暦君は死にたくない

韋駄天使

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屋上で美少女と二人きりとか……それだけで夢だよね

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 ―――春。県内でも有数の進学校である双星高校に入学した僕、
四季 暦は世間ではあまり知られていない奇病にかかっている。
『異性交遊シンドローム』一言で言えば、女子と一線を越えると死ぬ病気だ。手を繋げば全身に謎の発疹が出て、キスなんてすれば呼吸困難に陥る。決して『こじらせちゃった童貞君』などではないと強くここに表明したい―――いや勿論。童貞君なんだが。

 「新入生の諸君、この度は我が校への入学誠におめでとうございます……」
 校長先生だろうか?僕にそういった権利があれば表彰を送りたい。あなたのスピーチはとても眠気を誘ういいスピーチですと……………
「!?」全身に猛烈な痛みが襲う。
「こよみん?さすがに初日から寝るのはどーかと思うけどなー!」隣からささやく声が聞こえた

僕は慌てて隣を見るとそこには、強引に僕と腕を組む時雨の姿があった。
皐月時雨。彼女は僕の幼なじみであり、彼女の父が僕の主治医と言うことで僕のこの奇病をしる数少ない人物である。容姿端麗。英俊豪傑。秀外恵中。黒髪ロングの清楚系であり、自他ともに認める美少女であった。ただ自分で気づいているかは分からないが少し天然である……少し

「悪かった。だから今すぐその腕を外してくれ。当たってるから……」全身に走る痛みを堪えながら彼女を諭す。僕の病気は服などの間接的なものだと症状が軽くなる………が彼女の持つ『それ』は
服越しでも十分な破壊力を持っていた。

「ええ!?こ!これは事故だからね…」彼女はそう言って顔を赤らめながら前を向き直った。

 高校生活が始まり、4日ほど経った。奇病を抱えていると言っても、女子と触れ合わなければこれと言って日常生活には何の支障も無い。幸い友達も出来た。

「こよみーー!今日俺ん家こない?新作ゲーム勝ったんだよ-!なんなら泊まりでもいいぜ!?折角の金曜日だからなぁ!」
彼は睦月時貞、中学時代は少しやんちゃだったらしく彼を知る者から悪評が立っているらしいが……僕には何の関係も無い。彼は良友と呼ぶに値する人物だろう…と考えながら彼の提案に快諾していると……

「ごめんね-!睦月くーん!ちょっと、こよみん借りてくねー?」颯爽と現れた時雨に強制的に連れて行かれる。
幸いにも。不幸にも。彼女とも同じクラスになっていたのだが。始業式から今日までお互い関わることは無かったのだが……
腕を掴まれているため
全身に走る痛みによって僕は彼女に抗うことは出来なかった。

 屋上について初めて彼女は僕の腕を離す。

「いきなりどーしたの?」僕は怒りをあらわに。天然の彼女にでも伝わるように。声を荒らげる。いくら服越しとはいえ、勘に余る痛みなのだ。

「こよみん!よーく聞いてね」彼女はいつにもまして真面目そうに僕の顔をのぞき込む。僕の話なんて関係ないとばかりに。。。

静寂が僕達を襲う……

「こよみん!私に告白して?」

…………………………………………………………………………………………………………………はい!?

僕の思考回路が止まっている間に時雨は矢継ぎ早に続ける。

「よく聞いてこよみん!来週の月曜日に、こよみんは告白されるんだよ。こよみんはクールでカッコイイって評判なんだよ?ただでさえ優しいこよみんはそんな女の子達の愛をどーやって断るのかな-?だからと言ってOKしちゃった日には………私まだこよみんに死んで欲しくない!」

「何で僕が付き合ったその日に死ぬんだよ!?」僕は血に飢えた獣か……
「お母さんが言ってたよ!男は皆狼だって!」時雨は心配そうに僕を見つめる。

確かに……考えてみるとそれはまずい。至極まずい。適当な理由をつけて断れば学校での僕の評価は、だだ下がりだろう……
 いくら女子と触れ合えない体質だからと言って、それのせいでクラスでボッチに甘んじるなんてあり得ない!! 
だからと言って彼女の言うように気安く付き合えば僕の身が持たないだろう………

「これはね!こよみんだけの問題じゃないんだよ?自慢じゃないけど、私ももう4人から告白されてるんだよ?狼さん4匹ごあんなーい!だよ?」…
何をどう思って自慢じゃないと思ったのか。まず『わたしも』って僕はまだ告白なんてされていない。される予定ではあるらしいが…

「こよみんは小さいときからのお友達だしね!私にもし変なことしようとしても止められそうだし♪」確かに……小さいときから僕を。僕の病気を知る彼女なら。どーすればどう僕の症状が出るか心得ているだろう……

「でも……だからって付きあうって言うのは……」僕が言葉を濁す。

「こよみん!?しつこいよ?年貢の納め時だよ?女の子がこーんなに君のためを思って言ってくれてるのに!それを良しとしないのは男として……人として…どーなのかなー?」本当に僕のためだけなのかは些か怪しいものだが……

僕は渋々提案を受け入れることにした。いや。渋々受け入れるふりをした。ここで僕が大手を振って喜んで、僕まで狼さん認定されると困るから!学校でも人気の美少女と付き合えるのだ!!喜ばない男子が居るならここに呼んできて貰いたいものだ。


といってもあくまで付き合うというのは、お互いの身のためであり、僕は死なないため。彼女は狼さんに襲われないため。同盟のようなものであり、いわば恋人ごっこである。

「じゃぁね!!こよみん♪ん?ダーリン♪のほうが良かったかな-?」時雨は笑う。
「いやダーリンは止めて下さい。体に悪いので…」病気の性だろうか?先程から動悸が止まらない………よく見ると本当に可愛いからなぁ…4人から告白されるのも無理はないのだろう。

そんなことを考えながら時雨を見送り、スマホを取り出し時貞に申し訳ないが、今日はいけなくなったという内容のメールを送る。
そして一人、誰も居なくなった校舎を後に、桜舞う校門をくぐって帰路につく。

 さすがに大変な経緯があったとはいえ、学校でも名高い美少女と付き合うことになったのだ。本当は今すぐ時貞に話し、自慢をしたいところなのだが、時貞とはまだ出会って4日であり、奇病のことを話すのは憚られた。

まぁそのうち話す時が来るだろう。いや。僕が考えすぎなだけで案外、彼はすんなりと受け入れてくれるかもしれない。
彼は情に厚いタイプだし、まわりにその秘密をバラすとも思えない。早いうちに言っておいて損はないだろう……
ただ今じゃない!今はこの自慢したくても出来ないという。実は学校でも有名な美少女と付き合っているという背徳感からくる高揚を一人楽しむ僕だった
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