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第八章 帝都壊乱
8-8 帝国闘技場
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「オオオォォォッ!」
「グルアアァァッ!」
響き渡る人の怒声、魔物の咆哮。
舞い踊る鮮血の飛沫に、欠けたる金属が散らす火花。
「殺せ! 死ぬ気でやれッ!」
「おい犬っころ! こっちはお前に全額かけてんだぞ!?」
「ハハハ。猩々が優勢だな」
「人の倍近い巨体を持つ上位の魔物だ。上位剣闘士といえど一対一じゃあ勝てんさ。魔法だって使うんだぞ?」
「チッ。今回は番狂わせもなしか……?」
そして、その殺し合いを囃し立てる観客たち。
すり鉢状の大闘技場は、熱気が沸騰していた。
「剣闘か。人族らしい野蛮で低俗な見世物よ」
「あの獣人の戦士は死にかけているが、誰も加勢しないのか? いやそもそも、何故このような場に魔物がいる?」
「ウィルムが言った通り、これは見世物なんだよ。人と魔物を戦わせて競わせて、それを賭けの対象にするっていうな」
俺たちがいるのは闘技場の観客席、その最上部。
魔神の痕跡探しを済ませた現在、折角きたのだからと闘技大会を観戦中である。
帝国市民でなければグラウンドに近い席を取れないとのことで、遠く離れた上階からの観戦だ。今回はそもそも満員状態のため、上階以外は空いていないようだが。
「賭けの対象? 命を懸けた闘争に見えるが」
「実際、どっちも命を懸けてると思うよ。それを丸ごと楽しむんだよ、人間ってやつは」
「魔族でもこういうのやってるね。殺し合いを求めるのは人族も魔族も変わらないみたいだ。ある意味、生きるためだけに殺す魔物より野蛮かもね……って、ネイトはもう魔神なんだっけ」
妹と一緒に幼い少女(魔神)の疑問に答えているうちに、眼下の戦いが決着へ向かう。
「ゴアアアァァァッ!」
「グッ……」
象の如き巨体がチーター並みの最高速度で駆け回る──。字面にすると凄まじいが、実際対峙する獣人の剣闘士にとっては悪夢であろう。
数十倍はくだらない体重差に、上位魔物故の強力な魔力。優れた身体能力を持つ獣人ではあるが、上位魔物という圧倒的脅威の前では焼け石に水。力関係を覆せようはずがない。
受ければ死ぬと盾を捨てて回避に徹し、大剣一つで懸命に立ち回る剣闘士だったが……彼が光明を見出す前に、赤き体毛を躍らせる魔物が奥義を放つ。
「ゴゴゴッ!」
大地を何度も殴りつけて闘技場を揺るがせて、平衡感覚を奪ってからの魔法構築。単純故に回避困難な連撃である。
拳から伝播した魔力は石の柱と化し、至る所で突き立ち林立。揺れで立てなくなっていた獣人もあえなく穿たれ磔となり──そこに止めの一撃。
成人男性を握りこめそうなほど巨大な拳でもって、魔物が相手を粉砕した。
「ゴオ゛オ゛ォーッ!」
「勝負あり! 勝者は『剣闘狩り』の猩々~!」
「いよっしゃあああッ!」「よくやったぜ猿ぅ!」「ケッ。『鬼殺し』も大した事ねえな」「あーあ。大損だぜ」
「……」
鎧や手足をひしゃげさせて吹き飛んだ獣人の男性は、石の柱を数本叩き折ったのち、壁に当たってずるりと落ちる。胸が上下しているため辛うじて生きているようだが……纏う魔力は弱弱しく、虫の息だ。
