174 / 273
第六章 大陸震撼
6-7 説明と逃避
しおりを挟む
ヴリトラ大砂漠より帰還して二日目、その昼下がり。
超絶美少女(ただし中身は腹黒な女神)との会食を終え、現在買い物真っ最中。お相手は人型となった曲刀たち、場所は都市の東側──新市街だ。
石造りの大きな店舗が大通りに立ち並ぶ様は、都市の西側──バザールのある旧市街とは、趣が大きく異なる。
旧市街のように入り組んでいないのは当然として、強引な客引きも無ければ、ローブに身を包み獲物を探すように目をぎらつかせる怪しげな人物もいない。ボルドーがそうであったように、至極真っ当な繁華街である。
そんな目抜き通りで買い求めるは、すっかり数が無くなってしまった衣服に、砂漠で失くしてしまったバックパックや旅道具。
ヴリトラが顕れた当初異空間に放り込む暇も無かったため、旅に持って行ったものは全てサヨウナラとなったのだ。悲しい。
「──ロウ? どうかしましたか?」
「ん、他に買い足すものないかなーって考えてた」
今日の流れを軽く振り返っていると、隣を歩く目の覚めるような美少女がこちらの顔を覗き込む。我が相棒、ギルタブである。
今日も今日とて黒髪ミディアムレイヤーが麗しい彼女は、灰白色のブラウスに黒のロングスカートという、相変わらずのシンプルな出で立ちだ。
彼女は既に衣服を何着か購入しているが、身長の割に細身であるため色々と調整があるらしく、購入した服もすぐには受け取れなかったようだ。
着て回りたかったのか折角購入したのにとしばらく不満げだった彼女だが、今の服も雰囲気とよくあい似合っていると褒めると気を良くしてくれた。
同じく曲刀なサルガスが肩をすくめていたような気がするが、楽しい買い物なのだから気分は上げていかねばね。俺が気恥ずかしさを感じるだけで済むのなら安いものだ。
「服も背嚢も魔道具関連も揃えたし、残ってるのは寝具くらいか?」
そんなことを考えていると、件の人物サルガスが口を開く。
銀髪に緑青色の眼、そして長身なイケメンは、先ほど入った貴族御用達の店の衣服を華麗に着こなしていた。細かな刺繍が上品な銀灰色の衣服は、銀のイケメンにはこの上なく引き立てる。
彼はギルタブと違い、購入した服のサイズがピタリと合ったらしい。モデルみたいな細マッチョだからだろうか? 妬ましいことだ。
「もうそれくらいしか残ってないか。買い物も意外と早く終わったな」
「ふふふ、楽しい時間は短く感じると言いますからね」
「確かに、曲刀として腰にぶら下がっているよりも楽しく感じるな。人の身で見聞きしたり手で触れ足で歩くのも、中々どうして悪くない。無論、曲刀として振るわれるのが本懐だがな」
「さいでっかー」
のほほんと会話をしながらも買い物を続け、夕方には買い忘れもなく終了。曲刀へと姿を戻した彼らを身につけ宿へと戻り、その日は何事もなく平穏に終わった。
◇◆◇◆
首都ヘレネスに帰ってきてから三日目の未明。
いつもの様に短時間睡眠から目覚め、鍛錬を行うべく異空間の門を開く。
「──ぬ!」
するとそこには、枯色の長髪を靡かせた二十代半ばの優男がいた。
誰だおめー。
「ふむ、ロウか。もう飯時か?」
そしてその隣には、大槍を持っているセルケトの姿。
「おはようさん。今外は夜中だぞ。ところで、そっちにいる人ってドレイク?」
「左様。シアンら眷属たちの紹介を終え、今は我と実力を見るための手合わせをしていたのだ」
「フン。ロウといったか、貴様、このような空間に我を捕らえてどうするつもりだ?」
ウィルムやヴリトラと変わらぬガーネットの目を細くし、険のある言葉を発するドレイク。細身ながらもその圧力は健在で、滲みでる威圧感は王者のそれである。
とはいえ、俺も魔神。それも異世界の存在と混じりあい変質した、力ある存在だ。
ならば動じることなく己の言葉を伝えるべきだろう。
(……小心者なんだか図太いんだか)(戦闘中の無茶ぶりとは似ても似つきませんね)
