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りさの異変
しおりを挟む——1年後
学校を終えたりさは、迎えに来た蒼の車に乗り込んだ。
蒼「おかえり、りさ」
りさ「ただいま……」
蒼「りさどうした?具合悪い?」
りさ「お腹痛い……」
蒼「お腹?いつから痛いの?」
りさ「昨日から」
蒼「なんで早く言わないの……どのくらい痛い?我慢できないくらい痛む?」
りさ「我慢はできるけど、なんか下の方がずっと痛い」
蒼「……りさ、もしかして生理始まった?」
蒼は、前に楓が話していたことを思い出す。
りさ「ち、違う。ま、まだだよ……それは……」
蒼「りさ?恥ずかしがることじゃないよ。正直に言ってごらん?」
りさ「本当に違う。その、わたしはまだだから……」
蒼「わかった。とりあえず、病院で診てみよう」
りさ「病院は行きたくない。この前も同じことあったけど2、3日すれば治ったし……」
蒼「前もあったなら、なおさら診てみないとダメだ。このまま行くよ」
そう言って、蒼は病院へと車を走らせた。
病院に着くと、蒼はりさを特別室へ連れて行き、ベッドで横にならせると、
蒼「りさごめんな。ちょっとここで待っててな」
と言って、蒼はどこかへ電話をかける。
蒼「あ、ごめん。今日って時間ある?遅くなってもいいんだけど……うん、そう。りさのことで……」
電話の相手は蓮だった。
蒼「わかった。それじゃあ20時に連れて行く。あとでな」
りさ「先生……?」
蒼「りさ、20時になったら蓮が検査してくれるって。とりあえず着替えようか」
りさ「検査……?なにするの?先生じゃないの?」
りさはどんな検査をされるのか、どうして蒼が検査しないのか。
不安で涙目になっていた。
蒼「りさ、聞いて。お腹痛いの昨日から続いてるし、前にもあったって言ってたでしょ?だから、念のためにね、今日は蓮に診てもらおう」
りさ「やだ……怖いよ……」
蒼「大丈夫。先生も一緒にいるから」
そして、20時になり、2人は蓮の診察室にやってきた。
蓮「いらっしゃい」
蒼「悪いな。急にお願いして。ほら、りさ」
りさは蒼の白衣をぎゅっと掴んで立っている。
蓮「りさ~。にぃにのこと怖いの?」
りさ「にぃには怖くない……」
蓮「じゃあ、こっちおいで」
りさは蓮に手を引かれて椅子に座った。
蓮「前に同じようにお腹痛くなったのはいつ頃だった?」
りさ「うーんと……2ヶ月くらい前だったかな」
蓮「どの辺?どんなふうに痛い?」
りさは子宮の辺りに手を置く。
りさ「ここらへんが、チクチクするような、ジンジンするような、ズーンとするような……」
蓮「うん、大丈夫だよ。ありがとう。じゃあ、今から診ていくから、パンツ脱いで奥のベッドに横になってくれる?」
りさ「え……?なんで、パ、パンツ脱ぐの……?」
りさの頭はパニック状態。
蓮「今から2つの検査をするんだけど、まずはエコーでお腹をみて、次に内診ってわかるかな?りさの膣の状態をみるからね」
蒼「ほら、りさ行くよ」
蒼はわけがわからず放心状態のりさを奥の部屋へ連れて行った。
蒼「なにモジモジしてんの?パンツ脱がせてあげようか?」
りさ「じ、自分で脱げるっ……!」
蒼「よし。じゃあ先生向こうで待ってるから、脱いだらベッドに上がるんだよ」
蒼がカーテンを閉めると、りさはパンツを脱いでベッドに横になった。
蓮「りさ~?準備できた~?」
蓮「はぃ……」
りさが返事をすると、蓮と蒼がカーテンを開けて入ってくる。
蓮「ちょっと服めくるよ~」
そう言うと、蓮はりさの脚元をタオルで覆って、お腹が見えるようにガウンの前を開けた。
りさ「やっ、やだっ……」
蓮「大丈夫。お腹しか見えてないから。タオル掛けてるでしょ?」
りさ「に、にぃにっ……」
りさは恥ずかしさで顔が真っ赤になる。
蓮「りさ、今からエコーでお腹みるからね。痛くないから、緊張しないで大丈夫だよ。まずはジェルのせるね~」
