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第八章 帝都壊乱
8-33 竜との交渉
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帝都市街の東側、その中心付近にある高級宿「水の宮殿」。
大貴族の邸宅にも匹敵するその宿の周囲には、凄まじい光景が広がっていた。
元の形が分からなくなるまで圧し潰された、赤黒い地面の染みの数々。人に獣、魔物と見られる骨の山々。
それでいて俺のいる入り口付近には、血や臓物の影すらない。恐らく魔物たちが宿へ侵入を試みる前に、有無を言わさず惨殺したのだろう。
骨と魔石だけで構成される存在──アンデッドの類は、道中一切見かけなかったが……。場所によって襲撃している魔物が違うのだろうか?
「フォカロルたちがやった、のか?」
「いえ、これは恐らく──」
「──なんや、しゃあしい婆も来たんか」
敷地内でもひときわ高い塔から飛び降り、地面をたわませて着地する小柄な老人。
「「!」」
透き通る琥珀色の長髪に、灼熱を宿すガーネットの瞳。
白布を巻き付けたような衣服と、皮膚や唇の水分が消え失せるどこまでも濃い“渇き”の気配。
「ヴリトラ……!」
ぐらりと地面を揺るがせたのは、忘れもしない最強の竜の一柱。人の街にいるはずのない、この世界の頂点だ。
こいつがいたならなるほど納得。“渇き”の権能であれば血の一滴も残らず塵となるだけだろうし。
「やはりあなたでしたか、ヴリトラ。ティアマトから知らされていたとはいえ……本当に来ているとは思ってもいませんでしたよ」
「ハッ。儂だけやのうてエレボスも来とるがな」
爺が話題に触れると同時。赤く小さなポニーテールが夜空を切り裂き地に墜ちる。
優美な着地を見せたのは赤髪の美少女。
つり上がる目尻と苛烈な意志を宿す灼熱の瞳。
真一文字に結ばれた薄い唇に、細く艶めかしい首元。
しなやかで女性的なはずの輪郭は、かえって彼女の放つ抜き身の刃の如き気配を際立たせる。
「……エレボスさんって、女の子だったんですか。渋いイケメンおじさんって印象だったんですけど……なんだか意外です」
「あん? んなわけあるかい。あやつは宿ん中で寝とるぞ」
「なははは。あてから滲み出る覇気と気品で勘違いしたんかえ? 『竜眼』を持たん身やと見ぬけんか」
話してみれば、鋭い気配が途端に霧散。聞き覚えのある口調でからからと笑う赤髪美少女である。
「この子は紅海竜ラハブですよ、ロウ。あなたの友であるウィルムやドレイクと同期になります。兄妹のようなものでしょうね」
「ああ、紅海竜さんでしたか。聞き覚えがあったのはそれでか……」
イルの説明で脳内回路が結合。かつて火山平原でやたらと絡んできた、東洋龍のような紅き竜が頭に浮かぶ。確か、海魔竜の下で暮らしていると言っていたか。
「おい。きさん、ウィルムと一緒やったんやないんか? 何をどう間違うたら婆との逢い引きになる?」
「瑞々しく美しい竜より苔むした妖精神を好むゆーんは、あてらには理解できんとこやね。まー魔神やから、あてらとは美意識が違うんかもしらん」
「……」
好き放題に述べ散らかし肩をすくめる竜たち。横柄極まるその態度に、俺の隣の美少女(最古の女神)は笑顔のままこめかみを痙攣させる。
氷点下となったのではないかと感じるほどに濃密なるプレッシャーと、渦巻き轟く風の暴威。純白の美少女から滲む怒りは天変地異だ。
「イル、おさえておさえて。瓦礫とか魔物の死骸とか、色々ぶっ飛んでますって!」
「ふぅ。まあ、竜は昔っからこうですからね……。ロウの言う通り、気にしていたらきりがないのも事実です」
「カハハ。殺ろうゆうなら構わんぞ? 妖精神。なんや消耗しとうようやし、殺ったら欠片も残らんやろうけどな」
「そんなんより、ウィルムはどーしたん? 一緒におったんやろ?」
いがみ合う二柱から視線を外し、辺りを見回す赤き少女。