「色々事情があるんだろうけど。命懸けの戦いを娯楽にしてるってのは流石に、気分悪いな──ん?」
どうにかして治療しに行ってみるか──と考えていると、歓声や罵声の中でグラウンドの一部がせり上がる。
歌舞伎役者が奈落より現れるようにして姿を見せたのは、黄金の鎧を纏い真紅のマントを翻す騎士。新しい挑戦者のようだ。
「うおッ眩しッ」
「何あれ。悪趣味ー」
「金……いや、魔力で変質したオリハルコンか」
「美しい輝きだ。人如きが身につけるには惜しいものよ」
鎧に兜に手甲足甲、抜き放った曲刀から鞘に至るまで、現れた騎士は全てがきんきらきんである。陽光が反射しまくってめちゃんこ眩しいぞこの野郎。
「おおッ。カラブリア様だ!」「キャー! 大英雄様ー!」「カラブリア様の剣捌きが見られるのか?」「目が、目がァ!」
「お待たせしました! 本日の主役、カラブリア・エステ様のご登場です!」
割れんばかりの歓声へ向けて審判が言い放ったのは、現れた人物の素性。俺もどこかで聞いた気がするが……。
(確か、アシエラたちから聞いた名前ですね。大陸から魔を打ち払った大英雄、その再来だという騎士でしたか)
「よく覚えてんなー」
相棒の言葉で朧げな記憶が形を成した。
カラブリア・エステ。亜竜を一撃で打ち倒しただとか、素振りで城壁を破壊しただとか言われる騎士の男。
最近になって、あの大英雄ユウスケ以来の傑物だと喧伝されるようになった人物でもある。
「あの男、魔物と戦うのか? 人があれほど重装備をしては、あの素早い魔物の餌食となろうに」
「あの者は既に銀白色の魔力を滾らせている。戦うのは間違いなかろう──」
「──醜悪なる魔物よ。数々の剣闘士を屠ってきた獣よ。我が『天羽々斬』の糧となるがいい!」
ドレイクが「竜眼」で分析し終えたところで芝居がかった口上が木霊する。魔物へと歩み寄るカラブリアだ。
「グゴ……? グゴオオオ!」
名乗りと受け取ったのか挑発と認識したのかは定かでないが、戦う相手と定めたのは間違いない。大猿の魔物は牙を剥き出しにして咆哮し、魔法で岩塊を乱れ飛ばす!
「フッ──!」
魔力と腕力で打ち出される岩の弾丸に対し、黄金騎士は剣で対抗。豪速で迫るその全てを、日本刀と酷似した曲刀で薙いで切り裂き突いて抉り、切り崩す。
「グゥウ!」
信じがたい迎撃劇を見た魔物は一瞬慄き、次の瞬間地面を殴打。
先の獲物を仕留めた必殺技で、騎士の守りを崩しにかかる!
「ガガガアッ!」
闘技場が揺れに揺れ、石柱地獄が乱れ咲く。
戦闘空間を埋め尽くす魔法は逃げ場などなく、勝負は決着した、かに見えたが──。
「所詮獣か。奥の手が工夫もない力押しとはな」
──金の騎士は尖塔に刃を突き刺し、柱から垂直となって立っていた。
はためくマントや煌めく鎧に傷はなく、重装備でありながら全て避けたことが窺える。並外れているのは攻撃能力だけではないらしい。
「ロウ。何故あの男はわざわざ石の柱に張り付いている? 避けたのならさっさと反撃すればいいと、アタシは思うのだが」
「そりゃあアレだよ。ここは闘技場なわけだからさ、劇的な演出が必要なんだろう。多分」
などと少女に解説を加えているうちに、柱を蹴ったカラブリアが大猿に急迫!