蓮はりさのお腹の上にジェルをのせると、機械をお腹に当てゆっくりと動かした。
ビクッ……
冷たいのと、少しくすぐったいのと怖いのと……
りさはぎゅっと目を閉じる。
蓮「りさ~大丈夫~?すぐ終わるからもうちょっと待ってね~」
蓮はいつも通りの明るい口調で声をかける。
すると、蓮は手を止めて、蒼に画面を見るよう目で合図した。
蓮「りさ~、ちょっとくすぐったいかな~?もうちょっと我慢してね~」
りさが不安にならないよう声をかけながら、蓮は気になる箇所をいくつか写真に記録していく。
蓮「はい。終わり~」
エコーが終わると、蓮が機械を片づけて、蒼はその間にりさのジェルを拭き取った。
蓮「じゃあ、次はベッド動かすからね。そのまま動かないでじっとしててね」
そう言うと、蓮はりさの脚を外側へ少しずらしてベッドを動かすスイッチを押した。
すると、ベッドの脚元がどんどん開き、りさが大股を開いたところで止まった。
りさ「いやっ……お、降りるぅぅ……」
りさはこの突然の格好に、恥ずかしさとこれから何が起こるかわからない恐怖に泣き出した。
蓮「りさ~、まだ何もしてないから泣かないで~」
と言いながら、蓮は手に手袋をはめる。
りさ「うぅ……怖い……もぅ帰る……うぅ……」
蒼「りさ?すぐ終わるからちょっとだけ我慢しよう。ね?」
蒼はりさの横に立ち、手を握って頭を撫でながら声をかけた。
蓮「そうそう、大丈夫だよ~。すぐ終わるから、今からにぃにの言うとおりにしてね。まずは、ゆ~っくり深呼吸して、力抜いてみて~」
りさは蓮の言うとおりになんとか深呼吸を繰り返す。
蓮「そうそう、そのままね~」
すると、蓮はりさの秘部を指で押し広げた。
りさ「んっ……ぃやっ、やだぁ……にぃにやめてっ……」
蒼「りさ、大丈夫だからこっち向いててごらん」
蒼はりさの顔を自分の方に向かせ、安心させるように頭を撫で続ける。
蓮「りさ、今からちょっとだけ奥の方触るからね、しっかり力抜いててね~」
言うと、蓮はりさのあそこへ指を一本押し当てた。
りさ「んっ……い、いたぃっ……!」
蓮はすぐに指を引き、手袋を外して、
蓮「ごめんねりさ、ちょっと痛かったね。もう終わったからね。ベッド元に戻すから、止まったら着替えてこっち来てね」
ベッドのスイッチを押して部屋に戻って行った。
りさが着替える間、手前の部屋では、蓮と蒼が頭を抱えている。
蓮「蒼兄、どうする……?」
蒼「そうだな……まいったな。ちょっとすぐに答えは出せない」
蓮「りさになんて言おうか?」
蒼「とりあえず、検査の結果は明日伝えることにして、今日はもう休ませよう」
蓮「そうだね。あとで豪兄も呼んで話そう……」
そうこう話していると、着替えを終えたりさが戻ってきた。
蓮「りさ、お疲れさま。頑張ったね。検査の結果は明日わかるから、今日はお部屋戻ってゆっくり休んでね」
りさ「うん……」
蒼「りさ、先生と一緒に戻ろうか」
と、りさは蒼に連れられて特別室に戻ってきた。
りさ「先生……わたしなんか悪いの?病気……?」
蒼「今、蓮が調べてくれてるからね。結果は明日わかるよ。それより疲れただろ?まずはゆっくり休もう」
りさ「先生、行かないで……」
りさは蒼の袖をぎゅっと掴む。
蒼「大丈夫。りさが寝るまでここにいるよ」
りさ「うん……」
と、20分ほどすると、りさは眠りについた。
蒼が医局に戻ると、豪の姿が。
豪「話、蓮から聞いたぞ」
蒼「あぁ……そうか」
蓮「蒼兄、りさは?」
蒼「寝たよ。検査結果気にしてて、不安なのかすぐに寝つかなかったけどな」
豪「で、どうするんだ?すぐ手術したほうがいいぞ。蓮にやってもらえ」
蒼「手術はするにしても、そのあとが……りさに耐えられると思うか……?そこが問題なんだ……」
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