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エピローグ
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ヘリの操縦、今日はもちろん宗太さんではない。
機体も宗太さんの愛機ではなく、会社所有の7人乗りの大型ヘリ。
屋上まで、大勢の人が見送りに来てくれた。
宗太さんが彼らに向かって挨拶した。
「皆さん、お見送りありがとうございます。思いっきり楽しんできます。みやげは“ノロケ話”ってことで。楽しみにしといてください」
宗太さんの友人が「誰がそんな話聞くかよ」と大声で答え、その場は笑いに包まれた、
お幸せに、という声と拍手に見送られ、まず宗太さんがヘリに乗り込んだ。
「お姫様、さあ、お手を」
宗太さんはうやうやしい調子で手を差しだす。
白いタキシードに身を包んだ宗太さんこそ、王子様以外の何者でもないのだけど。
機内は思ったよりも広く、後部座席は向かい合わせになっていた。
そして、オーガンジーのリボンと白やピンクの花をふんだんに使って、可愛らしい装飾がされていた。
生花の新鮮で甘い香りにうっとりする。
「すごい。ウエディング仕様になってますね」
「ああ、女子社員たちが企画してくれてね」
「嬉しいです。皆さんのお心尽くしが」
感激するわたしに、宗太さんはいつもの、優しい笑顔を向けてくれた。
ヘリが飛行高度に達したころ、宗太さんはシャンパンを抜いて、グラスに注いだ。
「ぼくらの未来に」
乾杯の瞬間、窓の外で爆発音が聞こえた。
「きゃっ」
えっ、エンジンの故障?
機体も宗太さんの愛機ではなく、会社所有の7人乗りの大型ヘリ。
屋上まで、大勢の人が見送りに来てくれた。
宗太さんが彼らに向かって挨拶した。
「皆さん、お見送りありがとうございます。思いっきり楽しんできます。みやげは“ノロケ話”ってことで。楽しみにしといてください」
宗太さんの友人が「誰がそんな話聞くかよ」と大声で答え、その場は笑いに包まれた、
お幸せに、という声と拍手に見送られ、まず宗太さんがヘリに乗り込んだ。
「お姫様、さあ、お手を」
宗太さんはうやうやしい調子で手を差しだす。
白いタキシードに身を包んだ宗太さんこそ、王子様以外の何者でもないのだけど。
機内は思ったよりも広く、後部座席は向かい合わせになっていた。
そして、オーガンジーのリボンと白やピンクの花をふんだんに使って、可愛らしい装飾がされていた。
生花の新鮮で甘い香りにうっとりする。
「すごい。ウエディング仕様になってますね」
「ああ、女子社員たちが企画してくれてね」
「嬉しいです。皆さんのお心尽くしが」
感激するわたしに、宗太さんはいつもの、優しい笑顔を向けてくれた。
ヘリが飛行高度に達したころ、宗太さんはシャンパンを抜いて、グラスに注いだ。
「ぼくらの未来に」
乾杯の瞬間、窓の外で爆発音が聞こえた。
「きゃっ」
えっ、エンジンの故障?
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