異世界を中国拳法でぶん殴る! ~転生したら褐色ショタで人外で、おまけに凶悪犯罪者だったけど、前世で鍛えた中国拳法で真っ当な人生を目指します~

犬童 貞之助

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第六章 大陸震撼

6-8 魔導国の演習場

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 ロウが首都ヘレネスに帰ってきてから三日目、曇天どんてん

 大学の休講日となる今日、友人たちに無事帰ってきたことを伝えるべく、ロウは魔術大学へと向かっていた。

 といっても、自身の無事は共に旅をしたヤームルから伝わっているはずであり、今回は顔を見せる意味合いが強い。

 二週間ほどの長旅で、更には目的地方向で大災害も起きたのだ。少女たちのうれいはさぞかし大きいものだろう。

 であれば早めに顔を見せてあげるべきだ、と魔導国首都へ入るための待機列で語ったヤームルの言には、少年も賛同していた。

 ちなみに、昨日二日目に行動を移さなかったのは大学が講義中だったからではなく、単純に忘れていたからだ。彼の思考は非情に移ろいやすいのである。

 そんな少年だが、今日はセルケトやウィルム、それに相棒たる曲刀たちも異空間に放置しているため、非常に身軽だ。

 身なりの良い少年が武装無しで単独行動などこの世界では厄介事まっしぐらだが、そこは魔神。屋根や屋上を踏破することで、彼は人目につかず目的地までの移動を成した。

「おぉ~……休みとなると、どこの大学も人気がないもんなんだな。夏季休業中は結構人が居たのに」

 朝早い時間であり休講日でもあるからか、構内は落ち葉を掃く用務員を除くと人気が皆無だ。

 活気のないうら寂しい空間に、ふと前世での休日の大学構内を思い出す少年。

 枝葉のほのかなさんざめきやほうきが石畳を掃く響き。秋という季節を体現したような景色をひとしきり堪能して、ロウは少女たちの暮らす大学寮を目指す。

 だだっ広い構内を歩き回ること十数分、少年は賑やかな声の漏れる学生寮へ辿り着いた。

 幾何学的な装飾のほどこされた白い壁面とガラス張りの玄関口が特徴的なこの学生寮は、構内で一番大きな学生食堂も兼ねている。休日であっても活況だ。

 といってもそれは食堂付近の話であり、玄関口や受付カウンターはさほど混み合ってはいない。ロウはそちらの方へと向かい、寮に住む学生を訪ねることが出来るかどうか聞くことにした。

「おはようございます。ここの学生ではないのですが、外部の者がここの寮に住む学生を訪ねることは出来ますか?」

「あら、おはよう坊や。お兄ちゃんかお姉ちゃんを訪ねにきたのかな? 寮には入れないけど、ここへ呼び出すことは出来るよ。訪ねる人は何てお名前?」
「アイラにカルラ、ヤームルと、公国貴族のエスリウ・ジラール様です。お願いできますか?」
「あらあら、エスリウ様の親戚の方だったの? 使用人の方に確認をとるから少し時間が掛かるかもしれないけど、ちょっとだけ待っててね」