身長は俺より頭半分ほど高いだろうか? 大きな目を皿にして窺う様は、最初の刺々しさが嘘のように可愛らしい。
(本っ当っ、節操がないですよね。ロウは)
(気の多い男の典型のような奴だよな。ロウは)
(失敬な。可愛いものは可愛いし、綺麗なものは綺麗なんだよ。俺自身の好意とは別物だって)
念話で飛んでくる意見を跳ね除けつつ、宿へと移動。恐々とする従業員や客たちの合間を縫う途中、ウィルムやエスリウが異空間で療養中であることを伝える。
詳細を話せとせっつく二柱をなんとか宥め、自室に到着。曲刀たちの念話で仲間を呼んでもらう。
すると我が部屋へ続々集まる面子の中に、見知らぬ老齢の男性を発見した。覇気を滲ませるヴリトラにも動じていないし、きっとこの黒髪の老人が本当の深淵竜だろう。
「お兄ちゃん、大丈夫だった? 物凄いぶつかり合いだったみたいだけど。エスリウたちはどうしたの? というか、その女だれ?」
「ロウ君、さっきの念話は一体どうや……って、血塗れじゃない!? 大丈夫なの……って、妖精神様!?」
「ロウ君についてるの、魔物の血みたいだよ? ヤームルちゃん。というかヤームルちゃんは、まだサルガスさんたちのこと知らなかったんだね」
「ロウ君は変なところで守りが固いみたいだからね。バレてないならバレないままがいいって考えてたのかも?」
「その割には念話で呼ぶという考えなしの行動をとるが……まあ、ロウだ。整合性など考えるだけ無意味というものよな」
[[──]]
等々、女性陣は早速姦しい。
名誉のためにも反論しておきたいところだが、事態は急を要する。話を始めさせて頂こう。
◇◆◇◆
「──お集まり頂きありがとうございます、皆さん。緊急事態ですので手短に行きます。まず一つ目、この場にいないウィルムやニグラス、エスリウ様について。彼女たちは現在、俺の空間で療養中です。もう治療を終えていて、命に別状はありません」
「なにィ?」「ふむ」「ウィルムがかっ!?」「……どういうことだ、ロウッ!」
「むぅ」「エスリウさんたちが……」「只事じゃないね」
動揺する面々の中で、竜たちの反応はとりわけ激しい。
強い同族意識に最強種たる自負。こうなるのも当然といえば当然だ。彼らの疑問を解消する意味でも、話を進めなければならない。
「二つ目。俺やウィルムたち、そしてここにいる妖精神を追い込んだのは件の魔神です。が、それのみならず死神や大英雄をも、奴は味方として取り込んでいました」
「「「!?」」」
「死神に……大英雄やと?」「あの大英雄か?」
「はい。魔神を征し大陸を平定した、あの大英雄です──」
身体的特徴から別人と思わしき人格、道理の外にある力まで。対峙して体感した事の全てを伝えていく。
大英雄を知るであろう古き竜たちの反応は、意外なほどに静かだ。ヴリトラなんかは笑い飛ばすと思っていただけに、文句が出ないのは肩透かしというか不気味でさえある。
「おい、魔神。おんし、ウィルムがやられんのを、黙って見とったゆーんか?」
もしかすると彼らも大英雄と一戦交えたことがあるのだろうか──と思考を飛躍させていれば、赤き少女から問いが発された。
鼻の頭に皺を寄せる竜の少女ラハブは不機嫌さを隠そうともしていない。ウィルム同様、感情表現がとても真っ直ぐだ。誰憚ることのない竜属故だろうか。
「そんなわけあるか。降魔状態じゃなかったのが災いして、知覚できないような疾さでぶった斬られたんだよ。多分、ヴリトラといい勝負な速力だった」
「うぬぅ~。ヴリトラ並みの疾さ? 俄かにゃあ信じられん……」
「フンッ。こんガキが見たんが本物の大英雄なら、儂に比肩するモンを持っとっても疑問は湧かん。アレはそんくらいに理の外におるからのう」
またしても意外なことに、俺の言葉を補強する琥珀竜。
座椅子へ深々と背を預ける彼が隣を見やれば、瞑目して佇んでいた黒髪の老人がゆっくりと語る。
「ラハブ。汝も『竜眼』で見ていよう? 我らと変わらぬ威を放つ、虹なる魔力の煌めきを。かの大英雄は汝の師、レヴィアタンの鱗を破り尾を断ったほどの豪傑。人の形をしながら神すら超えた、極限の存在なのだよ」