「グルァ!」
「ハッ!」
振り下ろされる拳を肉薄することで躱した彼は、駆け抜けるようにして胴薙ぎ一閃。
成人男性十人分はあろうかという胴体を、真っ二つに切り分けた。
「グゴッ……」
下半身を置き去りとして倒れた大猿は、足のないことに気づかないまま起き上がろうとしたが──振り返ったカラブリアが遠間から斬撃。首を落として命を刈った。
吹き上がる血の柱に、痙攣する魔物の巨体。
それすなわち、あっという間の幕引きである。
「「「うおおぉぉぉ!」」」
「キャー! カラブリア様ー!」「こっち見てー!」「あの猩々を一撃か。噂通り……いや、以上だ」
カラブリアが剣の血糊を払うと同時に、観客席はまたも沸騰。この闘技場において彼の人気は絶大のようだ。
「やかましい連中だ。あのくらいの魔物でいい気になるとはな」
「理解に苦しむ催しよな──ん? ロウ、どうした?」
「ん。重傷を負った獣人が裏に運ばれて行ったから、周りの目を盗んで治療しに行こうかと。パパっと済ませてくるから、君らも大人しくしててなー」
「無関係の人族を治療する魔神か。アタシも魔神となったが、やはり理解ができない」
「我も解せぬところであるよ、ネイト」
「ふっ。アレは殊更変わり種だからな」
問答の最中何故か得意となるウィルムを無視して行動開始。気配を断って人垣をすり抜け、俺は興奮冷めやらぬ観客席を後にした。
◇◆◇◆
外とは異なるひんやりとした廊下を素早く抜けて、剣闘士用の区画の天井を這い回って移動する。
栄華を誇る表舞台とは対照的なまでに陰鬱極まる地下空間。薄暗く血なまぐさいこの区画は、どこか帝国そのものの暗がりを思わせる。
「──こいつはもう駄目だな。骨だけじゃなくて内側もぐちゃぐちゃだ」
「魔法薬はどーすんだ? このままだと効果が切れちまうし、使わないと無駄になっちまうぜ?」
「午後用にとっとけよ。多少効果が悪くなるだろうが、使えないこともないだろ。こいつに使って無駄にするよりマシだ」
そんな会話を行うのは、俺の真下にいる男たち。天井に張り付く俺に気づかないまま、彼らは部屋を出ていった。
「……」
光量の小さい魔道具が照らす、汚水の集合地点のような臭いが充満する室内。黒ずんだ包帯やかびた毛布、足に亀裂の入った松葉杖に硬く寝づらそうなベッド。総じて酷く汚らしい。
逆さ吊りのまま周囲を見回して分かったのは、ここが不衛生な診療所ということだった。
(これも帝国に蔓延る人間族至上主義が影響してのことかもしれませんね)
(さっきの観客にしてもそうだ。剣闘士を同胞と思ってないような罵声ばかりだったし、亜人差別は根深いのかもしれんぞ)
(かもなー。今はとにかく、あの獣人を治療しなきゃだ)
脳内会議を切り上げふわりと着地。血の泡を吐き焦点の合わない視線を彷徨わせる男性へ近づき、治療を開始する。
狼人族の身体構造なんぞ一切知らないが、大丈夫なのだろうか?──そんな疑問を抱きつつ回復魔法を構築したが、なんの瑕疵なく魔法が成立。
曲がっていた腕や足は真っ直ぐとなり、炎症で膨れ上がっていた箇所も正常化。血を吐き終えた後は呼吸も穏やかとなり、脈も問題ないようだった。
「獣人の身体なんてさっぱり分からんけど、案外どうとでもなるのな」
(随分前にウィルムを治療した時も問題ありませんでしたし、これも当然かもしれませんね。あの時のロウも、竜の肉体への知識なんてなかったでしょう?)
「それもそっかあ。案外あやふやなままでも治療できるもんなんだなー」
「……ぬ?」
「あッ」
薄暗い中ぶつかる瞳と瞳。ぼやぼやしているうちに獣人は目を覚ましてしまったようだ。
おのれギルタブ! はかりおったか!
(八つ当たりは無視するとして、どうするんですか? 瀕死の重傷を治すとなると、奇跡の秘術でも難しいでしょうし)
(お前のロウへの対応も慣れたもんだな……)
「目が覚めましたか。あまり動かない方がいいみたいですよ。まだ治って間がないみたいなので」
「なに? どういう……いや待て、俺は魔物にやられたはずじゃ!?」
疑いを拭うために声をかければ、混乱して声を上げる狼さん。
やめて! 声が反響して人がきちゃう!
「えっとですね、なんだか怪しげな神官? みたいな人がおじさんを治療していったんですよ」
「神官……ナーサティヤ教会の連中か? どうして俺を……というか坊主、お前はなんなんだ?」
「怪しい神官が気になって後をつけただけの一般人です。立ち去る神官を追おうかとも考えたんですけど、治癒の奇跡があまりにも凄かったもので。こうして呆気にとられてたんですよ」
(よくもまあぬけぬけと)
(呼吸と同じように嘘を並べやがる)
ボロクソに罵ってくる相棒たちを華麗に流し、言い訳完了。
「それではこの辺で失礼しますね。さよなら!」
「あッ、おいこら──」
「──何の騒ぎだ……ん? このガキ、どこから入りやがった」
用も済んだしオサラバしよう──そうやって身を翻したのも束の間、診療所の扉が乱暴に開かれる。先ほど獣人の治療で匙を投げた男たちだ。
「黒髪で良い身なり……貴族の子弟か? 見逃してやるからチョロチョロすんな──って、『鬼殺し』の野郎、起きてやがるのか!?」
「まさか保管庫の魔法薬、勝手に使いやがったのか!? このガキがッ!」
「うおッ。何すんだ! 魔法薬とか知らねーよ!」
言い訳する間もなく掴みかかってくる野郎どもである。俺は無罪だ!
(いや、勝手に侵入してるし有罪だろ)
(当然の成り行きだと思うのです)
野郎どもの攻撃は軽くいなせても、相棒たちの口撃は深々と突き刺さる。言葉の刃こそが真に恐ろしいのかもしれない。
「く!?」「この、動き回るな!」
さておき、おふざけはここまでだ。騒がれて応援が増えると面倒事まっしぐらだし、おじさんたちには眠ってもらうとしよう。
「なんだこの身のこなし!? 一体、何者──ッ!?」
「──哼ッ!」
掴みかかり伸びきっていた腕を絡めとり、逆手で掌打を顎へ一発。そうして吹っ飛ばした隙に、身体の内側から繰り出す回し蹴りでもう一方の男を撃破する。
「ごッ……」「グヘッ!?」
片や顎を打ち抜かれてぶっ飛びベッドに激突。片や足刀で顎を刈られてその場で失神。
これにて迎撃完了だ。
悪漢撃退に用いた技は、陳式太極拳小架砲捶・単鞭に外擺脚。
相手の攻撃を絡めとって打ち出す掌打に、蹴り上げてから切れ味鋭く足刀を叩き込む蹴り技である。
「……! 坊主お前、何者だ? 管理人どもをこうもあっさりと」
「見ての通り謎の美少年ですよ。この人たちのこと、よろしく頼みますね」
「あ、おい!」
本来の目的を終えているし、問題児たちを放置している以上長居するわけにもいかない。
心苦しい状況だが、これにてドロン!
((……))
もはや何も言う気になれない──そんな念話を浴びせられつつ、薄暗い地下道を暗躍。
騒ぎを聞きつけ集まる人々を隠形術でやり過ごしながら、俺は観客席へ舞い戻った。
「グルアアァァッ!」
響き渡る人の怒声、魔物の咆哮。
舞い踊る鮮血の飛沫に、欠けたる金属が散らす火花。
「殺せ! 死ぬ気でやれッ!」
「おい犬っころ! こっちはお前に全額かけてんだぞ!?」
「ハハハ。猩々が優勢だな」
「人の倍近い巨体を持つ上位の魔物だ。上位剣闘士といえど一対一じゃあ勝てんさ。魔法だって使うんだぞ?」
「チッ。今回は番狂わせもなしか……?」
そして、その殺し合いを囃し立てる観客たち。
すり鉢状の大闘技場は、熱気が沸騰していた。
「剣闘か。人族らしい野蛮で低俗な見世物よ」
「あの獣人の戦士は死にかけているが、誰も加勢しないのか? いやそもそも、何故このような場に魔物がいる?」
「ウィルムが言った通り、これは見世物なんだよ。人と魔物を戦わせて競わせて、それを賭けの対象にするっていうな」
俺たちがいるのは闘技場の観客席、その最上部。
魔神の痕跡探しを済ませた現在、折角きたのだからと闘技大会を観戦中である。
帝国市民でなければグラウンドに近い席を取れないとのことで、遠く離れた上階からの観戦だ。今回はそもそも満員状態のため、上階以外は空いていないようだが。
「賭けの対象? 命を懸けた闘争に見えるが」
「実際、どっちも命を懸けてると思うよ。それを丸ごと楽しむんだよ、人間ってやつは」
「魔族でもこういうのやってるね。殺し合いを求めるのは人族も魔族も変わらないみたいだ。ある意味、生きるためだけに殺す魔物より野蛮かもね……って、ネイトはもう魔神なんだっけ」
妹と一緒に幼い少女(魔神)の疑問に答えているうちに、眼下の戦いが決着へ向かう。
「ゴアアアァァァッ!」
「グッ……」
象の如き巨体がチーター並みの最高速度で駆け回る──。字面にすると凄まじいが、実際対峙する獣人の剣闘士にとっては悪夢であろう。
数十倍はくだらない体重差に、上位魔物故の強力な魔力。優れた身体能力を持つ獣人ではあるが、上位魔物という圧倒的脅威の前では焼け石に水。力関係を覆せようはずがない。
