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第4章 大嵐のち快晴!
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「うーん、部長は仕事に関してはシビアだけど、自分を立てないとか、慣例を守らないとか、そんなことで腹を立てたりする人じゃないよ」
「でも……目も合わせてくれないんです、あれ以来」
「そっか……だけど、部長も君になんでそんなこと言ったんだろう?」
米川さんはちょっと考えてから言った。
「今日、時間ある?」
「仕事が引けた後っていうことですか?」
「うん。部長誘って3人で飲みに行くっていうのはどう? コミュニケーション不足って気がするな。一度、じっくり話したほうがいいんじゃない?」
「そうですね……」
じゃあ、店はぼくが予約しておくよと言って、米川さんはぽんとわたしの肩を叩いた。
米川さん、いい人だな……
この部に彼がいてくれて、本当に良かった。
その夜。
わたしと米川さんは連れ立って、会社の近所の小料理屋に出向いた。
暖簾をくぐると愛想のいいおかみさんに迎えられ、二階の小座敷にどうぞと促された。
ふすまを開けると、もう部長は来ていた。
出先から直接来たらしい。
「遅くなりました」
「ほら、辻本さん、奥に入って」
米川さんに促され、わたしは部長の向かいに座ることに……
うっ、なかなか目のやり場に困る位置。
「ここは初めて?」
隣に座った米川さんが手を拭きながら訊いてきた。
「はい、第3営業は人数多いんで、飲み会も広い店じゃないと無理だったので」
「辻本さんは飲めるほう?」
「えーと、嗜む程度です」
「ああ、じゃあ、結構いける口だね」
「でも……目も合わせてくれないんです、あれ以来」
「そっか……だけど、部長も君になんでそんなこと言ったんだろう?」
米川さんはちょっと考えてから言った。
「今日、時間ある?」
「仕事が引けた後っていうことですか?」
「うん。部長誘って3人で飲みに行くっていうのはどう? コミュニケーション不足って気がするな。一度、じっくり話したほうがいいんじゃない?」
「そうですね……」
じゃあ、店はぼくが予約しておくよと言って、米川さんはぽんとわたしの肩を叩いた。
米川さん、いい人だな……
この部に彼がいてくれて、本当に良かった。
その夜。
わたしと米川さんは連れ立って、会社の近所の小料理屋に出向いた。
暖簾をくぐると愛想のいいおかみさんに迎えられ、二階の小座敷にどうぞと促された。
ふすまを開けると、もう部長は来ていた。
出先から直接来たらしい。
「遅くなりました」
「ほら、辻本さん、奥に入って」
米川さんに促され、わたしは部長の向かいに座ることに……
うっ、なかなか目のやり場に困る位置。
「ここは初めて?」
隣に座った米川さんが手を拭きながら訊いてきた。
「はい、第3営業は人数多いんで、飲み会も広い店じゃないと無理だったので」
「辻本さんは飲めるほう?」
「えーと、嗜む程度です」
「ああ、じゃあ、結構いける口だね」
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