「レヴィアタンをかえっ!?」
海魔竜レヴィアタンといえば、最強たる竜属の中でも最硬の守りを持つ存在。彼女の尾を断つとなれば、この世のあらゆるものを両断できることだろう。ウィルムの身体や俺の触腕がぶった斬られたのも道理だったか。
「むう。レヴィアタンの竜麟といえば、我が戟でさえも断ち切るに至らなかったというのに」
「それだけの相手ってことだよ、セルケト。……さておき、最後の三つ目です。既にお気づきかもしれませんけど、現在都市全域で魔物や眷属で溢れかえっています。空間魔法を封じる結界も張られているようですから、すぐに排除というのも難しい状況です。いずれも如何にして成し遂げたのか、想像さえつきませんが……」
「はいはーい。そのことでちょっと補足があるよー」
知り得る限りの情報を話しきれば早速挙手。黒髪ツインテールな褐色美少女、我が妹フォカロルだ。
「どうぞ、フォカロル君」
「魔物の召喚に関してはアノフェレスとその眷属の仕業で間違いないね。私も竜も、呼び出す瞬間を『眼』で確認してる」
竜の大魔法が如き莫大な魔力を発して都市を鳴動させたという、桁違いの空間魔法。
俺は戦闘中だったために気が付くことが出来なかったが、前代未聞の規模だったのだそうだ。それこそ、大英雄召喚にも匹敵するほどに。
「あん魔神はこの都市中に眷属をばら撒いとったみたいやな。潜伏させとったそん連中の魔力に、寄生しとる宿主の魔力と生命力。更には、星の深奥を巡る地脈……。なんもかんも使うて、ここを“魔界”に近い状態へ組み替えた。魔に類するもん以外魔法を自在に使えんこん状況は、そんなとこやろう」
「……魔界?」
「然り。魔の領域にして魔の根源。今この地は、その魔界に近い状態だ。汝も力が横溢しているのではないか?」
古き竜たちが語ったのは予想外の言葉。まさかの魔界だ。
言われてみればなるほど納得。確かに、力が滾り気持ちが昂る感覚はあった。
ここへくるまでの道中、血で道を固めるほど魔物を殺してきたが……冷静になってみれば、普段の俺では考えられない行動である。
(……まあ、ロウはキレた時に箍が外れるし、そう不思議でもなかったが)
(一線を超えた時のロウは苛烈そのものですからね。海魔竜の時にしても、神獣の時にしても。ついさっきにしても、邪竜ニーズヘッグの蛮行に激怒していましたし)
……相棒たち曰く、考えられる行動だったらしい。
「あん? ニーズヘッグやと? あん戯け、復活しよったんか」
「ふむ? 我が『眼』にはそれらしき魔力など映らぬが」
反論が思い浮かばず閉口していると、古き竜たちが脳内会話に割り込んできた。
そういえば君たち、念話傍受できるんでしたね。気を抜くとすぐに忘れてしまう特性である。
「お知り合いでしたか。事後報告で申し訳ないですけど、クソ野郎だったんでぶちのめしました。おまけに途中で大英雄たちの横やりが入って、あっさりやられちゃったんですよね、あいつ」
「「「……」」」
簡潔に述べると一般人組が引き潮の如き反応となった。
「カハハ。アレは性根がひん曲がっとうけんのう。きさんにしたら悪うない行いやな」
「ニーズヘッグは仇敵バロールと同様、死をも乗り越える“不滅”の存在。汝が叩きのめした挙句に殺したところで、いずれ地脈より再誕する。神や魔神と諍いばかり起こす奴は、ここ万年の内に十度滅び再生しているほどだ」
「はぇ~。万年とはまた、壮大な話ですね……。ウィルムが知らない相手だったんで撃退しましたけど、そういうことなら安心です」
ドン引きしている面々とは対照的に、琥珀竜も深淵竜もさほど気にした様子がない。
前にも思ったが、彼らの同族意識というものは強いんだか弱いんだか分からないところがある。ウィルムがどうたらこうたらと怒る時もあれば、ヴリトラが叩きのめされるのは痛快だと笑い飛ばす。一貫性というものを見出せない。
アレか。人望(竜望?)によりけりということか?