念話が聞こえたのか眉をひそめるドレイクに、そんなものなど無かったかのように語り掛ける。
「どうするもこうするも、お前が俺を試すだとか言って殴り掛かってきたのが原因だろうが。成り行きでこの場に放置しただけで、捕らえる気なんてないよ」
「ぬう、事の発端はそうであったが……。なれば、どうする?」
「うーん、普通にお帰り願うかな。ウィルムに何か用件でもあるなら、その限りでもないけど。って、あいつの姿が見えないけど寝てるの?」
人型となったドレイクに応じる中で蒼髪の美女が居ないことに気付き、そのことを問う。
すると、不愉快そうに眉根を上げた青年から言葉が返った。
「あやつは今、貴様の眷属らと水浴び中だ。ウィルムが人の身にやつしているからと、不埒なことを考えるなよ?」
「いやいや、竜相手にそんなこと考えないって」
「なにィ? 貴様、あの美しいウィルムに魅力がないとでも言うつもりか!」
「そこまで言ってないだろ……。というか、シアンたちも一緒なのにセルケトがその中にいないのは、ちょっと珍しいな」
「我は身体の少々調子が悪くてな。ドレイクとウィルムが積もる話を崩している間、一人先に済ませたのだ」
前に素っ裸を拝み拝まれたと伝えたらこの青年は一体どのような反応をするのだろうか、と思考を脇へ逸らしていると、セルケトの口から気になる言葉が出た。
「どこか悪いのか?」
「うむ。『竜眼』で見たウィルムが言うには、我の魔力が何やら淀んでいるらしい。その影響かは判断しかねるが、時折我の核……魔石が鈍く痛むのだ」
軽く聞いてみると、思いのほか深刻な答えである。
ヴリトラに手酷くやられた彼女を回復させる際、再生するイメージを肉体だけにしていたのが悪かったのだろうか?
一時的なものなのか、あるいは負った傷が完治していないのか。
「魔石か……流石に専門外も専門外、回復魔法で治療は難しいかねえ」
「ロウに治療を頼むやもしれんが、それはティアマトに会ってからとなろう。ウィルムの見立てでは、あの者であれば我の淀んだ魔力を細部まで解析できるようであるし、原因が分かれば対処も出来よう」
「ああ、そういえばティアマトさんはやたら『眼』がいいんだっけ。そういうことなら会う算段つけてみよう」
「おい、貴様ら。さも当然のように大地竜の名を出しているが、魔物や魔神が軽々に口にしてよい名ではない」
彼女が既に対応策を打ち出していたことに安堵していると、諸々の事情を知らないドレイクが会話に割り込んできた。
「そんなこと言われてもなあ。俺たち、もうティアマトさんに会ってるし。俺なんて二回だし」
「なに? 魔神である貴様が、あの大地竜と会っているだと? どういうことだ?」
「ふぎゃッ。ちょっとちょっと、熱いから魔力引っ込めて!」
何度か会っていることを伝えると鋭い目つきを更に鋭利にさせ、産毛が焦げ付くほどの熱風を吹き散らし詰め寄ってきた。
こいつにしてもウィルムにしてもヴリトラにしても、何故竜の魔力とはこうも危険なのか。
「我の拳を生身で受ける魔神が、この程度の熱を問題とするはずがないだろうが。話を逸らさず説明せよ」
「……ごもっともで。元々はウィルムが俺にちょっかいを出してきたことが原因だったんだけどさ──」
忘れもしないウィルムとの衝撃的な出会いから、その後の処遇に魔神バロールとの会談、そしてティアマトとシュガールとの遭遇まで。
ちょくちょく質問を突っ込まれつつも駆け足で竜関連の話をしていった。
「──とまあ、そんな感じでティアマトさんと会ったわけだ。考えてみれば、お前の『炎獄』が原因みたいなもんだったな……」
「ぬう。あれはもう過ぎたことだ、捨て置け。しかしロウよ、ウィルムほどではないにしても、ティアマトも相当な魔神嫌いだ。よく二度も会い、生き永らえたものだな」
「確かに一回目は殺されるかと思ったけど、二回目は事情が事情だったからなあ。ウィルムだって死にかけてたし、同族とはいえ流石のティアマトさんも腹に据えかねた感じで、あの時俺をどうこうしようって考えはなかったみたいだよ」