受ければ死ぬと盾を捨てて回避に徹し、大剣一つで懸命に立ち回る剣闘士だったが……彼が光明を見出す前に、赤き体毛を躍らせる魔物が奥義を放つ。
「ゴゴゴッ!」
大地を何度も殴りつけて闘技場を揺るがせて、平衡感覚を奪ってからの魔法構築。単純故に回避困難な連撃である。
拳から伝播した魔力は石の柱と化し、至る所で突き立ち林立。揺れで立てなくなっていた獣人もあえなく穿たれ磔となり──そこに止めの一撃。
成人男性を握りこめそうなほど巨大な拳でもって、魔物が相手を粉砕した。
「ゴオ゛オ゛ォーッ!」
「勝負あり! 勝者は『剣闘狩り』の猩々~!」
「いよっしゃあああッ!」「よくやったぜ猿ぅ!」「ケッ。『鬼殺し』も大した事ねえな」「あーあ。大損だぜ」
「……」
鎧や手足をひしゃげさせて吹き飛んだ獣人の男性は、石の柱を数本叩き折ったのち、壁に当たってずるりと落ちる。胸が上下しているため辛うじて生きているようだが……纏う魔力は弱弱しく、虫の息だ。
「色々事情があるんだろうけど。命懸けの戦いを娯楽にしてるってのは流石に、気分悪いな──ん?」
どうにかして治療しに行ってみるか──と考えていると、歓声や罵声の中でグラウンドの一部がせり上がる。
歌舞伎役者が奈落より現れるようにして姿を見せたのは、黄金の鎧を纏い真紅のマントを翻す騎士。新しい挑戦者のようだ。
「うおッ眩しッ」
「何あれ。悪趣味ー」
「金……いや、魔力で変質したオリハルコンか」
「美しい輝きだ。人如きが身につけるには惜しいものよ」
鎧に兜に手甲足甲、抜き放った曲刀から鞘に至るまで、現れた騎士は全てがきんきらきんである。陽光が反射しまくってめちゃんこ眩しいぞこの野郎。
「おおッ。カラブリア様だ!」「キャー! 大英雄様ー!」「カラブリア様の剣捌きが見られるのか?」「目が、目がァ!」
「お待たせしました! 本日の主役、カラブリア・エステ様のご登場です!」
割れんばかりの歓声へ向けて審判が言い放ったのは、現れた人物の素性。俺もどこかで聞いた気がするが……。
(確か、アシエラたちから聞いた名前ですね。大陸から魔を打ち払った大英雄、その再来だという騎士でしたか)
「よく覚えてんなー」
相棒の言葉で朧げな記憶が形を成した。
カラブリア・エステ。亜竜を一撃で打ち倒しただとか、素振りで城壁を破壊しただとか言われる騎士の男。
最近になって、あの大英雄ユウスケ以来の傑物だと喧伝されるようになった人物でもある。
「あの男、魔物と戦うのか? 人があれほど重装備をしては、あの素早い魔物の餌食となろうに」
「あの者は既に銀白色の魔力を滾らせている。戦うのは間違いなかろう──」
「──醜悪なる魔物よ。数々の剣闘士を屠ってきた獣よ。我が『天羽々斬』の糧となるがいい!」
ドレイクが「竜眼」で分析し終えたところで芝居がかった口上が木霊する。魔物へと歩み寄るカラブリアだ。
「グゴ……? グゴオオオ!」
名乗りと受け取ったのか挑発と認識したのかは定かでないが、戦う相手と定めたのは間違いない。大猿の魔物は牙を剥き出しにして咆哮し、魔法で岩塊を乱れ飛ばす!
「フッ──!」
魔力と腕力で打ち出される岩の弾丸に対し、黄金騎士は剣で対抗。豪速で迫るその全てを、日本刀と酷似した曲刀で薙いで切り裂き突いて抉り、切り崩す。
「グゥウ!」
信じがたい迎撃劇を見た魔物は一瞬慄き、次の瞬間地面を殴打。
先の獲物を仕留めた必殺技で、騎士の守りを崩しにかかる!