「ニーズヘッグゆーんは、あても知らんな。まー世の中を飛び回っとーウィルムが知らんなら当然やけども」
「我も知らんな。太古より存在しておきながら我らが知らぬというのも、面白いものだ」
「盛り上がっているところを遮って悪いが、これからどうする?」
若き竜たちがふむふむと頷く中、幼き黒髪少女が話を戻した。俺の仲間では、このネイトが一番冷静なのかもしれん。
「そうだった。まず確認しておきたいんだけど……エレボスさんたちって、どういう目的でこちらへいらしたんですか?」
「ハッ。んなもん、儂らが調子に乗っとうきさんをしばきに──」
「──この地に発生した奇妙な魔力の調査。だがこれは、汝が相対した大英雄ユウスケの魔力で間違いなかろうな。あの傑物であれば、ティアマトが我らを二柱も遣わしたのも道理というものよ」
深淵竜曰く、大地竜ティアマトが異変を察知し自分たちを送り込んだのだという。
彼女は竜属の中でも並ぶものがいないほど「眼」が優れているというし、いち早く大英雄の復活の兆しを見たのかもしれない。
「ということは、ご協力頂ける感じで?」
「大英雄が復活しようが人の国が滅びようが、我らにとっては至極どうでもよい。助力を請われたところで動く気はおきんよ。我らが行うのはあくまで事実の確認だ」
「ですよねー」
期待はあっさり打ち砕かれた。話が分かるといってもやはり竜。本質は気ままで世の出来事に頓着しない。
されども、食い下がることはできる。
「エレボスさん。確かに貴方がたは人の世が動乱しようが滅びようがどうでもよいでしょうけど……今回のことの次第によっては、魔神が蔓延りかねませんよ。今までこそこそしていた連中も、これを機と見るかもしれません」
「ふむ」
彼ら竜属と魔神が反目しあっているというのは、この世界にきて間もない俺ですら実感している不動の事実。悠久の時を生きる彼らにとっては指摘されるまでもない事柄だろう。
「この世の頂点たる古き竜であれば、魔神など取るに足らないと思われるかもしれません。実際、貴方がたの力の前では並みの魔神では塵と変わらない。ですが、それも相手が徒党を組んだ上位魔神、更には理外の力を持つ大英雄をも従えているとなれば……」
「我らの障害となり得る、か」
「相も変わらず舌がよう回る。賢しらなガキやのう」
嫌味ばかりのクソジジイを無視し、智慧深き深淵竜の言葉を持つ。
説得の都合、大英雄が魔神に従属しているということにしたが……本当のところは分からない。
カラブリアは豊穣神を魔神と知らないようだったし、あくまで魔神を祓うことを目的としているようだった。状況によっては離反させる目もあるかもしれない。
とはいえ、こんなことは伝える必要なしである。
古き竜に脅威と思ってもらわなくちゃあならないし、何よりあいつはウィルムたちを害している。
何はともあれ叩きのめす。これは確定事項だ。
「口車に乗るようで不愉快でもあるが……大英雄は世の外にある力。この世界の頂点に立つ者として、見逃すことなどできまいな」
「ありがとうございます」
不承不承といった様子ながらも、なんとか協力の言葉を引き出すことができた。
ヴリトラとの敵対を避けるためだったが、助力まで得られたのは嬉しい誤算である。吹っ掛けてみるものだ。
曲刀たちの念話で思惑がバレそうになりながらも、俺は竜との話を詰めていった。
大貴族の邸宅にも匹敵するその宿の周囲には、凄まじい光景が広がっていた。
元の形が分からなくなるまで圧し潰された、赤黒い地面の染みの数々。人に獣、魔物と見られる骨の山々。
それでいて俺のいる入り口付近には、血や臓物の影すらない。恐らく魔物たちが宿へ侵入を試みる前に、有無を言わさず惨殺したのだろう。
骨と魔石だけで構成される存在──アンデッドの類は、道中一切見かけなかったが……。場所によって襲撃している魔物が違うのだろうか?
「フォカロルたちがやった、のか?」
「いえ、これは恐らく──」
「──なんや、しゃあしい婆も来たんか」
敷地内でもひときわ高い塔から飛び降り、地面をたわませて着地する小柄な老人。
「「!」」
透き通る琥珀色の長髪に、灼熱を宿すガーネットの瞳。
白布を巻き付けたような衣服と、皮膚や唇の水分が消え失せるどこまでも濃い“渇き”の気配。
「ヴリトラ……!」
ぐらりと地面を揺るがせたのは、忘れもしない最強の竜の一柱。人の街にいるはずのない、この世界の頂点だ。
こいつがいたならなるほど納得。“渇き”の権能であれば血の一滴も残らず塵となるだけだろうし。
「やはりあなたでしたか、ヴリトラ。ティアマトから知らされていたとはいえ……本当に来ているとは思ってもいませんでしたよ」
「ハッ。儂だけやのうてエレボスも来とるがな」
爺が話題に触れると同時。赤く小さなポニーテールが夜空を切り裂き地に墜ちる。
優美な着地を見せたのは赤髪の美少女。
つり上がる目尻と苛烈な意志を宿す灼熱の瞳。
真一文字に結ばれた薄い唇に、細く艶めかしい首元。
しなやかで女性的なはずの輪郭は、かえって彼女の放つ抜き身の刃の如き気配を際立たせる。
「……エレボスさんって、女の子だったんですか。渋いイケメンおじさんって印象だったんですけど……なんだか意外です」
「あん? んなわけあるかい。あやつは宿ん中で寝とるぞ」
「なははは。あてから滲み出る覇気と気品で勘違いしたんかえ? 『竜眼』を持たん身やと見ぬけんか」
話してみれば、鋭い気配が途端に霧散。聞き覚えのある口調でからからと笑う赤髪美少女である。
「この子は紅海竜ラハブですよ、ロウ。あなたの友であるウィルムやドレイクと同期になります。兄妹のようなものでしょうね」
「ああ、紅海竜さんでしたか。聞き覚えがあったのはそれでか……」
イルの説明で脳内回路が結合。かつて火山平原でやたらと絡んできた、東洋龍のような紅き竜が頭に浮かぶ。確か、海魔竜の下で暮らしていると言っていたか。
「おい。きさん、ウィルムと一緒やったんやないんか? 何をどう間違うたら婆との逢い引きになる?」
「瑞々しく美しい竜より苔むした妖精神を好むゆーんは、あてらには理解できんとこやね。まー魔神やから、あてらとは美意識が違うんかもしらん」
「……」
好き放題に述べ散らかし肩をすくめる竜たち。横柄極まるその態度に、俺の隣の美少女(最古の女神)は笑顔のままこめかみを痙攣させる。
氷点下となったのではないかと感じるほどに濃密なるプレッシャーと、渦巻き轟く風の暴威。純白の美少女から滲む怒りは天変地異だ。
「イル、おさえておさえて。瓦礫とか魔物の死骸とか、色々ぶっ飛んでますって!」
「ふぅ。まあ、竜は昔っからこうですからね……。ロウの言う通り、気にしていたらきりがないのも事実です」
「カハハ。殺ろうゆうなら構わんぞ? 妖精神。なんや消耗しとうようやし、殺ったら欠片も残らんやろうけどな」
「そんなんより、ウィルムはどーしたん? 一緒におったんやろ?」
いがみ合う二柱から視線を外し、辺りを見回す赤き少女。
身長は俺より頭半分ほど高いだろうか? 大きな目を皿にして窺う様は、最初の刺々しさが嘘のように可愛らしい。
(本っ当っ、節操がないですよね。ロウは)
(気の多い男の典型のような奴だよな。ロウは)
(失敬な。可愛いものは可愛いし、綺麗なものは綺麗なんだよ。俺自身の好意とは別物だって)
念話で飛んでくる意見を跳ね除けつつ、宿へと移動。恐々とする従業員や客たちの合間を縫う途中、ウィルムやエスリウが異空間で療養中であることを伝える。
詳細を話せとせっつく二柱をなんとか宥め、自室に到着。曲刀たちの念話で仲間を呼んでもらう。
