。

「──やッ! ……出来てるよな?」

「ふっ。案の定出来ていない」「それじゃあフニャフニャだなあ」
「えー? 本当かよ? しっかり真似たつもりなんだけど」

 レルヒの前蹴りは極めてシンプルな、脚を上げながら曲げた膝を伸ばす蹴りだった。いわゆるヤクザキックに近い蹴りだろう。

 対して、俺が先ほど放った蹴り──八極拳・斧刃脚ふじんきゃくは、内容が異なっている。

 曲げた膝を伸ばす際に蹴り脚の付け根である股関節を外旋がいせん、すなわち外側へと回し、かかとを突き刺す様に対象へとうちこむのだ。

 足裏全体で蹴るというよりは、踵の一点で打ち抜く蹴りなのである。

 そんな解説を、ゆっくりとした動作の斧刃脚を見せながら、二人へ伝えていく。

「──とまあ、そんな感じなんだけど、ウィルムはよく分かったな? 普通は見ただけで分かるものじゃないんだけど」

「へぇ~。踵で蹴るのか……意外と難しい?」
「はんっ。見抜けるのは当然だ。妾は青玉せいぎょく──」
「──あーはいはい。そうでしたね。それじゃあちょっと、ただ蹴るのと斧刃脚でどのくらい差が出るのか、実演しようか。ウィルム、適当に氷の柱を出してくれ」

 己は竜だと宣言しそうになるトカゲの言葉をさえぎり、役目を放り投げる。

 軽く褒めるとこれである。こいつには人の世での生活なんて無理だな……。

「良かろう。……こんなものでどうだ?」

 こちらが竜の人型生活について思い巡らせる間もなく、彼女は氷柱の用意を終えていた。実務に関しては非常に仕事の早い女性である。正体が竜でなければ、恐ろしく有能な女性なのだが……。

 そんな彼女の手によって生み出されたのは、一般的な家屋ほどもありそうな巨大氷塊だった。

 でけーよ!

「……まあ折角用意してくれたわけだし、これでいいか」
「うおおお!? ウィルム姉ちゃん水の精霊使いだったのか!?」
「そのようなものだ。ロウよ、妾の氷柱は言わずもがな、特別製だ。先日見せた妾の剣翼と同程度の硬度故に、全力で蹴るがよい。まあ、全力でも砕けぬかもしれんがな! はははっ!」

 よほど自信があるのか、やれるものならやってみろと高笑いと共に挑発するウィルム氏。

 剣翼と同程度って、竜鱗級の硬さってことか? 本気出しすぎだろこいつ。

「あれくらい硬いのなら全力で行くぞ。まずはレルヒがやったような、普通の前蹴りからだな」

 宣言と同時に身体強化を全開。

 力をみなぎらせ魔力をほとばしらせ、左足を踏み込んで氷柱を蹴り込む!

「──ハッ!」

「おおッ!?」「ふん」

 ごく近い位置への落雷にも似た炸裂音が響き、氷柱を構成する氷が幾らか欠片となり散りはしたものの──その氷塊には、目だった傷もヒビもない。

 正に竜鱗を彷彿とさせる硬度。ほとんど無傷である。

「……すげー音がしたぞ、ロウ。というか、衝撃で地面も揺れたし、ひょっとして、お前って物凄く強かったりする?」

「割と強いけど、それでもこの氷柱が砕けない程度の強さだな。じゃあウィルム、今のと同じやつを創ってくれ」
「傷もないようであるし、それで試しても構わんと思うがな」
「外側はそうだけど内側は結構脆くなってるかもしれないし、純粋な比較にならないし。そんなわけで頼んます」

 俺の言葉を受けて、ウィルムは再び氷柱を構築してくれた。

 金の魔力を纏った特別製の氷は連続で創れないらしいため、ひとまずこれで打ち止めとのこと。なれば全身全霊で蹴り砕いて見せようぞ。

「……」
「ごく……」「むぅ……」

 氷柱の近く、およそ足一本分の距離にまで近付き、構える。
 膝を軽く曲げ若干右半身を引いた姿勢は、一番最初に実演してみせた時と変わらない。

 呼吸を整えていざ実践。

 左足を踏み込み、右足を振るようにして蹴り上げ、膝を伸ばし踵を打ち出すと同時に、股関節を外旋。

 当たる瞬間股関節から踵までが伸びきり一本の棒と化した脚部を、更なる勢いを上乗せすべく尻の筋肉を使い加速ッ! 

「──ッ!」

 鋭く吐いた呼気と共に打ち出された踵は、氷柱に突き刺さり──くさびを打ち込むが如く氷塊に亀裂を入れ、鈍く重い衝突音を響かせた。

 結果は一目瞭然いちもくりょうぜん

 氷塊の中心ではなく下段への蹴りだったため、完全な破壊とはいかなかったが……傷一つ付かなかった先ほどとは大違いである。

 それにしても……やはり、身体能力が以前より上昇しているような気がする。

 この感覚はウィルムやエスリウと戦った後から感じられているものだが……。魔力をすっからかんになるまで使い切ったことが原因なのか、あるいは単に死にかけたことに起因するのか。

 いずれにしても、簡単に試すことは出来ない。魔力量は膨大で使い切るのは困難だし、わざわざ瀕死になるのは論外であろう。

 そうやって自身の変化についてぼんやり考えていると、快活な声で現実に引き戻される。悪い変化でもないし、この問題は棚上げしておこう。

「おおおッ!? さっきより音がショボいと思ったのに、亀裂が入ってる!?」
「……はんっ」

 竜鱗と同程度だと豪語した氷柱が砕かれご機嫌斜めとなったウィルムを脇に置き、興奮冷めやらぬ様子のレルヒに説明を加える。

「とまあ、普通に蹴るのと、この“斧刃脚”だとかなり威力が変わるわけだ。この踵の蹴りが相手の脛や膝に当たれば、まず立ち上がれなくなる。地味な蹴りだけど必殺技なんだぞ」

「いや、地味とか言って悪かった! あんなに凄い威力とは思って無かったし、普通の蹴りと全然違うなんて知らなかったし。なあ、練習するにはさっきのを素振りしたらいいのか?」
「いんや、慣れないうちは関節を痛めるかもしれないし、物を蹴った方が良いかな。骨に衝撃を与えたら、骨も強くなるし。石の人形を作るから、それを相手に身体強化状態で練習しようか」

 目を輝かせる少年用に石人形を用意した俺は、時に彼の前で実演してみせ、時にウィルムからもっと構えとごねられつつ、二人の指導をしていくのだった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました

Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である! 主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない! 旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む! 基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。 王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。

処理中です...