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第5章 部長! その子はいったい?

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 それから、部長もわたしも視察を口実に、香穂ちゃんと一緒にいろいろなエリアを回って楽しんだ。

 木製のホッケーゲームで遊んだり、ストラック・アウトをしたり。
 
 コマやけん玉で遊べるコーナーでは、部長は香穂ちゃんにコマの回しかたを教えたりした。

 予約の制限時間ぎりぎりまで遊んで、香穂ちゃんも大満足してくれたようだった。


 帰りのエレベーターが混んでいて、部長は押されて奥に、わたしたちふたりは手前に乗ることになった。

 扉が閉まったとき、香穂ちゃんがつないでいた手を引っぱってきた。

「なあに?」わたしは身をかがめた。

 すると香穂ちゃんはわたしの耳元で、こそこそっと訊いてきた。

「花梨ちゃんは彰ちゃんの彼女?」

 わたしはぶんぶんと頭を振って答えた。
「ち、違うよ。同じ会社で働いてるの。わたしは木沢さんの部下よ」

「お仕事お休みの日なのに来てくれたの?」
「うん。でも来てよかったよ。香穂ちゃんに会えたから」

「香穂も! 彰ちゃん、花梨ちゃんみたいにお人形遊びなんてしてくれないし」
「でも部長、コマ上手だったね」
「そうだったね」

 香穂ちゃんは部長に買ってもらったコマの袋を開けて、嬉しそうにのぞいた。

「また香穂ちゃんに会いたいな。明くんにも会いたいし。部長にお願いしておくね」
「あたしもママに言っとく!」

 香穂ちゃんはわたしの手をぎゅっと握ってきた。

 その彼女の髪を、わたしは優しく撫でた。
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