「ガガガアッ!」
闘技場が揺れに揺れ、石柱地獄が乱れ咲く。
戦闘空間を埋め尽くす魔法は逃げ場などなく、勝負は決着した、かに見えたが──。
「所詮獣か。奥の手が工夫もない力押しとはな」
──金の騎士は尖塔に刃を突き刺し、柱から垂直となって立っていた。
はためくマントや煌めく鎧に傷はなく、重装備でありながら全て避けたことが窺える。並外れているのは攻撃能力だけではないらしい。
「ロウ。何故あの男はわざわざ石の柱に張り付いている? 避けたのならさっさと反撃すればいいと、アタシは思うのだが」
「そりゃあアレだよ。ここは闘技場なわけだからさ、劇的な演出が必要なんだろう。多分」
などと少女に解説を加えているうちに、柱を蹴ったカラブリアが大猿に急迫!
「グルァ!」
「ハッ!」
振り下ろされる拳を肉薄することで躱した彼は、駆け抜けるようにして胴薙ぎ一閃。
成人男性十人分はあろうかという胴体を、真っ二つに切り分けた。
「グゴッ……」
下半身を置き去りとして倒れた大猿は、足のないことに気づかないまま起き上がろうとしたが──振り返ったカラブリアが遠間から斬撃。首を落として命を刈った。
吹き上がる血の柱に、痙攣する魔物の巨体。
それすなわち、あっという間の幕引きである。
「「「うおおぉぉぉ!」」」
「キャー! カラブリア様ー!」「こっち見てー!」「あの猩々を一撃か。噂通り……いや、以上だ」
カラブリアが剣の血糊を払うと同時に、観客席はまたも沸騰。この闘技場において彼の人気は絶大のようだ。
「やかましい連中だ。あのくらいの魔物でいい気になるとはな」
「理解に苦しむ催しよな──ん? ロウ、どうした?」
「ん。重傷を負った獣人が裏に運ばれて行ったから、周りの目を盗んで治療しに行こうかと。パパっと済ませてくるから、君らも大人しくしててなー」
「無関係の人族を治療する魔神か。アタシも魔神となったが、やはり理解ができない」
「我も解せぬところであるよ、ネイト」
「ふっ。アレは殊更変わり種だからな」
問答の最中何故か得意となるウィルムを無視して行動開始。気配を断って人垣をすり抜け、俺は興奮冷めやらぬ観客席を後にした。
◇◆◇◆
外とは異なるひんやりとした廊下を素早く抜けて、剣闘士用の区画の天井を這い回って移動する。
栄華を誇る表舞台とは対照的なまでに陰鬱極まる地下空間。薄暗く血なまぐさいこの区画は、どこか帝国そのものの暗がりを思わせる。
「──こいつはもう駄目だな。骨だけじゃなくて内側もぐちゃぐちゃだ」
「魔法薬はどーすんだ? このままだと効果が切れちまうし、使わないと無駄になっちまうぜ?」
「午後用にとっとけよ。多少効果が悪くなるだろうが、使えないこともないだろ。こいつに使って無駄にするよりマシだ」
そんな会話を行うのは、俺の真下にいる男たち。天井に張り付く俺に気づかないまま、彼らは部屋を出ていった。
「……」
光量の小さい魔道具が照らす、汚水の集合地点のような臭いが充満する室内。黒ずんだ包帯やかびた毛布、足に亀裂の入った松葉杖に硬く寝づらそうなベッド。総じて酷く汚らしい。
逆さ吊りのまま周囲を見回して分かったのは、ここが不衛生な診療所ということだった。
(これも帝国に蔓延る人間族至上主義が影響してのことかもしれませんね)
(さっきの観客にしてもそうだ。剣闘士を同胞と思ってないような罵声ばかりだったし、亜人差別は根深いのかもしれんぞ)
(かもなー。今はとにかく、あの獣人を治療しなきゃだ)
脳内会議を切り上げふわりと着地。血の泡を吐き焦点の合わない視線を彷徨わせる男性へ近づき、治療を開始する。
狼人族の身体構造なんぞ一切知らないが、大丈夫なのだろうか?──そんな疑問を抱きつつ回復魔法を構築したが、なんの瑕疵なく魔法が成立。
曲がっていた腕や足は真っ直ぐとなり、炎症で膨れ上がっていた箇所も正常化。血を吐き終えた後は呼吸も穏やかとなり、脈も問題ないようだった。
「獣人の身体なんてさっぱり分からんけど、案外どうとでもなるのな」
(随分前にウィルムを治療した時も問題ありませんでしたし、これも当然かもしれませんね。あの時のロウも、竜の肉体への知識なんてなかったでしょう?)