琥珀色の巨竜と赤き巨竜の、尋常ならざる取っ組み合い。頂上決戦というに相応しいその戦いを脳裏に浮かべていると、枯色の青年が目の色を変えて食いついてきた。
「ウィルムが死にかけただと!? どういうことだ!」
「熱ッ。って、ヴリトラからその辺りのことを聞いてないのか。あの爺なら『儂ぁ悪くない』とか言って説明しそうにないけど……」
「ヴリトラ……。ぬう、あの琥珀竜は、汝がシュガールやウィルムを唆し手勢に加えんと画策している、としか話さなかったが。汝とあやつの間に、一体何があった?」
「マジで説明されてなかったのかよ。あいつって本当に期待を裏切らねえ奴だな」
案の定、ドレイクはクソジジイことヴリトラから碌に話を聞かされていなかったようだ。あの馬鹿って本当に火種しか撒かねえぜ。
「ざっくり話すと、俺とウィルムが旅をしてる時にヴリトラが突っかけてきて、その時にウィルムやそこで寝てるセルケトが死にかけたって感じ。で、ヴリトラと俺が戦ってたところにティアマトさんが仲裁にきたんだよ」
俺の話が退屈だったのか、セルケトは土魔法で創った寝台で横になって寛いでいる。
そんな彼女を顎で指しながら青年に事情を語れば、唸り声が返ってきた。
「ぬうぅ、あの偏屈者め。魔物や魔神はともかく、ウィルムまで殺そうとするとは。ロウよ、よくあの者を止めてくれた」
「ウィルムとは友達みたいなもんだし、あの時は本気で頭にきたからな。俺自身の衝動で動いたわけだし礼を言われるもんでも……と思ったけど、感謝の念があるのなら、もう俺に突っかかってくんなよ?」
「魔神とはいえ、多少は話せる部類であるようだからな、汝は。我ら竜属を害さない限りにおいて、敵対せぬと誓おう」
不本意だが、と暗黙のうちに示されつつも不可侵条約が締結された。
竜属を害する、という条件がどこまで適用されるのかが不安だが、そこをつつくにはまだまだ親密度が足りない。おいおい聞いていこう。
(絶対そのまま忘れるよな、お前さん)(忘れるでしょうね、ロウですから)
つつくのを先延ばしにすると、曲刀たちから痛いところを突かれてしまった。
心を読まれるというのも困ったもんだね、全く。
◇◆◇◆
丁度ドレイクと話を終えたあたりで水浴びを済ませたウィルムやシアンたちが現れ、一緒に鍛錬を行うこととなった。人化した曲刀たちも含み、大所帯での訓練である。
前世での道場稽古を思い出して郷愁に駆られながら、型に模擬戦にと訓練を続けること三時間。
俺やウィルムの動きを注視していたドレイクが、おもむろに口を開く。
「──奇怪な動きであるな。緩慢かと思えば加速し、軽捷かと思えば減速する。無駄な動きが多いように見えて、その実は致命の動きへと連なっている……」
「初見でそこまで理解できるってのは、流石竜って感じだ。ウィルムの時も思ったけど、君らって武術に造詣があるよな」
「当然であろう。我ら竜属は長き時を生きる故、手慰みに様々なことへ手を出す。多くは力ある竜に不要なものであるが、戯れには十分なのだ」
青年の言葉を受けて話を振ってみれば、人とは違う生き物らしい返事であった。
以前ウィルムから聞いたような話だが、竜の生とは結構退屈なようだ。悠久の時を生きるというのは、平々凡々な俺には想像もつかない領域である。
……うん? というか俺も魔神じゃん。俺自身の寿命はどうなっているんだろうか。
「してまたウィルムよ、おぬしは今後もこやつと行動を共にするのか?」
「技術を学び終えるまでの間、しばらくはな。妾のことが気に掛かるなら、ぬしも共に学べばよかろう。魔神なれど、ロウの技量は一見に値するぞ?」
「ぬう……」
寿命についてぼんやりと考えている内に話が飛び、いつの間にかドレイクが弟子入りしてきそうな流れになっていた。会話の最中に考え事をするのは危険である。
「いやいや、竜を二柱も面倒を見るのは流石に手に余るというか。ぶっちゃけウィルムだけでもしんどいし、眷属たちやセルケトもいるんだし」
