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第2章 麗しき副社長

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 レジデンス棟は6階建。

 でも、表示を見ると、建物の大きさの割には戸数が少ない。
 つまり、1部屋1部屋の面積が広いってことだ。

 そういえば、テレビで紹介していたとき、分譲価格は最低でも5億円と言っていた気が……

 天上まで高さがある重厚な造りの木製の自動ドアを抜け、高級ホテルのロビーのようなエントランスを通り、コンシェルジュカウンターで配達物のチェックをして、生体認証キーがついたエレベーターで5階まで上がる。

 エレベーターの扉が開くと、そこはもう部屋に通じるアプローチ。

 このエレベーターは彼の部屋専用ということらしい。

「さ、どうぞ」
「おじゃまします」

 シューズ・イン・クローゼットでスリッパに履きかえ、ダウンライトが灯った明るい廊下を抜け、リビングへ。

 扉が開いた瞬間、思わずポカンと口を開けてしまった。

 なんなの、ここ。
 本当に個人宅なの?

 こんなゴージャスなリビングルーム、今まで見たことがない。
 テレビで、海外セレブのお宅拝見とかやってるけど、その部屋に充分に匹敵する。
 いや、それ以上かも。

 無理――――――っ!

 やっぱり無理だ。
 この人の恋人役なんて。

 何度も言うけど、住む世界が違いすぎる。
 少し距離が縮まったなんて、思い違いもいいとこだった。
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