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第6章 パーテーションの陰で
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あの穏やかで優しい部長は、やっぱり『キンダーラント』が見せた、ただの幻だった。
翌週の水曜日。
「ぜんぜんだめだ。やり直し」
またもや企画書をつき返される。
没になるのはもう3回目。
こういうところ、部長は本当に容赦ない。一切の妥協は許されない。
部長は書類から目を外し、シャープすぎる切れ長の目でわたしを見据える。
「企画の意図が微妙にずれてる。たしかに環境に配慮することは、今の時代はずせない問題だが、『ヤマモト』が得意とするものはなんだ?」
「プラモデルです」
「だろ? だからただ木製の知育玩具をメインにするってだけじゃダメだ。もうそんなことは他のメーカーがやり尽くしてるしな。これまで培ってきた企業の特色を生かしてこそのブランド構築だ。もう一度、よく考えてみろ」
初回の打ち合わせに行ってから、すでに約2週間経過していた。
約束の期日まで、あと15日。
だんだん焦りが募ってくる。
この間、部長が話していたとおり、『ヤマモト』の直営店舗の活用を、今回のブランディングの最重点課題に据えた。
銀座のど真ん中だから、立地条件は最高。
問題はその中身。
部長が言う通り、『ヤマモト』の会社の独自性を考えたらプラモデルは絶対外せない。
でも、今どきプラモデルなんて、子供に受けるかなあ。
うーん。
いやいや、その答えを見つけ出すのがわたしの仕事だ。
「ちょっと、都内の玩具店回ってきます」
デスクに座ってても煮詰まるだけなので、アイデアを求めて、わたしは街に出ることにした。
翌週の水曜日。
「ぜんぜんだめだ。やり直し」
またもや企画書をつき返される。
没になるのはもう3回目。
こういうところ、部長は本当に容赦ない。一切の妥協は許されない。
部長は書類から目を外し、シャープすぎる切れ長の目でわたしを見据える。
「企画の意図が微妙にずれてる。たしかに環境に配慮することは、今の時代はずせない問題だが、『ヤマモト』が得意とするものはなんだ?」
「プラモデルです」
「だろ? だからただ木製の知育玩具をメインにするってだけじゃダメだ。もうそんなことは他のメーカーがやり尽くしてるしな。これまで培ってきた企業の特色を生かしてこそのブランド構築だ。もう一度、よく考えてみろ」
初回の打ち合わせに行ってから、すでに約2週間経過していた。
約束の期日まで、あと15日。
だんだん焦りが募ってくる。
この間、部長が話していたとおり、『ヤマモト』の直営店舗の活用を、今回のブランディングの最重点課題に据えた。
銀座のど真ん中だから、立地条件は最高。
問題はその中身。
部長が言う通り、『ヤマモト』の会社の独自性を考えたらプラモデルは絶対外せない。
でも、今どきプラモデルなんて、子供に受けるかなあ。
うーん。
いやいや、その答えを見つけ出すのがわたしの仕事だ。
「ちょっと、都内の玩具店回ってきます」
デスクに座ってても煮詰まるだけなので、アイデアを求めて、わたしは街に出ることにした。
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