「名前を持たない魔法」

魔法は、分類される。
管理され、再現され、制度の中に組み込まれていく。

だが、香月小百合の魔法だけは、
どの枠にも収まらなかった。

分類不能。
再現不可。
それでも、現場では必要とされる存在。

研究対象として見られ、
期待され、
ときに距離を失われながらも、
彼女は「名前を与えない」ことを選ぶ。

説明しないこと。
語らないこと。
それは逃げではなく、守るための沈黙だった。

世界を変えない魔法が、
それでも世界を支えている。

境界線のこちら側で、
香月小百合は今日も、何者にもならないまま立っている。
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