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第1部 第1章「七歳の朝、勇者の記憶」
第5話「真実の告白」
第5話「真実の告白」
夜が訪れていた。
粗末な木造の家の中、小さな食卓に家族六人が集まっている。
母エレナ、姉ソフィア、兄マルク、双子のレオとリナ、そして俺。
テーブルの上には、空間収納から取り出した保存食が並んでいる。乾パン、干し肉、チーズ、そして果物。この貧しい家では見たこともないような豪華な食事だ。
双子は嬉しそうに食べているが、母と姉と兄は、食事よりも俺の方に注意を向けている。
町から帰ってきて、双子との再会を喜び合った後、母はずっと複雑な表情をしていた。安堵と、驚きと、そして困惑が入り混じった表情。
そして、ようやく双子が落ち着いた今、母が口を開いた。
「アレン…話をしましょう。全部、聞かせて」
その声は優しいが、同時に毅然としている。母親として、家族を守るために、真実を知る必要があるという意思が込められていた。
俺は深呼吸をした。
ここからが、本当の始まりだ。
家族に、全てを打ち明ける。前世のこと、勇者だったこと、裏切られたこと、転生したこと。
嘘はつかない。隠し事もしない。
全てを、ありのままに話す。
「わかった。でも、長い話になる。途中で信じられないことも出てくると思う。それでも、全部本当のことだから」
母が頷く。
「構わないわ。全部聞かせて」
姉と兄も真剣な表情で頷く。双子は、よく分からないながらも、何か大事な話だと感じ取ったのか、静かに座っている。
俺は、言葉を選びながら話し始めた。
「俺には…二つの記憶がある」
家族が、じっと俺を見つめる。
「一つは、この世界で生まれてから今日までの七年間の記憶。母さん、父さん、姉さん、兄さん、双子…みんなと過ごした日々の記憶」
そこまでは、みんな理解できる。当たり前のことだから。
「そして、もう一つは…前の人生の記憶」
母の目が、わずかに見開かれる。
「前の…人生…?」
「ああ。俺は、転生者なんだ」
沈黙。
家族全員が、息を呑んでいる。
「転生…それって…」
ソフィアが震える声で言う。
「死んで、生まれ変わるってこと…?」
「そうだ。俺は前世で死んで、この世界に、アレン・ヴァルトハイムとして生まれ変わった」
マルクが困惑した表情で聞く。
「前世って…どこの…?」
「別の世界だよ。この世界とは全く違う世界」
俺は、前世のことを話し始めた。
日本という国のこと。高層ビルが立ち並ぶ都市のこと。魔法のない、科学技術が発達した世界のこと。
そこで俺は、ハルト・タカハシという名前の、普通の大学生だったこと。
二十二歳の時、突然異世界に召喚されたこと。
家族は、まるで御伽噺を聞くような表情で、俺の話に聞き入っている。
「召喚された先は、エルディア王国という国だった。そこで俺は、『勇者』として魔王を倒すように命じられた」
「魔王…」
母が呟く。
「本当に、そんなものが…」
「いた。強大な力を持った魔王が、世界を脅かしていた。俺は、元の世界に帰るために、魔王を倒すことを選んだ」
俺は、五年間の戦いのことを語った。
最初は何もできない弱い存在だったこと。仲間と出会い、共に戦ったこと。少しずつ強くなり、スキルを習得し、魔法を覚えたこと。
レベルという概念。ステータス。魔物との戦い。
「そして、五年後…俺はレベル99に到達した。人間が到達できる最高レベルだ」
「レベル…99…」
マルクが信じられないという表情で繰り返す。
「それって…どれくらい強いの…?」
「今日、盗賊二十五人を一瞬で無力化できたのも、そのレベルの力があったから」
家族が息を呑む。あの光景を思い出しているのだろう。
「そして、仲間たちと共に、魔王城に乗り込んだ。激しい戦いの末、俺たちは魔王を倒した」
ソフィアが目を輝かせる。
「すごい…本当に魔王を…」
「ああ。世界に平和が訪れた。人々は喜び、俺たちは英雄として称えられた」
そこまでは、美しい物語だ。勇者が魔王を倒し、世界を救う。
でも。
「でも…それで終わりじゃなかった」
俺の声が、暗くなる。
家族が、緊張した表情で俺を見る。
「魔王を倒してから三ヶ月後…俺は、裏切られた」
「裏切られた…?」
母が不安そうに聞く。