 学内でも有名なヤームルやエスリウの名が出ると、口元に手を当てて驚く職員。彼女はすぐに受付の裏へ消えいく。

 しばしの待機時間となった少年はロビーの椅子へ腰を下ろし、周囲の観察を始めた。

 楽しく同年代の学友と会話し食事を楽しむ者、一人黙々と料理を異に流し込んでいく者。時折料理を口に運びつつ、机に広げた書類に羽ペンを走らせる者。

 食事中の作法というものに制約がないのか、思い思いの過ごし方である。

「──ん? あれは……」

 学生というものはどこの世界でも変わらないものだなあ──と感慨深げに観察を続けていたロウは、ふと見知った顔を発見した。数少ない同性同年代の友人、レルヒである。

 レルヒは自身より少し年上の学友たちと一緒に食後の会話を楽しんでおり、大学生活を満喫している様子がうかがえた。

 その様子を見たロウが温かな気持ちとなっていると、少年の存在に気付いたレルヒが友人たちと別れ、彼の下へとやってきた。

「ロウ! 久しぶりだな、元気してたか?」

「元気元気。レルヒの方はどう? 休み明けで辛いとかないか?」
「開講を待ってたくらいなんだから、辛いなんてないぜー。ていうか、会っていきなり父さんみたいなこと言うなって」
「そりゃ失敬。レルヒの父さんといえば、アインハルト教授も元気してる?」
「ああ、父さんは調査から帰ってきても研究ばっかり──って、何でロウが父さんのこと知ってるんだ?」

 驚く灰髪少年に対し、黒髪少年が大砂漠へ行った時のことを得意げに話す。

 そんな時間が十分ほど続くと、ヤームルたちを呼びに行った職員や少女たちが少年たちの下へ現れた。

「おにーさんっ! お久しぶりです! レルヒ君も、おはようっ」「お久しぶりです、ロウさん!」「ふふっ、ロウ様はお変わりないようですね」

「皆さん、ご無沙汰してます。旅の最中に大災害が起きちゃいましたけど、この場にいないセルケト共々無事なんでご安心ください」
「……軽いですね、ロウさん。今更驚きませんけど」
「もう解決した事柄ですし、余計な不安を煽っちゃっても仕方がないですからね。それはそうと、エスリウ様の姿が見えませんが、お忙しい感じでしたか?」

 正体を魔神と知ったヤームルからジト目を向けられるもさらりと流したロウは、この場に姿が見えない少女について尋ねた。

「エスリウ様は公国公爵家の娘として公務につかれているようでして。エスリウ様も大災害のことで心を痛めておられましたから、直接無事を伝える機会を持った方が良いかもしれませんね」
「そうでしたか。個別の機会は……前向きに善処します」

「「「……」」」

 聞いておきながらその返答はどうなんだ? と一同の表情が微妙なものとなったが、少年が瞬く間に話を変えたため追及する機会を逸してしまった。

「まあ折角こうして再開したわけですし、魔術大学での生活のことを教えてくださいよ。ヤームルさんたちは朝食って済んでます? 済んでいないなら食べながらでもどうですか」

「私たちはもう済ませちゃいましたからね。お話は部屋で……というにはちょっと大人数ですし、どこか良いところが──」
「──やあやあヤームル! おはよう!」

「げっ」「アンテロさんだ! おはようございます!」

 ロウの提案を受けたヤームルが思案していたところで──金髪碧眼な美少年がヤーヤーと声を上げて近付いてきた。

 彼女が苦手とし、そしてレルヒが大学内でも屈指の実力者として尊敬している、サドラーズウェルズ家の寵児ちょうじ。アンテロの登場である。

「おや、レルヒ君にロウ君、おはよう。君たちもヤームルを口説いていたのかな? 中々抜け目ないね」

「いやいや、俺なんかがヤームルさんをどうこうなんて、恐れ多いです。友達のロウと話してただけですって」
「お久しぶりです、アンテロさん。大学が始まりましたけど、お変わりないですか?」
「ははは、勿論万事楽しくやっているさ。君の方はどうだい? 何やら、冒険者として長期依頼をこなしていたらしいけど」

「それが結構大変で、二日前にようやく帰ってきたばっかりなんですよね。ここの大学教授でレルヒのお父さん、アインハルト教授の調査に同行したんですけど──」
「何だか一気に騒がしくなったわね……」

