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番外編その2 木澤彰吾、パパになる
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「うおーーーーーーーっ」
「ど、どうしたんですか。部長」
突然、雄叫びを上げた俺に驚き、米川が飛んできた。
「子供が……できたらしい」
米川は一瞬、目を見開き、それから満面の笑みで俺に握手を求めた。
「おめでとうございます! えっと……もしかしてハネムーン・ベイビーですか! いよっ! さすが部長」
「お、おう」
何が「さすが」なのかわからんが、とりあえず頷いておいた。
「辻本じゃないや、今は木沢夫人ですね。労ってあげてくださいよ。妊娠・出産はとにかく女性の大仕事ですから」
「んなことはわかってる」
「いやいや、とにかく体を張るんですから、女の人は。部長もいつもの調子で花梨さんに頼りきってたらダメですからね」
1年ほど前、第一子をもうけた米川は、そう言って先輩風を吹かせてきた。
「うるせえな、お前はいちいち。わかってるって」
そう、俺がどれだけ花梨を大事にしているか、こいつだってよくわかってるはずなんだが……
米川は肩をすくめて、席に戻ろうとした。
「おっ、そうだ。お前のとこは、その、なんだ……」
「なんですか?」
「あのさ、『立ち会い』ってのは、したのか」
米川は、眼鏡の奥から俺の顔をじっと見た。
「当たり前じゃないですか。あんなに感動的な場面に遭遇することなんて、人生でめったにないことですから」
「だよな」
「そんなことより、安定期に入るまでが大変なんです。くれぐれも無理させないように。仕事のことでしたら、ぼくも協力できますから」
「おう。すまないな。頼むぞ」
持つべきものは、子供が生まれたばかりの部下だ。
「ど、どうしたんですか。部長」
突然、雄叫びを上げた俺に驚き、米川が飛んできた。
「子供が……できたらしい」
米川は一瞬、目を見開き、それから満面の笑みで俺に握手を求めた。
「おめでとうございます! えっと……もしかしてハネムーン・ベイビーですか! いよっ! さすが部長」
「お、おう」
何が「さすが」なのかわからんが、とりあえず頷いておいた。
「辻本じゃないや、今は木沢夫人ですね。労ってあげてくださいよ。妊娠・出産はとにかく女性の大仕事ですから」
「んなことはわかってる」
「いやいや、とにかく体を張るんですから、女の人は。部長もいつもの調子で花梨さんに頼りきってたらダメですからね」
1年ほど前、第一子をもうけた米川は、そう言って先輩風を吹かせてきた。
「うるせえな、お前はいちいち。わかってるって」
そう、俺がどれだけ花梨を大事にしているか、こいつだってよくわかってるはずなんだが……
米川は肩をすくめて、席に戻ろうとした。
「おっ、そうだ。お前のとこは、その、なんだ……」
「なんですか?」
「あのさ、『立ち会い』ってのは、したのか」
米川は、眼鏡の奥から俺の顔をじっと見た。
「当たり前じゃないですか。あんなに感動的な場面に遭遇することなんて、人生でめったにないことですから」
「だよな」
「そんなことより、安定期に入るまでが大変なんです。くれぐれも無理させないように。仕事のことでしたら、ぼくも協力できますから」
「おう。すまないな。頼むぞ」
持つべきものは、子供が生まれたばかりの部下だ。
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