「誰に…?」
「王侯貴族たちに。そして…信じていた仲間たちにも」
俺は、あの夜のことを語った。
自室を襲った暗殺者の集団。その中にいた、仲間たちの顔。ライオス、セリナ、ベルナルド、リック。
共に戦い、共に笑い、共に泣いた仲間たちが、剣を俺に向けていたこと。
「どうして…!」
ソフィアが怒りに震える声で叫ぶ。
「魔王を倒したのに! 世界を救ったのに! どうして裏切るの!?」
「理由は簡単だ。俺が強すぎたから」
俺は静かに答える。
「レベル99の勇者は、王侯貴族たちにとって脅威だった。平民出身で、王や貴族の命令に逆らえるほどの力を持った存在。魔王という共通の敵がいる間は便利だったが、魔王が消えた後は…邪魔になった」
母が顔を覆う。
「そんな…ひどい…」
「仲間たちも、結局は貴族の命令に従った。自分の家族や地位を守るために、俺を犠牲にすることを選んだ」
マルクが拳を握りしめる。
「それで…どうなったの…?」
「俺は怒り、全力で戦った。暗殺者たちを倒し、仲間たちを打ちのめし、王宮の一部を破壊して逃げた」
家族が驚愕の表情を浮かべる。
「そして、森の中で…女神に向かって叫んだんだ」
俺は、あの時のことを鮮明に思い出す。夜空を見上げ、怒りと悲しみを込めて叫んだあの瞬間を。
「『女神よ! 答えろ! お前が俺をこの世界に呼んだんだろう!』って」
「女神…」
レオが小さな声で繰り返す。
「そしたら、本当に女神が現れた。光の柱が降りてきて、俺は神界に召喚された」
俺は、神界でのことを語った。
女神セレスティアとの対話。彼女の深い謝罪。涙を流しながら頭を下げた女神の姿。
「女神は言った。『本当に申し訳ございませんでした』って。異世界召喚は緊急措置だったけど、人間の心の醜さまでは予見できなかった。勇者を守る義務があったのに、守れなかった、って」
母が目を潤ませる。
「女神様でさえ…謝罪を…」
「そして、女神は裏切った者たちに報いを与えた。神託を下したんだ。王侯貴族たちの悪行を、世界中に暴露する神託を」
「それで…その王国は…?」
母が恐る恐る聞く。
「滅んだ」
俺は静かに答える。
「神託を受けた教会が、王国を糾弾した。教会は全ての施設を引き上げ、治癒魔法も祝福も全て失われた。民衆は怒り、暴動を起こし、隣国に逃げ出した。三ヶ月後、王国は完全に崩壊した」
沈黙。
重い、重い沈黙が部屋を支配する。
「俺は、その三ヶ月間、天界からその光景を見ていた。王や貴族たちが民衆に引き渡される場面も、裏切った仲間たちが処刑される場面も、全部」
ソフィアが震える声で言う。
「それは…報いだわ…当然の…」
「ああ、そうかもしれない。でも…複雑だった。俺を裏切った彼らが、あんな風に終わるのを見るのは」
母が俺の手を握った。
「辛かったのね…一人で、全部…」
「うん…でも、女神は優しかった。三ヶ月間、天界で俺を慰めてくれた。そして、提案してくれたんだ」
「提案…?」
「神になって天界で暮らすか、それとも転生するか、って」
家族が息を呑む。
「俺は、転生を選んだ」
「どうして…?」
マルクが聞く。
「天界は…退屈だったから」
俺は苦笑する。
「美しい庭園、豪華な宮殿、美味しい食事。でも、戦う相手もいない、目的もない。ただ永遠に平和な日々が続くだけ。俺には、向いていなかった」
「それで…転生を…」
「ああ。女神は、特別な措置をしてくれた。転生先はランダムだけど、前世のスキル、記憶、そして空間収納の中身を全て継承させてくれると」
俺は空間収納の魔法陣を出現させた。
家族が驚いて身を乗り出す。半透明の魔法陣が、テーブルの上に浮かんでいる。
「これが、空間収納。前世で集めた全ての装備やアイテムが入っている」
画面をスクロールして見せる。勇者の剣、ミスリルの鎧、魔法の指輪、そして大量の万能丸薬。
「今日、双子に食べさせた金色の丸薬も、ここから出したものだ」
リナが目を輝かせる。
「あの美味しいやつ!」
「そう。これは万能丸薬といって、一粒で一日分の栄養を補給できて、病気や怪我も治せる。俺は三万個持っている」
「三万…!」
母が驚愕する。
「それだけあれば…村中の人たちを…」
「ああ、助けられる。それに、前世で集めた金貨も数千枚ある。でも今日、盗賊討伐で金貨五十二枚の謝礼と賞金が入るから、それも使える」
