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仕事から帰り雑事を済ませ寝室にいるといつの間にか桂さんはそばにいて、少しの会話のうちにまどろむと朝には消えている。
そんな毎日が続く。
盛り上がる会話を交わすわけではないがぽつぽつ親交が深まっている気がしている。
彼の本体の金木犀もすこぶる元気で、僕も自分の健康状態には気を使っているおかげで調子が良い。
そのうちなぜか会社で僕に恋人がいると噂されるようになった。
「芳樹、俺にも紹介しろよ」
「えっ、だ、誰をですか?」
「いるんだろ? 彼女」
「いませんよ」
「隠すなよ。俺にまで」
出先からの帰りにコーヒーでも飲もうと岡田先輩に誘われたカフェで唐突に恋人の存在を尋ねられた。
「いえ、ほんとなんですって」
「でもなあ、芳樹。 なんかみんな言うようにさ――綺麗になった」
「き、綺麗って――男に言うことじゃないでしょう」
「ん――」
岡田先輩は複雑な表情をする。
「もし、そんな人ができたら一番言いますよ」
「そうか?」
「ええ、もちろんです」
どうやら桂さんのおかげで健康どころか美容効果が出ているらしい。確かに最近肌が滑らかになっているし、艶が出ているかもしれない。
改めて植物の重要性を社会に訴えたいものだなと思いながら、岡田先輩には森林浴のおかげだと言っておいた。
あまり信じてもらえた感じはないが実際に桂さんが側にいることは森林浴になっている。どちらにしろ、彼のことを話しても、もっと信じてもらえないだろうと思うと少し寂しかった。
横並びでベッドに腰かけ、少し彼の肩にもたれた状態で今日の出来事を話す。
「私が恋人だと不服なのか?」
「え?」
思ってもいなかった言葉に声が出なくなった。
「あ、あの――」
「この姿になってだんだん欲するということがわかってきた。お前が嫌がることはしない。ただお前が欲しいと思うことがある」
「け、桂さん――」
暗闇に花の香りが強い。空気が甘く濃厚になっていく。
「人間の営みを何度も見てきたが今ならなんとなくわかる。痛みを与えることだけは相容れぬがな」
「ぼ、僕は――桂さんに比べるととても小さな存在で、あ、あなたを恋人だなんてとても――」
「私を好まぬか」
「そ、そんなこと!桂さんのことが――好きです。ずっと居てほしい」
「居るだけでよいのか?」
深い緑のエメラルドのように輝く瞳が僕をとらえて離さない。言葉に出すと心が動き出す。彼が――好きだ。同時に失う怖さを感じる。
「こわい。今より深く思うことが――もし、もしも――」
「形のあるものはいつか無くなる。そのことはお前以上に私も知っている。そして今のこの想いがなくなることも」
「想いも――なくなる……」
「今まで私には思いなどなかった。お前たちが思うことを思うようにやりたがることもただ眺めてきただけだ。しかし何にもならなくともその思いのためにこの身体は動くのだな」
桂さんは植物でありながら人の心と身体に自身で感心しているようだった。
「桂さんは僕のことをどう思っているのですか? その姿になって会うのが僕だけだから――恋人って思うんじゃないでしょうか」
自分で自分を傷つけながらも聞かずにはおけない質問だ。『そうだ』と言われれば辛いが納得する。
「お前が良い。この姿にならずとも、お前以外を欲しない」
「ほ、ほんとうに?」
豪華なこの美しい人がちっぽけな僕を欲してくれるというのか。舞い上がりそうな気分とまさかという気持ちが同居する。
「自分を過小評価しすぎだ。そして私を過大評価し過ぎている」
「だ、だって――」
「私は長く生きているだけだ。お前は意志をもって私たちを守って育んでいる」
するっと伸びてきた両手が僕の頬をかすり髪の毛の中に滑り込み頭を包み込んだ。桂さんの端正な顔が近づいてくる。
「け、桂さん……」