「それもそっかあ。案外あやふやなままでも治療できるもんなんだなー」
「……ぬ?」
「あッ」
薄暗い中ぶつかる瞳と瞳。ぼやぼやしているうちに獣人は目を覚ましてしまったようだ。
おのれギルタブ! はかりおったか!
(八つ当たりは無視するとして、どうするんですか? 瀕死の重傷を治すとなると、奇跡の秘術でも難しいでしょうし)
(お前のロウへの対応も慣れたもんだな……)
「目が覚めましたか。あまり動かない方がいいみたいですよ。まだ治って間がないみたいなので」
「なに? どういう……いや待て、俺は魔物にやられたはずじゃ!?」
疑いを拭うために声をかければ、混乱して声を上げる狼さん。
やめて! 声が反響して人がきちゃう!
「えっとですね、なんだか怪しげな神官? みたいな人がおじさんを治療していったんですよ」
「神官……ナーサティヤ教会の連中か? どうして俺を……というか坊主、お前はなんなんだ?」
「怪しい神官が気になって後をつけただけの一般人です。立ち去る神官を追おうかとも考えたんですけど、治癒の奇跡があまりにも凄かったもので。こうして呆気にとられてたんですよ」
(よくもまあぬけぬけと)
(呼吸と同じように嘘を並べやがる)
ボロクソに罵ってくる相棒たちを華麗に流し、言い訳完了。
「それではこの辺で失礼しますね。さよなら!」
「あッ、おいこら──」
「──何の騒ぎだ……ん? このガキ、どこから入りやがった」
用も済んだしオサラバしよう──そうやって身を翻したのも束の間、診療所の扉が乱暴に開かれる。先ほど獣人の治療で匙を投げた男たちだ。
「黒髪で良い身なり……貴族の子弟か? 見逃してやるからチョロチョロすんな──って、『鬼殺し』の野郎、起きてやがるのか!?」
「まさか保管庫の魔法薬、勝手に使いやがったのか!? このガキがッ!」
「うおッ。何すんだ! 魔法薬とか知らねーよ!」
言い訳する間もなく掴みかかってくる野郎どもである。俺は無罪だ!
(いや、勝手に侵入してるし有罪だろ)
(当然の成り行きだと思うのです)
野郎どもの攻撃は軽くいなせても、相棒たちの口撃は深々と突き刺さる。言葉の刃こそが真に恐ろしいのかもしれない。
「く!?」「この、動き回るな!」
さておき、おふざけはここまでだ。騒がれて応援が増えると面倒事まっしぐらだし、おじさんたちには眠ってもらうとしよう。
「なんだこの身のこなし!? 一体、何者──ッ!?」
「──哼ッ!」
掴みかかり伸びきっていた腕を絡めとり、逆手で掌打を顎へ一発。そうして吹っ飛ばした隙に、身体の内側から繰り出す回し蹴りでもう一方の男を撃破する。
「ごッ……」「グヘッ!?」
片や顎を打ち抜かれてぶっ飛びベッドに激突。片や足刀で顎を刈られてその場で失神。
これにて迎撃完了だ。
悪漢撃退に用いた技は、陳式太極拳小架砲捶・単鞭に外擺脚。
相手の攻撃を絡めとって打ち出す掌打に、蹴り上げてから切れ味鋭く足刀を叩き込む蹴り技である。
「……! 坊主お前、何者だ? 管理人どもをこうもあっさりと」
「見ての通り謎の美少年ですよ。この人たちのこと、よろしく頼みますね」
「あ、おい!」
本来の目的を終えているし、問題児たちを放置している以上長居するわけにもいかない。
心苦しい状況だが、これにてドロン!
((……))
もはや何も言う気になれない──そんな念話を浴びせられつつ、薄暗い地下道を暗躍。
騒ぎを聞きつけ集まる人々を隠形術でやり過ごしながら、俺は観客席へ舞い戻った。
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スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
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地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
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追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
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「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
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しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
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フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
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