家族が改めて驚く。
「金貨五十二枚…」
母が震える声で言う。
「それは…5200万ルピナ…私たちが一生かかっても稼げない金額…」
「そのお金で、家族を楽にできる。家も直せるし、食べ物にも困らなくなる」
俺は画面を閉じた。
「そして、俺は転生した。この世界に、アレン・ヴァルトハイムとして生まれた」
母が涙を流していた。
「じゃあ…あなたは…七年間…ずっと…」
「いや、記憶が蘇ったのは今日だ。七歳の誕生日に、突然全ての記憶が戻ってきた」
俺は今朝のことを話した。
空腹で動けなかったこと。記憶が蘇ったこと。双子を助けたこと。そして、母たちを探しに行ったこと。
「盗賊を見つけた時、俺は…怒りで我を失いそうになった」
拳を握りしめる。
「前世で裏切られて、せっかく新しい人生を始められたのに、また家族が奪われそうになった。それが…許せなかった」
母が俺を抱きしめた。
「アレン…あなたは…本当に…苦しかったのね…」
「母さん…」
「一人で戦って、一人で裏切られて、一人で苦しんで…そして今日、私たちを助けるために、また戦った…」
母の涙が、俺の頭に落ちる。
「でも、もう大丈夫よ。あなたは一人じゃない。私たちがいる。家族がいる」
その言葉に、俺の目からも涙が溢れた。
前世では、誰もこんな風に抱きしめてくれなかった。誰も、俺の痛みを理解しようとしてくれなかった。
でも、母は違う。この家族は違う。
「母さん…ごめん…こんな変な息子で…」
「何を言っているの。あなたは私の大切な息子よ。前世でどんな人だったとしても、今のあなたは私の息子。それに変わりはないわ」
ソフィアも泣いていた。
「ひどい…その王侯貴族たち…許せない…!」
怒りと悲しみで震えている。
「アレンは世界を救ったのに…なのに裏切るなんて…!」
「姉さん…」
「でも、もう大丈夫。私が守るから。アレンを、家族を、絶対に守るから」
マルクも、目に涙を浮かべながら言う。
「すごいよ、アレン…本物の勇者なんだ…魔王を倒して、今日も盗賊を全滅させて…」
その目には、尊敬と憧れが混じっている。
「僕も…強くなりたい。アレンみたいに、家族を守れるくらい」
双子は、まだ完全には理解できていないようだったが、それでも何かを感じ取ったのか、俺に抱きついてきた。
「お兄ちゃん、大好き!」
「ずっと一緒だよ!」
俺は、家族全員を見回した。
母の優しい涙。姉の怒りと決意。兄の憧れと尊敬。双子の無邪気な愛情。
これが、家族だ。
これが、俺が本当に欲しかったものだ。
「みんな…ありがとう」
俺は心から言った。
「全部話して、良かった。隠し事はしたくなかったから」
母が優しく微笑む。
「当然よ。家族なんだから、何でも話し合わないと」
「でも、これからどうする?」
マルクが現実的な質問をする。
「アレンの力があれば、何でもできるんじゃ…」
「確かに、俺の力は強い。でも、それを周りに知られすぎるのは危険だ」
俺は真剣な表情で言う。
「前世で学んだ。強すぎる力は、人々の嫉妬と恐怖を招く。今日のことも、村の人たちには『偶然魔法が使えた子供が助けた』程度に思われている方がいい」
「でも…」
ソフィアが言いかける。
「ただし、家族は別だ」
俺は家族全員を見つめる。
「母さん、姉さん、兄さん、そして双子にも。俺は、力を教えたいと思っている」
「力を…教える…?」
「そう。魔法や剣術を教える。訓練をして、みんなを強くする。そうすれば、俺が前世で感じたような孤独は感じなくて済む。それに、家族みんなが強ければ、何があっても守り合える」
母が心配そうに言う。
「でも、それは危険じゃない…?」
「大丈夫だよ、母さん。時間をかけて、少しずつ教えていく。そして、いつかは…この家族全員が、誰にも負けない強さを持つようになる」
俺は立ち上がり、決意を込めて宣言した。
「最強家族を作る。それが、俺のこの人生での目標だ」
家族全員が、驚きと期待の入り混じった表情で俺を見る。
「前世では一人で戦った。でも、この人生では違う。みんなと一緒に、強くなる。みんなと一緒に、幸せになる」
母が立ち上がり、俺の手を取った。
「わかったわ、アレン。私も、強くなる。もう二度と、あんな恐ろしい目に遭いたくないもの」
ソフィアも立ち上がる。
「私も! 絶対に強くなって、家族を守る!」
マルクも。