「委ねろ」
抗う気持ちなどすでに一切ない。心の命ずるまま彼に身体を預ける。
以前の人工呼吸のような口づけが今夜はより甘い。
彼の清涼な息が舌を絡められながら入ってくる。
「あ、うぅ、桂さん……」
これは恋人同士のキスだ。唇を上も下も軽く吸われ舐められ、また吸われる。僕も彼の動きに応じて波のように返す。
彼の手は頬と髪を撫でながら、ゆるゆると服を脱がせ肌を撫で始める。
「あっ……」
指先が乳首を撫でまわす。
「雄でもここは感じるだろう」
口づけがだんだんと下降して首筋に降りてくる。初めての経験にあまり不安を感じないのは両手を繋いでくれているからだろうか。
彼の4本の腕のうち2本は僕の手とつなぎ、もう2本は身体中を愛撫している。
身体の中心が疼き始めると、桂さんは膝から太腿を撫で上げ、僕のそこに触れた。
「熱くなっているな」
恥ずかしくて目を逸らすと顎を引かれ口づけられる。
「や、だ。見ないで」
少し笑んだように見える表情が優しく感じられた。同時に僕のそこに硬い彼のモノが寄り添わられる。
「あ、桂――さんのが」
2本まとめて彼は摩擦を与え始める。
「あっあっあぁあ」
「この方が怖くないだろう」
人ではないのに誰よりも優しいと思う反面、肉体の高ぶりがもっと強い刺激を求めているのを感じた。
「け、いさん、優しくしないで――もっと、お願い……」
荒く息をし途切れ途切れに話す僕を桂さんは通常通りの落ち着いた様子で見つめ返す。
「人間とは不条理だな。苦痛さえも糧になるらしい」
「違うんです。ひどくしてほしいわけじゃない。――もっと――求めてもらいたいです」
彼はなだめるような目つきで髪をひと撫でし、僕の両膝を立て開かせた。上体を起こしてするりとローブが落ち、滑らかな象牙色の肌が見える。
僕はこれからのことに期待で鼓動が激しくなってきた。どうしてこんなに欲しいのか。
肌と肌が触れするりと滑る感触を僕は愛しむ。
「すべすべして気持ちいいです」
恍惚とする僕の蕾を彼は蜜で濡らし優しく優しくほぐす。
「うぅ……」
彼の優しさがもどかしい。奪ってほしいそう願っていると彼自身がゆるゆると入ってきた。
「苦しくないか」
「あっ、つ、平気です――んん」
苦痛がないとは言わないがそれよりも深く繋がりたい気持ちでいっぱいだ。
「や、やめないで。もっときて――」
「――」
ぐっと腰を押し進め彼が深く深く入ってくる。
「う、くぅ」
「辛そうだな」
「い、いえ、大丈夫」
痛みと内圧があっても繋がっている満足感があった。
甘い口づけを感じていると少し萎えてしまった僕のものに再び彼の固いものが、あてがわれた。
「えっ!?」
驚きで少し上体をずらすと、桂さんは体勢を立て直すように僕の身体を支えて寝かせる。
「あ、な、中にも桂さん、のが、入ってるのに」
僕の中に桂さんがいる。しかし僕のと彼のをまとめて優しくこすられる感覚もある。
両足を抱えられ、硬くなっていくものを愛撫され僕は快感と混乱の渦の中にいた。
「私のことをあまり知らないのか」
頭の中をインターネットで調べた金木犀に関する情報が流れていく。
――金木犀は雌雄異株(しゆういしゅ)で雄花だけを咲かせる株と雌花だけを咲かせる株がある。
雄花はおしべが2本あり――
「あぁ、お、おしべが2本……」
「そうだ。中がなじむまでこちらを良くしてやろう」
「あっ、あむぅ、あぅうふぅう」
口づけで口がふさがれているのに甘い息が吹き込まれてくる。下半身は摩擦され、熱を帯びる。僕の先からぬるりと愛液が垂れ始め、摩擦音に水音が混じり始める。
「ああぅ、け、桂さん、も、う、ぼ、僕イキ、そう」
「そうか。好きな時にいけばよい」
「あっ、あっ、ぼ、僕だけ、で? う、くぅ」
「嫌なのか」
「お、お願いです。桂さんも、い、イって――」
「いいだろう」
まとめて速度を上げてこすり上げられ、僕は痙攣し達する。