「なに、妾の相手が面倒だと?」
「ウィルムは受け入れるというのに我は出来ぬというのか、貴様。やはり不埒な考えを有しているのではないか?」
「あがー! 魔力垂れ流しながら近寄るんじゃねえ!」
北風(衣服が凍結する極風)と太陽(皮膚を焼く灼熱)から距離をとり、彼らの言葉を検討してみる。
枯色竜ドレイク。それは言うまでもなく伝説級の存在である。
人型へ変じていても、その力は変わらず強大のままだ。
気に食わぬからと「炎獄」でもぶっ放されようものなら、異空間であれば溶岩地獄が顕現して俺の荷物を呑み尽くす。それが街中であれば、都市が溶岩の海に消えてしてしまうだろう。
結論、抱えるにはあまりにも大きな爆弾であると言えよう。
「やっぱり、パスで」
「我を受け入れぬとは、やはりウィルムとの逢瀬が目的か。よかろう、この場で塵としてくれる!」
「違うに決まってんだろうが。というか、いきなり不戦の約束を反故にしてんじゃねーよ!」
「やいロウ。貴様、妾と会うのが嫌だというのか? ならば、日頃胸や尻に向けているあの視線は何だというのだ!」
「いや、別にお前に会うのが嫌とまでは──」
「──貴様! 果然先の言葉通りではないか! ウィルムに淫猥なる視線を向けるなど、許せん!」
再び金の奔流が発生し、両側から熱風と冷風が吹き荒れた。
霜に塗れ凍結し、熱風で焦げ変色していく我が衣服。折角買い物に出かけたというのに、あんまりじゃあないですか。
「おいロウ、何とか言ったらどうだ!」「黙りこくるならば、力ずくで──」
「──はい。俺は用件済んだし、またな。さいならー」
ここは我が空間、なれば出るも入るも自由自在。
故に客人に合わせる道理なし。
そんなわけで門を構築し、罵詈雑言が聞こえる中宿の自室に戻り、門を閉じる。
三十六計逃げるに如かず──そうどこぞの将軍が言っていたし、柔弱は剛強に勝つと偉い思想家も言っていた。
つまるところ、衝突が起こると分かれば発生前に去ればよいのだ。
「あ、人化状態のサルガスやギルタブ置いてきたか。……眷属たちが飯を作れるし備蓄してる食料も十分あるし、まあいいや。とりあえず一風呂浴びてから今日の予定を考えよう」
独り言ちて現実逃避も完了。
訓練でかいた汗を流してた俺は、綺麗さっぱり新たな一日を迎えるのだった。
超絶美少女(ただし中身は腹黒な女神)との会食を終え、現在買い物真っ最中。お相手は人型となった曲刀たち、場所は都市の東側──新市街だ。
石造りの大きな店舗が大通りに立ち並ぶ様は、都市の西側──バザールのある旧市街とは、趣が大きく異なる。
旧市街のように入り組んでいないのは当然として、強引な客引きも無ければ、ローブに身を包み獲物を探すように目をぎらつかせる怪しげな人物もいない。ボルドーがそうであったように、至極真っ当な繁華街である。
そんな目抜き通りで買い求めるは、すっかり数が無くなってしまった衣服に、砂漠で失くしてしまったバックパックや旅道具。
ヴリトラが顕れた当初異空間に放り込む暇も無かったため、旅に持って行ったものは全てサヨウナラとなったのだ。悲しい。
「──ロウ? どうかしましたか?」
「ん、他に買い足すものないかなーって考えてた」
今日の流れを軽く振り返っていると、隣を歩く目の覚めるような美少女がこちらの顔を覗き込む。我が相棒、ギルタブである。
今日も今日とて黒髪ミディアムレイヤーが麗しい彼女は、灰白色のブラウスに黒のロングスカートという、相変わらずのシンプルな出で立ちだ。
彼女は既に衣服を何着か購入しているが、身長の割に細身であるため色々と調整があるらしく、購入した服もすぐには受け取れなかったようだ。
着て回りたかったのか折角購入したのにとしばらく不満げだった彼女だが、今の服も雰囲気とよくあい似合っていると褒めると気を良くしてくれた。