「僕も! アレンに教えてもらって、強くなる!」
双子も、よく分からないながらも嬉しそうに叫ぶ。
「僕も強くなる!」
「私も!」
俺は家族全員を見回し、微笑んだ。
「じゃあ、明日から訓練を始めよう。まずは基礎体力作りと、魔力の感知から」
「魔力の感知…?」
母が聞く。
「ああ。実は、人間は誰でも魔力を持っている。ただ、それを感じ取れるか、使えるかは訓練次第なんだ」
俺は空間収納から、魔力探知の水晶を取り出した。拳大の、透明な水晶。
「これで、みんなの魔力適性を調べてみよう」
一人ずつ、水晶に手を触れさせる。
母――水晶が、青と緑の光を放つ。
「母さんは、水と回復の属性。青と緑の光が輝いてる」
母が驚いて水晶を見つめる。
「私が…魔法を…?」
「ああ。水魔法と回復魔法の才能がある。治癒術師になれるよ。母さんなら、きっと村の人たちを癒せる素晴らしい治癒術師になれる」
次に姉――水晶が赤く輝く。
「姉さんは炎の属性。赤い光が強い」
ソフィアが目を輝かせる。
「炎魔法…!」
「攻撃魔法と剣術を組み合わせれば、炎剣士になれる。かっこいいぞ」
次に兄――薄い青緑の光。
「兄さんは風の属性」
マルクが嬉しそうに水晶を見る。
「風魔法…」
「速度と正確さが求められる弓術と相性がいい。狙撃手タイプだね」
そして双子――レオは黄色い光、リナは白い光。
「双子は珍しい属性だ。レオは雷魔法、リナは光魔法」
双子が嬉しそうに跳ねる。
「すごーい!」
「魔法使える!」
「どちらも強力だけど、まだ幼いから、もう少し大きくなってから本格的に訓練しよう。今は魔力を感じる練習だけでいい」
母が感慨深げに呟く。
「みんな…才能があるのね…」
「才能は誰にでもある。ただ、それを引き出すかどうかだ」
俺は家族全員を見回した。
「これから、大変な訓練になるかもしれない。でも、必ずみんなを強くする。そして、幸せにする」
家族全員が、決意に満ちた表情で頷いた。
母が優しく微笑む。
「それに、金貨五十二枚もあれば、当分の生活は安泰ね。家も修理できるし、新しい服も買えるし、食べ物にも困らない」
「ああ。でもそのお金は、もっと有効に使いたい」
俺は考えを述べる。
「村の人たちにも、万能丸薬を配りたい。みんな貧しくて、病気や怪我で苦しんでいる人も多い」
母が心配そうに言う。
「でも、三万個あるって言っても、配りすぎたら…」
「大丈夫。一人一粒で十分だ。村の人口は約二百人。二百個配っても、まだ二万九千個以上残る」
ソフィアが言う。
「それに、お金もあるんだし、村の人たちを助けるのはいいことだと思う」
「そうだね。じゃあ、明日、村の人たちに配ろう」
俺は決めた。
「それと、冒険者ギルドに登録しようと思う」
「冒険者ギルド?」
マルクが聞く。
「ああ。魔物を討伐したり、依頼をこなしたりして報酬を得る組織だ。そこで活動すれば、合法的に力を使えるし、お金も稼げる」
母が少し心配そうだが、頷く。
「わかったわ。でも、無理はしないでね」
「大丈夫だよ、母さん。それに、将来的にはみんなも一緒に冒険者になれたらいいと思ってる」
家族が目を輝かせる。
「家族で冒険者…」
ソフィアが夢見るように言う。
「素敵…」
この夜、ヴァルトハイム家は、新たな一歩を踏み出した。
前世の勇者だった少年と、その家族が、共に歩む道。
それは、困難に満ちているかもしれない。
でも、絆があれば乗り越えられる。
家族の絆が、何よりも強い力になる。
俺は、心からそう信じていた。
そして、窓の外の夜空を見上げた。
満天の星空。
その星の一つが、特に明るく輝いていた。
まるで、女神が見守ってくれているかのように。
「ありがとう、セレスティア」
小さく呟く。
「この家族に出会わせてくれて。この温かい家族に」
星が、一瞬だけさらに強く輝いた気がした。
これが、俺の二度目の人生の、本当の始まり。
家族と共に歩む、幸せへの道の、第一歩だった。
母が俺の頭を優しく撫でた。
「さあ、今日はもう遅いわ。みんな、寝ましょう」
「うん」
家族全員が、笑顔で頷いた。
今夜は、全員が安心して眠れる。
家族が揃っている。
明日への希望がある。
そして、何よりも――愛し合う家族がいる。
これ以上の幸せが、あるだろうか。
俺は、心から思った。
転生して、本当に良かった、と。