「あ、くっ、うっ、ふっ――はぁ、はぁ――」
桂さんも同時に少しの身震いをし放出したようだ。
「すごくたくさん出たな」
彼の掌に僕の白濁した液と彼の蜜ろう色の液が並んで乗っている。ぼんやり見ていると彼は僕の液を啜った。
「あ、やだ、そんなこと、だめ」
手をとろうとすると「お前にはこちらだ」と手のひらに残った彼の体液を口に流し込まれた。
「んんっ、あ、あま、い……」
濃厚な桂花陳酒のようだ。うっとりとしていると「こっちも良くなってきたな」という彼の声に、別のところから湧いてくる快感を思い出していた。
放出によって少し冷めたかと思ったが、桂さんがゆっくりと動き出すとまた心地よさと熱気が身体中に広がっていく。
「あぁ……」
「ふむ。良さそうだな」
表情も息遣いも変わらない桂さんが僕を覗き込んで確認する。
「あっ、うっ、け、いさんは、良くないの、です、か?」
「よい」
「な、んか、あんまり、んん」
「元々、快か不快しかない。それでもお前とこうするととても心地よい」
「そ、うですか。よか、った」
少し笑んで彼は動きを大きくし速度を上げた。
「あっ! だっ、め、ああっ!」
「だめなのか? 本当に心と言葉が裏腹なものだな」
確かに本当にダメではないが、この快感と羞恥心をどう伝えたらいいのか。考えても快感の波が思考を奪い声をあげるしかなかった。
「またこちらも回復してきたようだな」
「あぅっ――」
いつの間にか起立している僕のものを桂さんは優しく撫でる。二か所から同時に快感に襲われ耐えることが出来ない。
「もうっ、も、う、だ、めっ、あ、くぅ――い、くっ」
「私も出そう」
身体の中心から圧力を少し感じた瞬間僕は絶頂感と浮遊感を感じる。
「ああっああぁぁ――あ、はぁ、ああ、はぁはぁ……」
痙攣する身体を優しく包み、髪を撫で口づけを与えた後、彼は耳元で何か歌うように囁いた。甘美で優雅なその囁きが唐の詩人、白居易の『長恨歌』であることを知ったのはずっと後のことだった。
そんな毎日が続く。
盛り上がる会話を交わすわけではないがぽつぽつ親交が深まっている気がしている。
彼の本体の金木犀もすこぶる元気で、僕も自分の健康状態には気を使っているおかげで調子が良い。
そのうちなぜか会社で僕に恋人がいると噂されるようになった。
「芳樹、俺にも紹介しろよ」
「えっ、だ、誰をですか?」
「いるんだろ? 彼女」
「いませんよ」
「隠すなよ。俺にまで」
出先からの帰りにコーヒーでも飲もうと岡田先輩に誘われたカフェで唐突に恋人の存在を尋ねられた。
「いえ、ほんとなんですって」
「でもなあ、芳樹。 なんかみんな言うようにさ――綺麗になった」
「き、綺麗って――男に言うことじゃないでしょう」
「ん――」
岡田先輩は複雑な表情をする。
「もし、そんな人ができたら一番言いますよ」
「そうか?」
「ええ、もちろんです」
どうやら桂さんのおかげで健康どころか美容効果が出ているらしい。確かに最近肌が滑らかになっているし、艶が出ているかもしれない。
改めて植物の重要性を社会に訴えたいものだなと思いながら、岡田先輩には森林浴のおかげだと言っておいた。
あまり信じてもらえた感じはないが実際に桂さんが側にいることは森林浴になっている。どちらにしろ、彼のことを話しても、もっと信じてもらえないだろうと思うと少し寂しかった。
横並びでベッドに腰かけ、少し彼の肩にもたれた状態で今日の出来事を話す。
「私が恋人だと不服なのか?」
「え?」
思ってもいなかった言葉に声が出なくなった。
「あ、あの――」
「この姿になってだんだん欲するということがわかってきた。お前が嫌がることはしない。ただお前が欲しいと思うことがある」
「け、桂さん――」
暗闇に花の香りが強い。空気が甘く濃厚になっていく。
「人間の営みを何度も見てきたが今ならなんとなくわかる。痛みを与えることだけは相容れぬがな」
