黒翼の巨人

興味sinsin

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第17羽 悠、考える

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「今度の日曜日、お店の人たちと出かけてくるからお昼にカレー用意しとく。夕方には戻ってくると思うけど、遅かったら残りのカレー食べてて」
いつものさばさばした口調が戻ってきた琴音が夕食のうどんをすすりながらそう言った。
「賢三叔父さんから尚美叔母さんがカラスにやられた…その、遺族の会の決起集会に行くって聞かされたんだけど、もしかしてそこへ行くの?」
琴音の目がつかの間大きくなったがすぐ戻り「知ってたんだ。そう、それ。何だ、あのババアも来るんだ」と眉間に皺を寄せ、水の入ったコップを持ち上げると口を付けた。
その表情を悠は醜いと思った、と同時に復讐を巡るどす黒く濁った感情が琴音にまで侵食しているのを感じ、小さく身震いした。

ベッドに入った悠は明後日のことをあれこれ思い描いた。
兄はどこで尚美を襲うのか?
集会場へ向かうべく家を出て賢三叔父さんの車に乗り込むところであろうか、それは無い。
多分、集会場か市内を行進するときを狙うのだろう。
次の瞬間、悠の脳裏に尚美が祐樹に襲われる姿が白昼夢のように鮮明に見えた。

“人類を脅かす黒い悪魔をこの世界から追放しよう!”という横断幕を手に持ち行進する人々、その中で尚美が右手を挙げて叫んでいる。
街路樹の中から黒い塊が飛び出し、何度も右手を挙げる尚美の横顔へ真っ直ぐ加速して突き進んで行く。
誰かがそのカラスに気付き声を上げる、それに気付いた尚美が横を向いたそのとき、祐樹の口ばしが尚美の左目に深く突き刺さり…


いびきにも似た音を鼻と口から吐き出し、悠は目を開けた。

カーテンの隙間に目をやっても朝は来てないようだったので、枕もとの時計を手繰り寄せると午前4時をちょっと過ぎており、生まれ変わった復讐カラスとは違うカラス達の耳障りな鳴き声が遠くから聞こえてきた。
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