次回:第6話「村の朝と新たな決意」
夜が訪れていた。
粗末な木造の家の中、小さな食卓に家族六人が集まっている。
母エレナ、姉ソフィア、兄マルク、双子のレオとリナ、そして俺。
テーブルの上には、空間収納から取り出した保存食が並んでいる。乾パン、干し肉、チーズ、そして果物。この貧しい家では見たこともないような豪華な食事だ。
双子は嬉しそうに食べているが、母と姉と兄は、食事よりも俺の方に注意を向けている。
町から帰ってきて、双子との再会を喜び合った後、母はずっと複雑な表情をしていた。安堵と、驚きと、そして困惑が入り混じった表情。
そして、ようやく双子が落ち着いた今、母が口を開いた。
「アレン…話をしましょう。全部、聞かせて」
その声は優しいが、同時に毅然としている。母親として、家族を守るために、真実を知る必要があるという意思が込められていた。
俺は深呼吸をした。
ここからが、本当の始まりだ。
家族に、全てを打ち明ける。前世のこと、勇者だったこと、裏切られたこと、転生したこと。
嘘はつかない。隠し事もしない。
全てを、ありのままに話す。
「わかった。でも、長い話になる。途中で信じられないことも出てくると思う。それでも、全部本当のことだから」
母が頷く。
「構わないわ。全部聞かせて」
姉と兄も真剣な表情で頷く。双子は、よく分からないながらも、何か大事な話だと感じ取ったのか、静かに座っている。
俺は、言葉を選びながら話し始めた。
「俺には…二つの記憶がある」
家族が、じっと俺を見つめる。
「一つは、この世界で生まれてから今日までの七年間の記憶。母さん、父さん、姉さん、兄さん、双子…みんなと過ごした日々の記憶」
そこまでは、みんな理解できる。当たり前のことだから。
「そして、もう一つは…前の人生の記憶」
母の目が、わずかに見開かれる。
「前の…人生…?」
「ああ。俺は、転生者なんだ」
沈黙。
家族全員が、息を呑んでいる。
「転生…それって…」
ソフィアが震える声で言う。
「死んで、生まれ変わるってこと…?」
「そうだ。俺は前世で死んで、この世界に、アレン・ヴァルトハイムとして生まれ変わった」
マルクが困惑した表情で聞く。
「前世って…どこの…?」
「別の世界だよ。この世界とは全く違う世界」
俺は、前世のことを話し始めた。
日本という国のこと。高層ビルが立ち並ぶ都市のこと。魔法のない、科学技術が発達した世界のこと。
そこで俺は、ハルト・タカハシという名前の、普通の大学生だったこと。
二十二歳の時、突然異世界に召喚されたこと。
家族は、まるで御伽噺を聞くような表情で、俺の話に聞き入っている。
「召喚された先は、エルディア王国という国だった。そこで俺は、『勇者』として魔王を倒すように命じられた」
「魔王…」
母が呟く。
「本当に、そんなものが…」
「いた。強大な力を持った魔王が、世界を脅かしていた。俺は、元の世界に帰るために、魔王を倒すことを選んだ」
俺は、五年間の戦いのことを語った。
最初は何もできない弱い存在だったこと。仲間と出会い、共に戦ったこと。少しずつ強くなり、スキルを習得し、魔法を覚えたこと。
レベルという概念。ステータス。魔物との戦い。
「そして、五年後…俺はレベル99に到達した。人間が到達できる最高レベルだ」
「レベル…99…」
マルクが信じられないという表情で繰り返す。
「それって…どれくらい強いの…?」
「今日、盗賊二十五人を一瞬で無力化できたのも、そのレベルの力があったから」
家族が息を呑む。あの光景を思い出しているのだろう。
「そして、仲間たちと共に、魔王城に乗り込んだ。激しい戦いの末、俺たちは魔王を倒した」
ソフィアが目を輝かせる。
「すごい…本当に魔王を…」
「ああ。世界に平和が訪れた。人々は喜び、俺たちは英雄として称えられた」
そこまでは、美しい物語だ。勇者が魔王を倒し、世界を救う。
でも。
「でも…それで終わりじゃなかった」
俺の声が、暗くなる。
家族が、緊張した表情で俺を見る。
「魔王を倒してから三ヶ月後…俺は、裏切られた」
「裏切られた…?」
母が不安そうに聞く。
「誰に…?」
「王侯貴族たちに。そして…信じていた仲間たちにも」
俺は、あの夜のことを語った。
自室を襲った暗殺者の集団。その中にいた、仲間たちの顔。ライオス、セリナ、ベルナルド、リック。