「ぼ、僕は――桂さんに比べるととても小さな存在で、あ、あなたを恋人だなんてとても――」
「私を好まぬか」
「そ、そんなこと!桂さんのことが――好きです。ずっと居てほしい」
「居るだけでよいのか?」
深い緑のエメラルドのように輝く瞳が僕をとらえて離さない。言葉に出すと心が動き出す。彼が――好きだ。同時に失う怖さを感じる。
「こわい。今より深く思うことが――もし、もしも――」
「形のあるものはいつか無くなる。そのことはお前以上に私も知っている。そして今のこの想いがなくなることも」
「想いも――なくなる……」
「今まで私には思いなどなかった。お前たちが思うことを思うようにやりたがることもただ眺めてきただけだ。しかし何にもならなくともその思いのためにこの身体は動くのだな」
桂さんは植物でありながら人の心と身体に自身で感心しているようだった。
「桂さんは僕のことをどう思っているのですか? その姿になって会うのが僕だけだから――恋人って思うんじゃないでしょうか」
自分で自分を傷つけながらも聞かずにはおけない質問だ。『そうだ』と言われれば辛いが納得する。
「お前が良い。この姿にならずとも、お前以外を欲しない」
「ほ、ほんとうに?」
豪華なこの美しい人がちっぽけな僕を欲してくれるというのか。舞い上がりそうな気分とまさかという気持ちが同居する。
「自分を過小評価しすぎだ。そして私を過大評価し過ぎている」
「だ、だって――」
「私は長く生きているだけだ。お前は意志をもって私たちを守って育んでいる」
するっと伸びてきた両手が僕の頬をかすり髪の毛の中に滑り込み頭を包み込んだ。桂さんの端正な顔が近づいてくる。
「け、桂さん……」
「委ねろ」
抗う気持ちなどすでに一切ない。心の命ずるまま彼に身体を預ける。
以前の人工呼吸のような口づけが今夜はより甘い。
彼の清涼な息が舌を絡められながら入ってくる。
「あ、うぅ、桂さん……」
これは恋人同士のキスだ。唇を上も下も軽く吸われ舐められ、また吸われる。僕も彼の動きに応じて波のように返す。
彼の手は頬と髪を撫でながら、ゆるゆると服を脱がせ肌を撫で始める。
「あっ……」
指先が乳首を撫でまわす。
「雄でもここは感じるだろう」
口づけがだんだんと下降して首筋に降りてくる。初めての経験にあまり不安を感じないのは両手を繋いでくれているからだろうか。
彼の4本の腕のうち2本は僕の手とつなぎ、もう2本は身体中を愛撫している。
身体の中心が疼き始めると、桂さんは膝から太腿を撫で上げ、僕のそこに触れた。
「熱くなっているな」
恥ずかしくて目を逸らすと顎を引かれ口づけられる。
「や、だ。見ないで」
少し笑んだように見える表情が優しく感じられた。同時に僕のそこに硬い彼のモノが寄り添わられる。
「あ、桂――さんのが」
2本まとめて彼は摩擦を与え始める。
「あっあっあぁあ」
「この方が怖くないだろう」
人ではないのに誰よりも優しいと思う反面、肉体の高ぶりがもっと強い刺激を求めているのを感じた。
「け、いさん、優しくしないで――もっと、お願い……」
荒く息をし途切れ途切れに話す僕を桂さんは通常通りの落ち着いた様子で見つめ返す。
「人間とは不条理だな。苦痛さえも糧になるらしい」
「違うんです。ひどくしてほしいわけじゃない。――もっと――求めてもらいたいです」
彼はなだめるような目つきで髪をひと撫でし、僕の両膝を立て開かせた。上体を起こしてするりとローブが落ち、滑らかな象牙色の肌が見える。
僕はこれからのことに期待で鼓動が激しくなってきた。どうしてこんなに欲しいのか。
肌と肌が触れするりと滑る感触を僕は愛しむ。
「すべすべして気持ちいいです」
恍惚とする僕の蕾を彼は蜜で濡らし優しく優しくほぐす。
「うぅ……」
彼の優しさがもどかしい。奪ってほしいそう願っていると彼自身がゆるゆると入ってきた。
