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旧ver(※書籍化本編の続きではありません)
ヴィクトリアの決断①
しおりを挟む『わ、私の時間を巻き戻してっ……!!』
必死に抗い難い快楽に耐えながら、ヴィクトリアが口にした願いに、アスモデウスはピタリとその動きを止めた。
『……時間を巻き戻す、だと?』
眉根を寄せ、訝しんだ顔で問掛ける。
すると、ヴィクトリアは必死に呼吸を整えつつ、その問いに答えた。
『……は……、フィルや、ナハトに出会う前に戻って、全部……やり直したいの』
『…………』
『そうすれば……』
(この身体に原因があるのかもしれない。私には、本当に分からないから。
けれど、理由はなんであれ、こんな私を好いてくれた人達を、これ以上苦しめたくない……)
エリックやジルベール、アベル、レオンハルト。
ルカ。
それから、フィルとナハト。
(……シュティは聖獣だし、私自身を好いているのか、私をご飯だと思っているのか、よく分からないけど)
最初はただ、悪役令嬢にならないよう、破滅の運命を回避したいだけだった。
そして、前世で推していたフィルとナハトの傍にいたかった。
けれど、いつの間にか運命の歯車は狂い、ヒロインも転生者で、何故だか今の状況へと行き着いてしまった。
(私は、フィルを救う為に処女を捨てた。その選択は後悔していない。サキュバスに、なってしまった事も。きっと私は、アスモデウスが言うように、気持ち良い事が好きなんだわ。……認めたくないけど)
恐らくはこの悪役令嬢の身体は、ヴィクトリアとの相性が良すぎたのだろう。
困っていた事は本当だが、今ではこの現状を受け入れてしまっているのだから。
(私は今、すごく幸せよ。皆に、大切にしてもらえて。だけど、皆は違う。私と同じ様に感じているわけではない筈。だったら……)
――――時間を巻き戻して、これまでの事を無かった事にしてしまえば、全てが起こる前なら……
『とんだ愚策だな。もう手遅れだろう』
時間を巻き戻し、全てが始まる前に戻れたなら、きっとやり直せる。そんな希望を胸に抱いていたヴィクトリアは、アスモデウスの言葉に息を呑んだ。
紅い瞳を見開き、心臓がドクドクと嫌な音を奏でる。
『手遅れ……?だって、全てが始まる前なら』
『始まる前に戻ってどうする?結果は同じだ。変わる事は無い。ならば、戻るだけ時間の無駄だろう』
あまりにもキッパリと断言してしまうアスモデウスに、ヴィクトリアは怒りの感情が湧き上がり、思わず声を荒げた。
『何故そんな風に言い切れるの?!未来がどう転ぶかなんて、誰にも分からない筈よ!悪魔である、貴方でさえも……』
しかし、ヴィクトリアが最後まで言い切る前に、アスモデウスの鋭い言葉が躊躇いなく切り込んできた。
『ならば聞くが、お前は過去に戻って魔物市場で売られているあの双子を放っておけるのか?』
* * *
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