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鬼は怒っている。
「もーさーどーでもえーからさーはよよこせや!」
「宝なんてさー、売るとこもねーしさー、もーやるからさー、はよよこせや!」
え!宝くれるの?おう、無血開城?
こりゃあいいや、そんじゃ、ありがたく
「ダメよ!」キジが叫ぶ。うるさいぞ。
キジかこちらに向かって言葉のマシンガンを撃つ。「あんた分かってるの?こいつら倒さないと平和は訪れないのよ!逆にキビダンゴで力つけたら被害が大きくなるじゃない!」うえ、ツバ飛んできた。

「え、でも宝なんてどーやって手に入れてるんだ?」
「こいつら海賊よ!」
「え」
「藤原のナントカのマネゴトかなんかでしょ!」
あ、そうなの。
「じゃあ船はありますか?」俺は鬼に向き直る。
「ああ、あるけど、朽ち果ててんだ。やめといたら?」
あ、そうなの。

そーいえば俺なんか持ってたかな。
ゴソゴソ懐を触ると、おう、小型銃だ。
これで勝てるかな。
俺はおもむろにそれを取り出して引き金を引いた。

「おうわっ」鬼が叫ぶ。肩をかすめたのだ。
「やりやがったな」鬼たちが構えてくる。刺激しちゃった。
「ここは私の知ってる術、ハクトメラ・デストリームを使うしかないわね」キジが神妙な面持ちで言う。知ってるなら最初から使えばいいのに。

しかし鬼はまだ攻撃してこない。それどころか、
「ここは穏便にクイズ勝負としないか?よし、後できびだんごをくれる人物を答えよ!!」と言ってきた。
ここまでして、もらいたいのか!
殺して奪い取るという選択肢はなさそうだ。いいやつじゃないか。

「お…」
キジにつつかれる。いてて。
商談不成立。取りやめ。仕切り直し。はっけよい。
さっきまで静かに見ていたボスが駆け出す。
瞬く間に銃を鬼からひったくる。

ここからはもう勝ちだ。俺は小型銃を天に一発撃って、前に構えた。
その時に最も重要となるポイントは、少し首を右にかしげて目を細くする事だ。もちろん銃は片手持ちだ。

鬼はみんな両手を挙げてひれ伏した。
俺は満足そうにうなづいて銃をくるりと回した。
できればこの後はスチャッと音を鳴らして腰にかけるのがカッコイイが俺は静かに懐へしまった。

その後みんなにキビダンゴを配った。結局やることはオンナジじゃあないか。めんどくさい事したな。ま、カッコつけれたからいっか。
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