 盛り上がる男性陣を眺め嘆息したヤームルが、早くも疲れたように零す朝の出来事だった。

◇◆◇◆

 彼らが立ち話を始めてから三十分ほど。

 以前ロウの実力を見たいと言っていたことを思い出したアンテロが、今こそ良い機会だと褐色少年に迫ったことで、一同は城壁外にある野外演習場へと移動した。

 魔導国の騎士たちが軍事演習も行うこの場所は、三十平方キロメートルほどの広さを持つ。

 地球の演習場でいえば、迫撃砲はくげきほう榴弾砲りゅうだんほうの射撃演習が行えるほどの広大な敷地面積を誇る、大演習場である。

 その演習場では木々が切り開かれているものの、ため池が散在しその近辺は木々も残っているため、野生動物が営巣えいそうしていた。

 武装した兵が頻繁ひんぱんに訪れるが故に魔物は少なく、魔物から逃がれ移り住んだ動物がいる故に、木々の種子の運搬や有機物の循環が起こり、演習場の環境が維持される。

 人と動植物との奇妙な共生関係で、この場は成り立っているのだ。

 さて、そんな場に移動したロウたちではあるが──。

「──申し訳ありません。本日は魔導国騎士団の軍事演習を行っておりますので、学生の皆様でもご使用になれません」

 城壁の外にまで足を運んだにもかかわらず、野外演習場は使用できない状況にあった。

 これは大砂漠で起きた虚無の魔神と琥珀竜こはくりゅうの戦いにより、大陸各地の魔物が活性化していることが原因である。

 絶大なる力を持つ者同士の戦いの余波は、大地の震動や魔力の波となって大陸全土に伝わっていた。その力におののいた魔物たちが、単独ではなく群れで行動を起こすようになったため、冒険者組合だけでは魔物に対処しきれなくなっているのだ。

 それ故、魔導国の上層部は事を重く受け止め、本来の予定を前倒しにして騎士団の演習を執り行っている。

 市民が立ち入らないよう見張っている騎士の言葉は、少年にとって実力テストから逃れる良い言い訳となる、願ってもないものだったが──。

「仕方がない。面倒だけど、戻って実験棟の方でやろうか」
「えぇ~」

 ──アンテロは逃がしてくれそうもないのだった。

「アンテロさん、今日は天気も良くありませんし、もういいんじゃないですか? ロウさんの力ってかなり常軌を逸していますし、屋内で模擬戦を行うのは危ないかもしれませんよ」

 他方、少年が力を見せたがらない理由を十分に理解しているヤームルは、彼をかばうように提案する。

「そうなのか? 実験棟は儀式魔術の実験だって出来るし、申し分のない強度だと考えていたけど」
「儀式魔術以上の精霊魔法を操りますから、ロウさんは。ね?」
「……ええ、まあ」

 何故か得意げな様子で宣言するヤームルに呆気にとられつつも、ロウは彼女に近づき小声で尋ねる。

「ちょっとちょっと、何勝手に儀式魔術以上とか言っちゃってるんですか。そんな精霊使いなんて国中探しても居ないでしょ」

「いいんですよ。実際、ロウ君はそれ以上の規模で魔法を扱えるじゃない。アンテロさんは結構粘着してくるから、ちゃんとした理由で断った方が確実なんですよ」
「粘着て。酷い言いようっすね」

 などと小声で話し合う少年少女。傍から見れば非常に親し気で、且つ怪し気である。

 それを見た少女たちは以前にも増して近い距離感に黄色い声を上げ、金髪碧眼の少年はあの孤高の人物が珍しいものだと、目を見開いて驚きを表した。

「驚いたね。ヤームルとロウ君は、随分と親しげだね? 以前会った時もそうだったけど、より親密になっているみたいだ」

「ええ、この間の旅で随分と仲良くなりましたから、ロウさんとは」

「ふわー……ヤームルさんってば、ダイタン……。カルラちゃん、どうしよう?」
「なんだか、二人とも距離が近いのに落ち着いてるし、凄くお似合いに見てきてたよう。どうしようもないかも……」
「ふふっ、あのお嬢様があれほど気を許すなんて、ロウ様も相当なやり手ですね」

「なに変なこと言ってるんですかアイシャさん。やり手も何も、話す機会が──」

 ──機会が多くとれて相手のことを知れただけだ、と少年が言い開こうとした矢先。

「「「クァアアアッ!」」」

 今にも雨が降りそうな暗い空に、甲高い奇声が木霊こだました。
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