すると我が部屋へ続々集まる面子の中に、見知らぬ老齢の男性を発見した。覇気を滲ませるヴリトラにも動じていないし、きっとこの黒髪の老人が本当の深淵竜だろう。
「お兄ちゃん、大丈夫だった? 物凄いぶつかり合いだったみたいだけど。エスリウたちはどうしたの? というか、その女だれ?」
「ロウ君、さっきの念話は一体どうや……って、血塗れじゃない!? 大丈夫なの……って、妖精神様!?」
「ロウ君についてるの、魔物の血みたいだよ? ヤームルちゃん。というかヤームルちゃんは、まだサルガスさんたちのこと知らなかったんだね」
「ロウ君は変なところで守りが固いみたいだからね。バレてないならバレないままがいいって考えてたのかも?」
「その割には念話で呼ぶという考えなしの行動をとるが……まあ、ロウだ。整合性など考えるだけ無意味というものよな」
[[──]]
等々、女性陣は早速姦しい。
名誉のためにも反論しておきたいところだが、事態は急を要する。話を始めさせて頂こう。
◇◆◇◆
「──お集まり頂きありがとうございます、皆さん。緊急事態ですので手短に行きます。まず一つ目、この場にいないウィルムやニグラス、エスリウ様について。彼女たちは現在、俺の空間で療養中です。もう治療を終えていて、命に別状はありません」
「なにィ?」「ふむ」「ウィルムがかっ!?」「……どういうことだ、ロウッ!」
「むぅ」「エスリウさんたちが……」「只事じゃないね」
動揺する面々の中で、竜たちの反応はとりわけ激しい。
強い同族意識に最強種たる自負。こうなるのも当然といえば当然だ。彼らの疑問を解消する意味でも、話を進めなければならない。
「二つ目。俺やウィルムたち、そしてここにいる妖精神を追い込んだのは件の魔神です。が、それのみならず死神や大英雄をも、奴は味方として取り込んでいました」
「「「!?」」」
「死神に……大英雄やと?」「あの大英雄か?」
「はい。魔神を征し大陸を平定した、あの大英雄です──」
身体的特徴から別人と思わしき人格、道理の外にある力まで。対峙して体感した事の全てを伝えていく。
大英雄を知るであろう古き竜たちの反応は、意外なほどに静かだ。ヴリトラなんかは笑い飛ばすと思っていただけに、文句が出ないのは肩透かしというか不気味でさえある。
「おい、魔神。おんし、ウィルムがやられんのを、黙って見とったゆーんか?」
もしかすると彼らも大英雄と一戦交えたことがあるのだろうか──と思考を飛躍させていれば、赤き少女から問いが発された。
鼻の頭に皺を寄せる竜の少女ラハブは不機嫌さを隠そうともしていない。ウィルム同様、感情表現がとても真っ直ぐだ。誰憚ることのない竜属故だろうか。
「そんなわけあるか。降魔状態じゃなかったのが災いして、知覚できないような疾さでぶった斬られたんだよ。多分、ヴリトラといい勝負な速力だった」
「うぬぅ~。ヴリトラ並みの疾さ? 俄かにゃあ信じられん……」
「フンッ。こんガキが見たんが本物の大英雄なら、儂に比肩するモンを持っとっても疑問は湧かん。アレはそんくらいに理の外におるからのう」
またしても意外なことに、俺の言葉を補強する琥珀竜。
座椅子へ深々と背を預ける彼が隣を見やれば、瞑目して佇んでいた黒髪の老人がゆっくりと語る。
「ラハブ。汝も『竜眼』で見ていよう? 我らと変わらぬ威を放つ、虹なる魔力の煌めきを。かの大英雄は汝の師、レヴィアタンの鱗を破り尾を断ったほどの豪傑。人の形をしながら神すら超えた、極限の存在なのだよ」
「レヴィアタンをかえっ!?」
海魔竜レヴィアタンといえば、最強たる竜属の中でも最硬の守りを持つ存在。彼女の尾を断つとなれば、この世のあらゆるものを両断できることだろう。ウィルムの身体や俺の触腕がぶった斬られたのも道理だったか。
