7 / 117
第1章 怪しげな依頼
7
しおりを挟む
「とりあえず、さ。おれの顔を立てると思って、話だけ訊きに行ってくれない? こっちから連絡すれば、迎えに来てくれる手筈になってるから」
「今、スグですか? それもひとりで?」
「おれ、これからちょっと外せない用事があるんだよ。でも先方は急いでるみたいでさ。どうしても今日中に来てほしいんだと」
うーん。どうしよう。
なにしろ無茶苦茶な話だし。
でも、この7年、事務所から理不尽な仕事を押し付けられたことはないしなぁ。
嫌だと言えば、絶対、無理強いはされない。
この業界の人としては珍しく、酒井さんはあくどい人間じゃない。
いや、どっちかと言えばお人好しすぎるぐらいだ。
本当にまずい仕事だったらはじめから受けないだろう。
わたしは酒井さんの目を見据えた。
「断れないんですよね。違います?」
酒井さんはぽんと膝を打った。
「さすが来栖ちゃん。話が早いね。昔からいろいろ世話になってる人を通しての依頼なのよ。それに最近、うちの経営、かなりきつくてさ。引き受けてくれたら、ほんと、助かるんだよね」
酒井さんは手を合わせて拝むフリをする。
もー、しゃーないなー。
こういうとき、頼まれると断れない性格がひょっこり顔を出してしまう。
「今、スグですか? それもひとりで?」
「おれ、これからちょっと外せない用事があるんだよ。でも先方は急いでるみたいでさ。どうしても今日中に来てほしいんだと」
うーん。どうしよう。
なにしろ無茶苦茶な話だし。
でも、この7年、事務所から理不尽な仕事を押し付けられたことはないしなぁ。
嫌だと言えば、絶対、無理強いはされない。
この業界の人としては珍しく、酒井さんはあくどい人間じゃない。
いや、どっちかと言えばお人好しすぎるぐらいだ。
本当にまずい仕事だったらはじめから受けないだろう。
わたしは酒井さんの目を見据えた。
「断れないんですよね。違います?」
酒井さんはぽんと膝を打った。
「さすが来栖ちゃん。話が早いね。昔からいろいろ世話になってる人を通しての依頼なのよ。それに最近、うちの経営、かなりきつくてさ。引き受けてくれたら、ほんと、助かるんだよね」
酒井さんは手を合わせて拝むフリをする。
もー、しゃーないなー。
こういうとき、頼まれると断れない性格がひょっこり顔を出してしまう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
37
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる