上 下
115 / 117
エピローグ

しおりを挟む
 披露宴の会場は、サニーヒルズ・ビレッジのホテル。
 身内とごく近しい人たちのみで厳かに行われた結婚式とは違い、披露宴は芹澤家の御曹司にふさわしい豪勢なものとなった。

 司会はよくテレビで見かける有名な現役アナウンサー。
 財界、政界、芸能界、つまり日本中のセレブが一同に集う会となった。

 余興も超豪華。
 有名アーティストが自作自演で結婚ソングを歌ってくれたり、ダンサーが踊りを、歌舞伎役者が舞いを披露してくれるなど、面前で一夜限りの豪華なショーが繰り広げられた。

 その主役が自分であるということが、最後までどうしても信じられなかった。

 この披露宴では、南青山のメゾンで注文したドレスを着た。

 レースを贅沢にあしらったマーメードラインのウエディング。
 本来なら半年はかかるところ、大至急、仕上げてもらった。

 こうして、いろいろな人のおかげで、結婚式を迎えることができた。

 これから、わたしは、信じられないほど恵まれた環境で暮らすことになる。

 でも、今日のこの気持ちをけっして忘れずにいよう。
 そう心に決めていた。


 披露宴を滞りなく終え、わたしたちはモルディブへの新婚旅行に向かうため、オフィス棟の屋上へ。

 ヘリで成田に向かうのだ。

 実は、この新婚旅行の計画を立てるときも、ひと悶着あった。
 わたしは通常便で行こうと主張したけれど、宗太さんはプライベート・ジェットで行こうと言って譲らなかった。

「だって、直行便ないんだよ、モルディブまでの」
「でも、さすがに贅沢すぎません? プライベート・ジェットなんて」

「いや、そんなことないって。一生に一度の新婚旅行なんだから」

 それにプライベート・ジェットなら、と言って、宗太さんはわざと声を落として、耳元で囁いた。
「思いっきりいちゃいちゃできるよ。長いフライトの間、さ」
 そして、わたしの背中にツーっと指を這わせたりしてくる。
「ねっ」

 もうー。

「……わかりました」
 と言うわけで、最後は押し切られ、結局、超ラグジュアリーなプランが採用されることになった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

年が明けたら

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

安部君のぼっきキャンプ~異世界ふたなり放浪記~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:9

寮生活のイジメ【高校生版】

BL / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:10

職場で一番嫌いな奴と、なんでか付き合うことになった話

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:23

暴食の子

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

熟成した肉体は上下の穴に追撃を叩き込まれる

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

世界一愛しいあなたへ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

異世界でも鍼灸接骨院

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

処理中です...