「むう。レヴィアタンの竜麟といえば、我が戟でさえも断ち切るに至らなかったというのに」
「それだけの相手ってことだよ、セルケト。……さておき、最後の三つ目です。既にお気づきかもしれませんけど、現在都市全域で魔物や眷属で溢れかえっています。空間魔法を封じる結界も張られているようですから、すぐに排除というのも難しい状況です。いずれも如何にして成し遂げたのか、想像さえつきませんが……」
「はいはーい。そのことでちょっと補足があるよー」
知り得る限りの情報を話しきれば早速挙手。黒髪ツインテールな褐色美少女、我が妹フォカロルだ。
「どうぞ、フォカロル君」
「魔物の召喚に関してはアノフェレスとその眷属の仕業で間違いないね。私も竜も、呼び出す瞬間を『眼』で確認してる」
竜の大魔法が如き莫大な魔力を発して都市を鳴動させたという、桁違いの空間魔法。
俺は戦闘中だったために気が付くことが出来なかったが、前代未聞の規模だったのだそうだ。それこそ、大英雄召喚にも匹敵するほどに。
「あん魔神はこの都市中に眷属をばら撒いとったみたいやな。潜伏させとったそん連中の魔力に、寄生しとる宿主の魔力と生命力。更には、星の深奥を巡る地脈……。なんもかんも使うて、ここを“魔界”に近い状態へ組み替えた。魔に類するもん以外魔法を自在に使えんこん状況は、そんなとこやろう」
「……魔界?」
「然り。魔の領域にして魔の根源。今この地は、その魔界に近い状態だ。汝も力が横溢しているのではないか?」
古き竜たちが語ったのは予想外の言葉。まさかの魔界だ。
言われてみればなるほど納得。確かに、力が滾り気持ちが昂る感覚はあった。
ここへくるまでの道中、血で道を固めるほど魔物を殺してきたが……冷静になってみれば、普段の俺では考えられない行動である。
(……まあ、ロウはキレた時に箍が外れるし、そう不思議でもなかったが)
(一線を超えた時のロウは苛烈そのものですからね。海魔竜の時にしても、神獣の時にしても。ついさっきにしても、邪竜ニーズヘッグの蛮行に激怒していましたし)
……相棒たち曰く、考えられる行動だったらしい。
「あん? ニーズヘッグやと? あん戯け、復活しよったんか」
「ふむ? 我が『眼』にはそれらしき魔力など映らぬが」
反論が思い浮かばず閉口していると、古き竜たちが脳内会話に割り込んできた。
そういえば君たち、念話傍受できるんでしたね。気を抜くとすぐに忘れてしまう特性である。
「お知り合いでしたか。事後報告で申し訳ないですけど、クソ野郎だったんでぶちのめしました。おまけに途中で大英雄たちの横やりが入って、あっさりやられちゃったんですよね、あいつ」
「「「……」」」
簡潔に述べると一般人組が引き潮の如き反応となった。
「カハハ。アレは性根がひん曲がっとうけんのう。きさんにしたら悪うない行いやな」
「ニーズヘッグは仇敵バロールと同様、死をも乗り越える“不滅”の存在。汝が叩きのめした挙句に殺したところで、いずれ地脈より再誕する。神や魔神と諍いばかり起こす奴は、ここ万年の内に十度滅び再生しているほどだ」
「はぇ~。万年とはまた、壮大な話ですね……。ウィルムが知らない相手だったんで撃退しましたけど、そういうことなら安心です」
ドン引きしている面々とは対照的に、琥珀竜も深淵竜もさほど気にした様子がない。
前にも思ったが、彼らの同族意識というものは強いんだか弱いんだか分からないところがある。ウィルムがどうたらこうたらと怒る時もあれば、ヴリトラが叩きのめされるのは痛快だと笑い飛ばす。一貫性というものを見出せない。
アレか。人望(竜望?)によりけりということか?
「ニーズヘッグゆーんは、あても知らんな。まー世の中を飛び回っとーウィルムが知らんなら当然やけども」
「我も知らんな。太古より存在しておきながら我らが知らぬというのも、面白いものだ」
「盛り上がっているところを遮って悪いが、これからどうする?」
若き竜たちがふむふむと頷く中、幼き黒髪少女が話を戻した。俺の仲間では、このネイトが一番冷静なのかもしれん。
「そうだった。まず確認しておきたいんだけど……エレボスさんたちって、どういう目的でこちらへいらしたんですか?」
「ハッ。んなもん、儂らが調子に乗っとうきさんをしばきに──」
「──この地に発生した奇妙な魔力の調査。だがこれは、汝が相対した大英雄ユウスケの魔力で間違いなかろうな。あの傑物であれば、ティアマトが我らを二柱も遣わしたのも道理というものよ」
深淵竜曰く、大地竜ティアマトが異変を察知し自分たちを送り込んだのだという。
彼女は竜属の中でも並ぶものがいないほど「眼」が優れているというし、いち早く大英雄の復活の兆しを見たのかもしれない。
「ということは、ご協力頂ける感じで?」
「大英雄が復活しようが人の国が滅びようが、我らにとっては至極どうでもよい。助力を請われたところで動く気はおきんよ。我らが行うのはあくまで事実の確認だ」
「ですよねー」
期待はあっさり打ち砕かれた。話が分かるといってもやはり竜。本質は気ままで世の出来事に頓着しない。
されども、食い下がることはできる。
「エレボスさん。確かに貴方がたは人の世が動乱しようが滅びようがどうでもよいでしょうけど……今回のことの次第によっては、魔神が蔓延りかねませんよ。今までこそこそしていた連中も、これを機と見るかもしれません」
「ふむ」
彼ら竜属と魔神が反目しあっているというのは、この世界にきて間もない俺ですら実感している不動の事実。悠久の時を生きる彼らにとっては指摘されるまでもない事柄だろう。
「この世の頂点たる古き竜であれば、魔神など取るに足らないと思われるかもしれません。実際、貴方がたの力の前では並みの魔神では塵と変わらない。ですが、それも相手が徒党を組んだ上位魔神、更には理外の力を持つ大英雄をも従えているとなれば……」
「我らの障害となり得る、か」
「相も変わらず舌がよう回る。賢しらなガキやのう」
嫌味ばかりのクソジジイを無視し、智慧深き深淵竜の言葉を持つ。
説得の都合、大英雄が魔神に従属しているということにしたが……本当のところは分からない。
カラブリアは豊穣神を魔神と知らないようだったし、あくまで魔神を祓うことを目的としているようだった。状況によっては離反させる目もあるかもしれない。
とはいえ、こんなことは伝える必要なしである。
古き竜に脅威と思ってもらわなくちゃあならないし、何よりあいつはウィルムたちを害している。
何はともあれ叩きのめす。これは確定事項だ。
「口車に乗るようで不愉快でもあるが……大英雄は世の外にある力。この世界の頂点に立つ者として、見逃すことなどできまいな」
「ありがとうございます」
不承不承といった様子ながらも、なんとか協力の言葉を引き出すことができた。
ヴリトラとの敵対を避けるためだったが、助力まで得られたのは嬉しい誤算である。吹っ掛けてみるものだ。
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