同じく曲刀なサルガスが肩をすくめていたような気がするが、楽しい買い物なのだから気分は上げていかねばね。俺が気恥ずかしさを感じるだけで済むのなら安いものだ。
「服も背嚢も魔道具関連も揃えたし、残ってるのは寝具くらいか?」
そんなことを考えていると、件の人物サルガスが口を開く。
銀髪に緑青色の眼、そして長身なイケメンは、先ほど入った貴族御用達の店の衣服を華麗に着こなしていた。細かな刺繍が上品な銀灰色の衣服は、銀のイケメンにはこの上なく引き立てる。
彼はギルタブと違い、購入した服のサイズがピタリと合ったらしい。モデルみたいな細マッチョだからだろうか? 妬ましいことだ。
「もうそれくらいしか残ってないか。買い物も意外と早く終わったな」
「ふふふ、楽しい時間は短く感じると言いますからね」
「確かに、曲刀として腰にぶら下がっているよりも楽しく感じるな。人の身で見聞きしたり手で触れ足で歩くのも、中々どうして悪くない。無論、曲刀として振るわれるのが本懐だがな」
「さいでっかー」
のほほんと会話をしながらも買い物を続け、夕方には買い忘れもなく終了。曲刀へと姿を戻した彼らを身につけ宿へと戻り、その日は何事もなく平穏に終わった。
◇◆◇◆
首都ヘレネスに帰ってきてから三日目の未明。
いつもの様に短時間睡眠から目覚め、鍛錬を行うべく異空間の門を開く。
「──ぬ!」
するとそこには、枯色の長髪を靡かせた二十代半ばの優男がいた。
誰だおめー。
「ふむ、ロウか。もう飯時か?」
そしてその隣には、大槍を持っているセルケトの姿。
「おはようさん。今外は夜中だぞ。ところで、そっちにいる人ってドレイク?」
「左様。シアンら眷属たちの紹介を終え、今は我と実力を見るための手合わせをしていたのだ」
「フン。ロウといったか、貴様、このような空間に我を捕らえてどうするつもりだ?」
ウィルムやヴリトラと変わらぬガーネットの目を細くし、険のある言葉を発するドレイク。細身ながらもその圧力は健在で、滲みでる威圧感は王者のそれである。
とはいえ、俺も魔神。それも異世界の存在と混じりあい変質した、力ある存在だ。
ならば動じることなく己の言葉を伝えるべきだろう。
(……小心者なんだか図太いんだか)(戦闘中の無茶ぶりとは似ても似つきませんね)
念話が聞こえたのか眉をひそめるドレイクに、そんなものなど無かったかのように語り掛ける。
「どうするもこうするも、お前が俺を試すだとか言って殴り掛かってきたのが原因だろうが。成り行きでこの場に放置しただけで、捕らえる気なんてないよ」
「ぬう、事の発端はそうであったが……。なれば、どうする?」
「うーん、普通にお帰り願うかな。ウィルムに何か用件でもあるなら、その限りでもないけど。って、あいつの姿が見えないけど寝てるの?」
人型となったドレイクに応じる中で蒼髪の美女が居ないことに気付き、そのことを問う。
すると、不愉快そうに眉根を上げた青年から言葉が返った。
「あやつは今、貴様の眷属らと水浴び中だ。ウィルムが人の身にやつしているからと、不埒なことを考えるなよ?」
「いやいや、竜相手にそんなこと考えないって」
「なにィ? 貴様、あの美しいウィルムに魅力がないとでも言うつもりか!」
「そこまで言ってないだろ……。というか、シアンたちも一緒なのにセルケトがその中にいないのは、ちょっと珍しいな」
「我は身体の少々調子が悪くてな。ドレイクとウィルムが積もる話を崩している間、一人先に済ませたのだ」
前に素っ裸を拝み拝まれたと伝えたらこの青年は一体どのような反応をするのだろうか、と思考を脇へ逸らしていると、セルケトの口から気になる言葉が出た。
「どこか悪いのか?」
「うむ。『竜眼』で見たウィルムが言うには、我の魔力が何やら淀んでいるらしい。その影響かは判断しかねるが、時折我の核……魔石が鈍く痛むのだ」
軽く聞いてみると、思いのほか深刻な答えである。
ヴリトラに手酷くやられた彼女を回復させる際、再生するイメージを肉体だけにしていたのが悪かったのだろうか?