共に戦い、共に笑い、共に泣いた仲間たちが、剣を俺に向けていたこと。
「どうして…!」
ソフィアが怒りに震える声で叫ぶ。
「魔王を倒したのに! 世界を救ったのに! どうして裏切るの!?」
「理由は簡単だ。俺が強すぎたから」
俺は静かに答える。
「レベル99の勇者は、王侯貴族たちにとって脅威だった。平民出身で、王や貴族の命令に逆らえるほどの力を持った存在。魔王という共通の敵がいる間は便利だったが、魔王が消えた後は…邪魔になった」
母が顔を覆う。
「そんな…ひどい…」
「仲間たちも、結局は貴族の命令に従った。自分の家族や地位を守るために、俺を犠牲にすることを選んだ」
マルクが拳を握りしめる。
「それで…どうなったの…?」
「俺は怒り、全力で戦った。暗殺者たちを倒し、仲間たちを打ちのめし、王宮の一部を破壊して逃げた」
家族が驚愕の表情を浮かべる。
「そして、森の中で…女神に向かって叫んだんだ」
俺は、あの時のことを鮮明に思い出す。夜空を見上げ、怒りと悲しみを込めて叫んだあの瞬間を。
「『女神よ! 答えろ! お前が俺をこの世界に呼んだんだろう!』って」
「女神…」
レオが小さな声で繰り返す。
「そしたら、本当に女神が現れた。光の柱が降りてきて、俺は神界に召喚された」
俺は、神界でのことを語った。
女神セレスティアとの対話。彼女の深い謝罪。涙を流しながら頭を下げた女神の姿。
「女神は言った。『本当に申し訳ございませんでした』って。異世界召喚は緊急措置だったけど、人間の心の醜さまでは予見できなかった。勇者を守る義務があったのに、守れなかった、って」
母が目を潤ませる。
「女神様でさえ…謝罪を…」
「そして、女神は裏切った者たちに報いを与えた。神託を下したんだ。王侯貴族たちの悪行を、世界中に暴露する神託を」
「それで…その王国は…?」
母が恐る恐る聞く。
「滅んだ」
俺は静かに答える。
「神託を受けた教会が、王国を糾弾した。教会は全ての施設を引き上げ、治癒魔法も祝福も全て失われた。民衆は怒り、暴動を起こし、隣国に逃げ出した。三ヶ月後、王国は完全に崩壊した」
沈黙。
重い、重い沈黙が部屋を支配する。
「俺は、その三ヶ月間、天界からその光景を見ていた。王や貴族たちが民衆に引き渡される場面も、裏切った仲間たちが処刑される場面も、全部」
ソフィアが震える声で言う。
「それは…報いだわ…当然の…」
「ああ、そうかもしれない。でも…複雑だった。俺を裏切った彼らが、あんな風に終わるのを見るのは」
母が俺の手を握った。
「辛かったのね…一人で、全部…」
「うん…でも、女神は優しかった。三ヶ月間、天界で俺を慰めてくれた。そして、提案してくれたんだ」
「提案…?」
「神になって天界で暮らすか、それとも転生するか、って」
家族が息を呑む。
「俺は、転生を選んだ」
「どうして…?」
マルクが聞く。
「天界は…退屈だったから」
俺は苦笑する。
「美しい庭園、豪華な宮殿、美味しい食事。でも、戦う相手もいない、目的もない。ただ永遠に平和な日々が続くだけ。俺には、向いていなかった」
「それで…転生を…」
「ああ。女神は、特別な措置をしてくれた。転生先はランダムだけど、前世のスキル、記憶、そして空間収納の中身を全て継承させてくれると」
俺は空間収納の魔法陣を出現させた。
家族が驚いて身を乗り出す。半透明の魔法陣が、テーブルの上に浮かんでいる。
「これが、空間収納。前世で集めた全ての装備やアイテムが入っている」
画面をスクロールして見せる。勇者の剣、ミスリルの鎧、魔法の指輪、そして大量の万能丸薬。
「今日、双子に食べさせた金色の丸薬も、ここから出したものだ」
リナが目を輝かせる。
「あの美味しいやつ!」
「そう。これは万能丸薬といって、一粒で一日分の栄養を補給できて、病気や怪我も治せる。俺は三万個持っている」
「三万…!」
母が驚愕する。
「それだけあれば…村中の人たちを…」
「ああ、助けられる。それに、前世で集めた金貨も数千枚ある。でも今日、盗賊討伐で金貨五十二枚の謝礼と賞金が入るから、それも使える」
家族が改めて驚く。
「金貨五十二枚…」
母が震える声で言う。
「それは…5200万ルピナ…私たちが一生かかっても稼げない金額…」