「苦しくないか」
「あっ、つ、平気です――んん」
苦痛がないとは言わないがそれよりも深く繋がりたい気持ちでいっぱいだ。
「や、やめないで。もっときて――」
「――」
ぐっと腰を押し進め彼が深く深く入ってくる。
「う、くぅ」
「辛そうだな」
「い、いえ、大丈夫」
痛みと内圧があっても繋がっている満足感があった。
甘い口づけを感じていると少し萎えてしまった僕のものに再び彼の固いものが、あてがわれた。
「えっ!?」
驚きで少し上体をずらすと、桂さんは体勢を立て直すように僕の身体を支えて寝かせる。
「あ、な、中にも桂さん、のが、入ってるのに」
僕の中に桂さんがいる。しかし僕のと彼のをまとめて優しくこすられる感覚もある。
両足を抱えられ、硬くなっていくものを愛撫され僕は快感と混乱の渦の中にいた。
「私のことをあまり知らないのか」
頭の中をインターネットで調べた金木犀に関する情報が流れていく。
――金木犀は雌雄異株(しゆういしゅ)で雄花だけを咲かせる株と雌花だけを咲かせる株がある。
雄花はおしべが2本あり――
「あぁ、お、おしべが2本……」
「そうだ。中がなじむまでこちらを良くしてやろう」
「あっ、あむぅ、あぅうふぅう」
口づけで口がふさがれているのに甘い息が吹き込まれてくる。下半身は摩擦され、熱を帯びる。僕の先からぬるりと愛液が垂れ始め、摩擦音に水音が混じり始める。
「ああぅ、け、桂さん、も、う、ぼ、僕イキ、そう」
「そうか。好きな時にいけばよい」
「あっ、あっ、ぼ、僕だけ、で? う、くぅ」
「嫌なのか」
「お、お願いです。桂さんも、い、イって――」
「いいだろう」
まとめて速度を上げてこすり上げられ、僕は痙攣し達する。
「あ、くっ、うっ、ふっ――はぁ、はぁ――」
桂さんも同時に少しの身震いをし放出したようだ。
「すごくたくさん出たな」
彼の掌に僕の白濁した液と彼の蜜ろう色の液が並んで乗っている。ぼんやり見ていると彼は僕の液を啜った。
「あ、やだ、そんなこと、だめ」
手をとろうとすると「お前にはこちらだ」と手のひらに残った彼の体液を口に流し込まれた。
「んんっ、あ、あま、い……」
濃厚な桂花陳酒のようだ。うっとりとしていると「こっちも良くなってきたな」という彼の声に、別のところから湧いてくる快感を思い出していた。
放出によって少し冷めたかと思ったが、桂さんがゆっくりと動き出すとまた心地よさと熱気が身体中に広がっていく。
「あぁ……」
「ふむ。良さそうだな」
表情も息遣いも変わらない桂さんが僕を覗き込んで確認する。
「あっ、うっ、け、いさんは、良くないの、です、か?」
「よい」
「な、んか、あんまり、んん」
「元々、快か不快しかない。それでもお前とこうするととても心地よい」
「そ、うですか。よか、った」
少し笑んで彼は動きを大きくし速度を上げた。
「あっ! だっ、め、ああっ!」
「だめなのか? 本当に心と言葉が裏腹なものだな」
確かに本当にダメではないが、この快感と羞恥心をどう伝えたらいいのか。考えても快感の波が思考を奪い声をあげるしかなかった。
「またこちらも回復してきたようだな」
「あぅっ――」
いつの間にか起立している僕のものを桂さんは優しく撫でる。二か所から同時に快感に襲われ耐えることが出来ない。
「もうっ、も、う、だ、めっ、あ、くぅ――い、くっ」
「私も出そう」
身体の中心から圧力を少し感じた瞬間僕は絶頂感と浮遊感を感じる。
「ああっああぁぁ――あ、はぁ、ああ、はぁはぁ……」
痙攣する身体を優しく包み、髪を撫で口づけを与えた後、彼は耳元で何か歌うように囁いた。甘美で優雅なその囁きが唐の詩人、白居易の『長恨歌』であることを知ったのはずっと後のことだった。
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