一時的なものなのか、あるいは負った傷が完治していないのか。
「魔石か……流石に専門外も専門外、回復魔法で治療は難しいかねえ」
「ロウに治療を頼むやもしれんが、それはティアマトに会ってからとなろう。ウィルムの見立てでは、あの者であれば我の淀んだ魔力を細部まで解析できるようであるし、原因が分かれば対処も出来よう」
「ああ、そういえばティアマトさんはやたら『眼』がいいんだっけ。そういうことなら会う算段つけてみよう」
「おい、貴様ら。さも当然のように大地竜の名を出しているが、魔物や魔神が軽々に口にしてよい名ではない」
彼女が既に対応策を打ち出していたことに安堵していると、諸々の事情を知らないドレイクが会話に割り込んできた。
「そんなこと言われてもなあ。俺たち、もうティアマトさんに会ってるし。俺なんて二回だし」
「なに? 魔神である貴様が、あの大地竜と会っているだと? どういうことだ?」
「ふぎゃッ。ちょっとちょっと、熱いから魔力引っ込めて!」
何度か会っていることを伝えると鋭い目つきを更に鋭利にさせ、産毛が焦げ付くほどの熱風を吹き散らし詰め寄ってきた。
こいつにしてもウィルムにしてもヴリトラにしても、何故竜の魔力とはこうも危険なのか。
「我の拳を生身で受ける魔神が、この程度の熱を問題とするはずがないだろうが。話を逸らさず説明せよ」
「……ごもっともで。元々はウィルムが俺にちょっかいを出してきたことが原因だったんだけどさ──」
忘れもしないウィルムとの衝撃的な出会いから、その後の処遇に魔神バロールとの会談、そしてティアマトとシュガールとの遭遇まで。
ちょくちょく質問を突っ込まれつつも駆け足で竜関連の話をしていった。
「──とまあ、そんな感じでティアマトさんと会ったわけだ。考えてみれば、お前の『炎獄』が原因みたいなもんだったな……」
「ぬう。あれはもう過ぎたことだ、捨て置け。しかしロウよ、ウィルムほどではないにしても、ティアマトも相当な魔神嫌いだ。よく二度も会い、生き永らえたものだな」
「確かに一回目は殺されるかと思ったけど、二回目は事情が事情だったからなあ。ウィルムだって死にかけてたし、同族とはいえ流石のティアマトさんも腹に据えかねた感じで、あの時俺をどうこうしようって考えはなかったみたいだよ」
琥珀色の巨竜と赤き巨竜の、尋常ならざる取っ組み合い。頂上決戦というに相応しいその戦いを脳裏に浮かべていると、枯色の青年が目の色を変えて食いついてきた。
「ウィルムが死にかけただと!? どういうことだ!」
「熱ッ。って、ヴリトラからその辺りのことを聞いてないのか。あの爺なら『儂ぁ悪くない』とか言って説明しそうにないけど……」
「ヴリトラ……。ぬう、あの琥珀竜は、汝がシュガールやウィルムを唆し手勢に加えんと画策している、としか話さなかったが。汝とあやつの間に、一体何があった?」
「マジで説明されてなかったのかよ。あいつって本当に期待を裏切らねえ奴だな」
案の定、ドレイクはクソジジイことヴリトラから碌に話を聞かされていなかったようだ。あの馬鹿って本当に火種しか撒かねえぜ。
「ざっくり話すと、俺とウィルムが旅をしてる時にヴリトラが突っかけてきて、その時にウィルムやそこで寝てるセルケトが死にかけたって感じ。で、ヴリトラと俺が戦ってたところにティアマトさんが仲裁にきたんだよ」
俺の話が退屈だったのか、セルケトは土魔法で創った寝台で横になって寛いでいる。
そんな彼女を顎で指しながら青年に事情を語れば、唸り声が返ってきた。
「ぬうぅ、あの偏屈者め。魔物や魔神はともかく、ウィルムまで殺そうとするとは。ロウよ、よくあの者を止めてくれた」
「ウィルムとは友達みたいなもんだし、あの時は本気で頭にきたからな。俺自身の衝動で動いたわけだし礼を言われるもんでも……と思ったけど、感謝の念があるのなら、もう俺に突っかかってくんなよ?」
「魔神とはいえ、多少は話せる部類であるようだからな、汝は。我ら竜属を害さない限りにおいて、敵対せぬと誓おう」
不本意だが、と暗黙のうちに示されつつも不可侵条約が締結された。
竜属を害する、という条件がどこまで適用されるのかが不安だが、そこをつつくにはまだまだ親密度が足りない。おいおい聞いていこう。
(絶対そのまま忘れるよな、お前さん)(忘れるでしょうね、ロウですから)
つつくのを先延ばしにすると、曲刀たちから痛いところを突かれてしまった。
心を読まれるというのも困ったもんだね、全く。
◇◆◇◆
丁度ドレイクと話を終えたあたりで水浴びを済ませたウィルムやシアンたちが現れ、一緒に鍛錬を行うこととなった。人化した曲刀たちも含み、大所帯での訓練である。
