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第16羽 ムエゼ
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次の日の正午近く、悠はかつての義父である賢三の携帯電話に連絡を入れた。
遼の葬儀に出席できなかったお詫びの電話だったが、本当の目的は尚美がまだ祐樹に襲われていないかの確認も兼ねていた。
尚美は依然ショックから立ち直れず、部屋に籠もりっぱなしだという。
その後お互いの近況を交換する形だけのやり取りをし、そのまま「それでは」という流れだったその時、賢三が思い出したようにこう言った「心配してくれてすまないな。
ああ、そういえば明後日の土曜…、いや日曜か、遺族の会の人たちと出かけると言っていた。それで少しでも立ち直れればいいんだけど…」
店の仲間達とお見舞いに行くと出かけた琴音の部屋に入った悠はノートパソコンからネットにアクセスして賢三の言う明後日の日付とカラス、遺族の会というキーワードを打ち込み検索した。
検索結果から目的の項目はすぐに見つかり、悠が素早くマウスをクリックするとというホームページが現れ、会の名前の下にはという文言と共にトピックスが中央にあった。
そこには賢三の言った日付にカラス対策強化を訴える決起集会を県庁前の広場で行います、という見出しがあった。
恐らく兄はこの機を逃さないだろう、悠はそう思いながら時計を見ると、正午にさしかか
るところだった。
タクシーで病院に着いたのはそれから十五分後であった。
《ムエゼさん》
昨日と同じベンチの前で脳から声を出すと《ここだよ、悠》と返事がしたので悠はその方向へ顔を向けた。
ムエゼは昨日とは違う照明灯の上におり、悠がここに来るのを予見していたかのようにじっと見ていた。
悠はムエゼに全てを話した。
両親の死、引き取られた先での辛い出来事、自殺へと突き進んだ自分と兄のことを。
「私にはお兄ちゃんを探すことも、それを止める手立てもないんです。だからお願いです。お兄ちゃんを、兄を止めてください」頬からはいつの間にか涙が伝っていた。
ムエゼは身動きひとつせず《無理だ。詳しくは言えないが昨日話した浄化計画まで勝手なことは出来ないのだ》と素っ気無く言ったので悠は苛立ちを覚えた。
卒業生の、次の学年に託す言葉を聞かされる生徒よろしく聞きたくも無い想いを押し付けられたのに、こちらの願いは右から左なのか?
そんな悠のわがままな苛立ちをも予想していたかのようにムエゼは《兄の名前は何というのだ?この辺りのカラスは一日あれば調べ上げることはできるぞ》と言った。
肩を落とし、知らないよりはましかと思った悠はそれをお願いした。
遼の葬儀に出席できなかったお詫びの電話だったが、本当の目的は尚美がまだ祐樹に襲われていないかの確認も兼ねていた。
尚美は依然ショックから立ち直れず、部屋に籠もりっぱなしだという。
その後お互いの近況を交換する形だけのやり取りをし、そのまま「それでは」という流れだったその時、賢三が思い出したようにこう言った「心配してくれてすまないな。
ああ、そういえば明後日の土曜…、いや日曜か、遺族の会の人たちと出かけると言っていた。それで少しでも立ち直れればいいんだけど…」
店の仲間達とお見舞いに行くと出かけた琴音の部屋に入った悠はノートパソコンからネットにアクセスして賢三の言う明後日の日付とカラス、遺族の会というキーワードを打ち込み検索した。
検索結果から目的の項目はすぐに見つかり、悠が素早くマウスをクリックするとというホームページが現れ、会の名前の下にはという文言と共にトピックスが中央にあった。
そこには賢三の言った日付にカラス対策強化を訴える決起集会を県庁前の広場で行います、という見出しがあった。
恐らく兄はこの機を逃さないだろう、悠はそう思いながら時計を見ると、正午にさしかか
るところだった。
タクシーで病院に着いたのはそれから十五分後であった。
《ムエゼさん》
昨日と同じベンチの前で脳から声を出すと《ここだよ、悠》と返事がしたので悠はその方向へ顔を向けた。
ムエゼは昨日とは違う照明灯の上におり、悠がここに来るのを予見していたかのようにじっと見ていた。
悠はムエゼに全てを話した。
両親の死、引き取られた先での辛い出来事、自殺へと突き進んだ自分と兄のことを。
「私にはお兄ちゃんを探すことも、それを止める手立てもないんです。だからお願いです。お兄ちゃんを、兄を止めてください」頬からはいつの間にか涙が伝っていた。
ムエゼは身動きひとつせず《無理だ。詳しくは言えないが昨日話した浄化計画まで勝手なことは出来ないのだ》と素っ気無く言ったので悠は苛立ちを覚えた。
卒業生の、次の学年に託す言葉を聞かされる生徒よろしく聞きたくも無い想いを押し付けられたのに、こちらの願いは右から左なのか?
そんな悠のわがままな苛立ちをも予想していたかのようにムエゼは《兄の名前は何というのだ?この辺りのカラスは一日あれば調べ上げることはできるぞ》と言った。
肩を落とし、知らないよりはましかと思った悠はそれをお願いした。
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