「そのお金で、家族を楽にできる。家も直せるし、食べ物にも困らなくなる」
俺は画面を閉じた。
「そして、俺は転生した。この世界に、アレン・ヴァルトハイムとして生まれた」
母が涙を流していた。
「じゃあ…あなたは…七年間…ずっと…」
「いや、記憶が蘇ったのは今日だ。七歳の誕生日に、突然全ての記憶が戻ってきた」
俺は今朝のことを話した。
空腹で動けなかったこと。記憶が蘇ったこと。双子を助けたこと。そして、母たちを探しに行ったこと。
「盗賊を見つけた時、俺は…怒りで我を失いそうになった」
拳を握りしめる。
「前世で裏切られて、せっかく新しい人生を始められたのに、また家族が奪われそうになった。それが…許せなかった」
母が俺を抱きしめた。
「アレン…あなたは…本当に…苦しかったのね…」
「母さん…」
「一人で戦って、一人で裏切られて、一人で苦しんで…そして今日、私たちを助けるために、また戦った…」
母の涙が、俺の頭に落ちる。
「でも、もう大丈夫よ。あなたは一人じゃない。私たちがいる。家族がいる」
その言葉に、俺の目からも涙が溢れた。
前世では、誰もこんな風に抱きしめてくれなかった。誰も、俺の痛みを理解しようとしてくれなかった。
でも、母は違う。この家族は違う。
「母さん…ごめん…こんな変な息子で…」
「何を言っているの。あなたは私の大切な息子よ。前世でどんな人だったとしても、今のあなたは私の息子。それに変わりはないわ」
ソフィアも泣いていた。
「ひどい…その王侯貴族たち…許せない…!」
怒りと悲しみで震えている。
「アレンは世界を救ったのに…なのに裏切るなんて…!」
「姉さん…」
「でも、もう大丈夫。私が守るから。アレンを、家族を、絶対に守るから」
マルクも、目に涙を浮かべながら言う。
「すごいよ、アレン…本物の勇者なんだ…魔王を倒して、今日も盗賊を全滅させて…」
その目には、尊敬と憧れが混じっている。
「僕も…強くなりたい。アレンみたいに、家族を守れるくらい」
双子は、まだ完全には理解できていないようだったが、それでも何かを感じ取ったのか、俺に抱きついてきた。
「お兄ちゃん、大好き!」
「ずっと一緒だよ!」
俺は、家族全員を見回した。
母の優しい涙。姉の怒りと決意。兄の憧れと尊敬。双子の無邪気な愛情。
これが、家族だ。
これが、俺が本当に欲しかったものだ。
「みんな…ありがとう」
俺は心から言った。
「全部話して、良かった。隠し事はしたくなかったから」
母が優しく微笑む。
「当然よ。家族なんだから、何でも話し合わないと」
「でも、これからどうする?」
マルクが現実的な質問をする。
「アレンの力があれば、何でもできるんじゃ…」
「確かに、俺の力は強い。でも、それを周りに知られすぎるのは危険だ」
俺は真剣な表情で言う。
「前世で学んだ。強すぎる力は、人々の嫉妬と恐怖を招く。今日のことも、村の人たちには『偶然魔法が使えた子供が助けた』程度に思われている方がいい」
「でも…」
ソフィアが言いかける。
「ただし、家族は別だ」
俺は家族全員を見つめる。
「母さん、姉さん、兄さん、そして双子にも。俺は、力を教えたいと思っている」
「力を…教える…?」
「そう。魔法や剣術を教える。訓練をして、みんなを強くする。そうすれば、俺が前世で感じたような孤独は感じなくて済む。それに、家族みんなが強ければ、何があっても守り合える」
母が心配そうに言う。
「でも、それは危険じゃない…?」
「大丈夫だよ、母さん。時間をかけて、少しずつ教えていく。そして、いつかは…この家族全員が、誰にも負けない強さを持つようになる」
俺は立ち上がり、決意を込めて宣言した。
「最強家族を作る。それが、俺のこの人生での目標だ」
家族全員が、驚きと期待の入り混じった表情で俺を見る。
「前世では一人で戦った。でも、この人生では違う。みんなと一緒に、強くなる。みんなと一緒に、幸せになる」
母が立ち上がり、俺の手を取った。
「わかったわ、アレン。私も、強くなる。もう二度と、あんな恐ろしい目に遭いたくないもの」
ソフィアも立ち上がる。
「私も! 絶対に強くなって、家族を守る!」
マルクも。
「僕も! アレンに教えてもらって、強くなる!」
双子も、よく分からないながらも嬉しそうに叫ぶ。
「僕も強くなる!」
「私も!」
