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第5章 部長! その子はいったい?
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改札前で別れるとき、部長は軽く頭を下げて「今日は来てくれて助かったよ」と言った。
「でも思ったとおりだった」
「何がですか?」
「辻本なら、香穂とうまくやってくれるだろうなと思ってたから」
そう言いながら、前髪をかきあげる。
照れたときの癖だ、部長の。
「お役に立ててよかったです」
わたしがそう言うと、部長は微笑み、香穂ちゃんと改札に向かった。
「花梨ちゃん、また遊ぼうねー。絶対だよー」
香穂ちゃんはいつまでも手を振ってくれた。
自分の家に向かう電車の乗り口を目指しながら、なんとなく頬の筋肉が緩んでくるのを止められなかった。
でも、本当に今日は来てよかった。
部長があんなに子供に好かれるなんて思ってもみなかったし。
それに……
彰ちゃんと呼ばれたときの、あの困り切った顔。
今、思い出しても笑いがこみあげてくる。
明日、出社したとき、どんな顔で挨拶してやろうかな?
さて、子供たちの笑顔があざやかに記憶に残っているうちに、『ヤマモト』のアイデアをまとめなきゃ。
「よっしゃー」
込み合った電車の中でさすがに大声は出せないので、わたしは心のなかで気合を入れた。
「でも思ったとおりだった」
「何がですか?」
「辻本なら、香穂とうまくやってくれるだろうなと思ってたから」
そう言いながら、前髪をかきあげる。
照れたときの癖だ、部長の。
「お役に立ててよかったです」
わたしがそう言うと、部長は微笑み、香穂ちゃんと改札に向かった。
「花梨ちゃん、また遊ぼうねー。絶対だよー」
香穂ちゃんはいつまでも手を振ってくれた。
自分の家に向かう電車の乗り口を目指しながら、なんとなく頬の筋肉が緩んでくるのを止められなかった。
でも、本当に今日は来てよかった。
部長があんなに子供に好かれるなんて思ってもみなかったし。
それに……
彰ちゃんと呼ばれたときの、あの困り切った顔。
今、思い出しても笑いがこみあげてくる。
明日、出社したとき、どんな顔で挨拶してやろうかな?
さて、子供たちの笑顔があざやかに記憶に残っているうちに、『ヤマモト』のアイデアをまとめなきゃ。
「よっしゃー」
込み合った電車の中でさすがに大声は出せないので、わたしは心のなかで気合を入れた。
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