悪役令嬢は王太子の溺愛に気付いていない

はる乃

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本編

ディアナの好み

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「ディアナはもしかしたら、僕の事が好きなんじゃないだろうか?」

そう口にしてみたら、生徒会室に居る側近達に痛いものを見るような顔をされた。

お前ら僕が嫌いなのか?

「いや~~、う~~ん?どうなんスかね?う~~~~ん?」

そんなに悩む事か?
それとも何か産むつもりか?

「そうだな。夢を見るのは自由だと思うぞ」
「うん。夢って大事だよ、兄様!!それで兄様が元気になるなら!!」
「もしや寝不足ですか?転た寝はよくありませんよ、リーンハルト殿下。仮眠室で少し休まれますか?」

僕は起きてるよ!!
夢、夢って、どれだけだよ?!
そんなに僕って脈無しに見えるの?!

だって、ディアナの好きなタイプって、どう考えても僕でしょ?!
見た目も性格も似たような王子が出てくる小説ばかり好むなんて、絶対偶然じゃないよね?!

思わず抗議しようと口を開きかけたが、それより早くイザークが少し心配そうな顔をして、僕とハーロルトへの疑問を口にした。

「まぁ冗談はさておき、本当に顔色がよくありませんね。ハーロルト殿下もですが、何かありましたか?」

イザークの言葉に、一瞬ハーロルトが固まった。

(あの馬鹿)

心の中で舌打ちしながら、僕は普段通りの態度を崩さずに話題転換を試みる。流石、イザークはよく気が付くな。朝に鏡で見た限り、顔色なんて大して変わらないと思っていたが。

「昨夜もディアナの好きな小説を読んでいたから、少し寝不足なのかもしれないな。それより、半年後の卒業パーティーの事なんだが」
「何か不備でもございましたか?」
「下級貴族への貸し出し用衣裳で確認したい事があってね」
「それでしたら此方に資料が……」

何とか話題を変えてイザークを誤魔化せた事に、僕とハーロルトはホッと胸を撫で下ろす。勿論、表情には出さないが。

最近、僕とハーロルトは暗殺者に狙われている。
そのせいで、夜はなかなかゆっくりとは寝付けない。ハーロルトは暗殺者に狙われるのが初めてだから、尚更辛い筈だ。

卒業したら、僕にはアーベントルト公爵という強固な後ろ楯が出来てしまう。ディアナと結婚するからだ。
それ故に、第二王子派の連中がいよいよ焦り始めたのだろう。父上の意志は変わらず、次期国王には僕を就かせるつもりでいるからな。

(……国の為になるのなら、降りても構わないのだけどね)

しかし、自分が降りたら降りたで、今度は王太子派が黙っていない。また色々と問題が出てくるだろうし、ハーロルトへの暗殺にも更に本気を出してくる筈だ。

(今は失敗しても十分脅しになると踏んでいるのか。僕の元に送り込まれてくる刺客と比べれば、ハーロルトの方は随分と手緩いからな)

ここ数日で何度襲撃にあった事か。
他国からの刺客に見せ掛けていたが、あの刺客達を雇ったのは十中八九、第二王子派の過激派連中だろう。

(服や武器を毎回他国の物で揃えてくる辺り、商人に強い中位か高位の貴族か……)

僕はいい。
自分の身は自分で守れる。
だから、どちらかと言えばハーロルトを狙う王太子派僕派の連中が気に入らない。
早々に片付けてしまいたいが……

(あまり派手には動けない。今はまだトカゲの尻尾切りで、下っ端しか釣れないだろうしな。静観している大物を釣り上げないと意味がない)

僕は小さく嘆息しながら、イザークから渡された資料に目を通し、頭の中で今後の動き方を決めていく。

こんな事より、本当はディアナとの仲を深めていきたいのに。
近い内に、また時間を作って会いに行ってみよう。

……また体調不良を理由に会ってくれないかもしれないが。

「ディアナ…………」


* * *
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