俺は家族全員を見回し、微笑んだ。
「じゃあ、明日から訓練を始めよう。まずは基礎体力作りと、魔力の感知から」
「魔力の感知…?」
母が聞く。
「ああ。実は、人間は誰でも魔力を持っている。ただ、それを感じ取れるか、使えるかは訓練次第なんだ」
俺は空間収納から、魔力探知の水晶を取り出した。拳大の、透明な水晶。
「これで、みんなの魔力適性を調べてみよう」
一人ずつ、水晶に手を触れさせる。
母――水晶が、青と緑の光を放つ。
「母さんは、水と回復の属性。青と緑の光が輝いてる」
母が驚いて水晶を見つめる。
「私が…魔法を…?」
「ああ。水魔法と回復魔法の才能がある。治癒術師になれるよ。母さんなら、きっと村の人たちを癒せる素晴らしい治癒術師になれる」
次に姉――水晶が赤く輝く。
「姉さんは炎の属性。赤い光が強い」
ソフィアが目を輝かせる。
「炎魔法…!」
「攻撃魔法と剣術を組み合わせれば、炎剣士になれる。かっこいいぞ」
次に兄――薄い青緑の光。
「兄さんは風の属性」
マルクが嬉しそうに水晶を見る。
「風魔法…」
「速度と正確さが求められる弓術と相性がいい。狙撃手タイプだね」
そして双子――レオは黄色い光、リナは白い光。
「双子は珍しい属性だ。レオは雷魔法、リナは光魔法」
双子が嬉しそうに跳ねる。
「すごーい!」
「魔法使える!」
「どちらも強力だけど、まだ幼いから、もう少し大きくなってから本格的に訓練しよう。今は魔力を感じる練習だけでいい」
母が感慨深げに呟く。
「みんな…才能があるのね…」
「才能は誰にでもある。ただ、それを引き出すかどうかだ」
俺は家族全員を見回した。
「これから、大変な訓練になるかもしれない。でも、必ずみんなを強くする。そして、幸せにする」
家族全員が、決意に満ちた表情で頷いた。
母が優しく微笑む。
「それに、金貨五十二枚もあれば、当分の生活は安泰ね。家も修理できるし、新しい服も買えるし、食べ物にも困らない」
「ああ。でもそのお金は、もっと有効に使いたい」
俺は考えを述べる。
「村の人たちにも、万能丸薬を配りたい。みんな貧しくて、病気や怪我で苦しんでいる人も多い」
母が心配そうに言う。
「でも、三万個あるって言っても、配りすぎたら…」
「大丈夫。一人一粒で十分だ。村の人口は約二百人。二百個配っても、まだ二万九千個以上残る」
ソフィアが言う。
「それに、お金もあるんだし、村の人たちを助けるのはいいことだと思う」
「そうだね。じゃあ、明日、村の人たちに配ろう」
俺は決めた。
「それと、冒険者ギルドに登録しようと思う」
「冒険者ギルド?」
マルクが聞く。
「ああ。魔物を討伐したり、依頼をこなしたりして報酬を得る組織だ。そこで活動すれば、合法的に力を使えるし、お金も稼げる」
母が少し心配そうだが、頷く。
「わかったわ。でも、無理はしないでね」
「大丈夫だよ、母さん。それに、将来的にはみんなも一緒に冒険者になれたらいいと思ってる」
家族が目を輝かせる。
「家族で冒険者…」
ソフィアが夢見るように言う。
「素敵…」
この夜、ヴァルトハイム家は、新たな一歩を踏み出した。
前世の勇者だった少年と、その家族が、共に歩む道。
それは、困難に満ちているかもしれない。
でも、絆があれば乗り越えられる。
家族の絆が、何よりも強い力になる。
俺は、心からそう信じていた。
そして、窓の外の夜空を見上げた。
満天の星空。
その星の一つが、特に明るく輝いていた。
まるで、女神が見守ってくれているかのように。
「ありがとう、セレスティア」
小さく呟く。
「この家族に出会わせてくれて。この温かい家族に」
星が、一瞬だけさらに強く輝いた気がした。
これが、俺の二度目の人生の、本当の始まり。
家族と共に歩む、幸せへの道の、第一歩だった。
母が俺の頭を優しく撫でた。
「さあ、今日はもう遅いわ。みんな、寝ましょう」
「うん」
家族全員が、笑顔で頷いた。
今夜は、全員が安心して眠れる。
家族が揃っている。
明日への希望がある。
そして、何よりも――愛し合う家族がいる。
これ以上の幸せが、あるだろうか。
俺は、心から思った。
転生して、本当に良かった、と。
次回:第6話「村の朝と新たな決意」
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