前世での道場稽古を思い出して郷愁に駆られながら、型に模擬戦にと訓練を続けること三時間。
俺やウィルムの動きを注視していたドレイクが、おもむろに口を開く。
「──奇怪な動きであるな。緩慢かと思えば加速し、軽捷かと思えば減速する。無駄な動きが多いように見えて、その実は致命の動きへと連なっている……」
「初見でそこまで理解できるってのは、流石竜って感じだ。ウィルムの時も思ったけど、君らって武術に造詣があるよな」
「当然であろう。我ら竜属は長き時を生きる故、手慰みに様々なことへ手を出す。多くは力ある竜に不要なものであるが、戯れには十分なのだ」
青年の言葉を受けて話を振ってみれば、人とは違う生き物らしい返事であった。
以前ウィルムから聞いたような話だが、竜の生とは結構退屈なようだ。悠久の時を生きるというのは、平々凡々な俺には想像もつかない領域である。
……うん? というか俺も魔神じゃん。俺自身の寿命はどうなっているんだろうか。
「してまたウィルムよ、おぬしは今後もこやつと行動を共にするのか?」
「技術を学び終えるまでの間、しばらくはな。妾のことが気に掛かるなら、ぬしも共に学べばよかろう。魔神なれど、ロウの技量は一見に値するぞ?」
「ぬう……」
寿命についてぼんやりと考えている内に話が飛び、いつの間にかドレイクが弟子入りしてきそうな流れになっていた。会話の最中に考え事をするのは危険である。
「いやいや、竜を二柱も面倒を見るのは流石に手に余るというか。ぶっちゃけウィルムだけでもしんどいし、眷属たちやセルケトもいるんだし」
「なに、妾の相手が面倒だと?」
「ウィルムは受け入れるというのに我は出来ぬというのか、貴様。やはり不埒な考えを有しているのではないか?」
「あがー! 魔力垂れ流しながら近寄るんじゃねえ!」
北風(衣服が凍結する極風)と太陽(皮膚を焼く灼熱)から距離をとり、彼らの言葉を検討してみる。
枯色竜ドレイク。それは言うまでもなく伝説級の存在である。
人型へ変じていても、その力は変わらず強大のままだ。
気に食わぬからと「炎獄」でもぶっ放されようものなら、異空間であれば溶岩地獄が顕現して俺の荷物を呑み尽くす。それが街中であれば、都市が溶岩の海に消えてしてしまうだろう。
結論、抱えるにはあまりにも大きな爆弾であると言えよう。
「やっぱり、パスで」
「我を受け入れぬとは、やはりウィルムとの逢瀬が目的か。よかろう、この場で塵としてくれる!」
「違うに決まってんだろうが。というか、いきなり不戦の約束を反故にしてんじゃねーよ!」
「やいロウ。貴様、妾と会うのが嫌だというのか? ならば、日頃胸や尻に向けているあの視線は何だというのだ!」
「いや、別にお前に会うのが嫌とまでは──」
「──貴様! 果然先の言葉通りではないか! ウィルムに淫猥なる視線を向けるなど、許せん!」
再び金の奔流が発生し、両側から熱風と冷風が吹き荒れた。
霜に塗れ凍結し、熱風で焦げ変色していく我が衣服。折角買い物に出かけたというのに、あんまりじゃあないですか。
「おいロウ、何とか言ったらどうだ!」「黙りこくるならば、力ずくで──」
「──はい。俺は用件済んだし、またな。さいならー」
ここは我が空間、なれば出るも入るも自由自在。
故に客人に合わせる道理なし。
そんなわけで門を構築し、罵詈雑言が聞こえる中宿の自室に戻り、門を閉じる。
三十六計逃げるに如かず──そうどこぞの将軍が言っていたし、柔弱は剛強に勝つと偉い思想家も言っていた。
つまるところ、衝突が起こると分かれば発生前に去ればよいのだ。
「あ、人化状態のサルガスやギルタブ置いてきたか。……眷属たちが飯を作れるし備蓄してる食料も十分あるし、まあいいや。とりあえず一風呂浴びてから今日の予定を考えよう」
独り言ちて現実逃避も完了。
訓練でかいた汗を流してた俺は、綺麗さっぱり新たな一日を迎えるのだった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました
Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である!
主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない!
旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む!
基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。
王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる