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第一部
12 元カレの結婚
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緋紗が昼食を終え、仕事場の作業台でお茶を啜っているとガラッと扉が開いて誰か入ってきた。
振り返ると二年前に別れた渡辺達郎が立っている。
「あら。久しぶり。どうしたん?」
喧嘩別れしたわけでもなく嫌いになったわけでもないのでさらっと緋紗は声をかけたたが、達郎はなんだか変な表情をしている。
「わい、今度結婚するじゃ。それで松尾先生に式の招待状持ってきた」
長かった髪の毛を切り短髪になった達郎は、以前の少し暑苦しい作家風な容貌からこざっぱりとした好青年になっていた。
「へー。おめでとう!いつの間にー」
「ありがと。別にええんじゃけど。あんなあ」
「んん?」
「おめえ、先週の土曜、男と一緒にホテル街歩いとったじゃろ」
ぎょっとして少し慌てたが緋紗は、「それがどうかした?」と、平静を装って答えた。
「別にええんじゃけど。なんか大丈夫なんかなあって」
別れた女の心配をする二代目の人の良さに感心しながら緋紗は、「ちゃんとした恋人だから心配せんでええよ」と、嘘をついた。――あーあ。またこれで余計な噂されるなあ。
別の心配も出てきてしまったので話をごまかそうと「結婚相手ってどんな娘?」 と、話を達郎のほうへ振る。達郎は照れながら話す。
「去年センター卒業した娘で、うちに手伝いに来とったんじゃ」
「ほうほう。それで手を出したわけね」
「最初そんな気、全然なかったんじゃけど、でれぇなつかれて」
しどろもどろに話しながらも、喜びの表情が見て取れる達郎に心から祝福した。
達郎は備前焼作家の二代目で陶芸センターでは後輩にあたり、年齢も緋紗より二つ下だ。
一度適当な飲み会に参加したときに盛り上がって付き合ったのだが、亭主関白で強引な達郎と個人主義であっさりした緋紗とは水と油だった。
お互いに尊敬できる部分もあったため嫌いになることはなかったが、交われない部分が多すぎるため別れる方がいいと判断した。
久しぶりに見ると達郎も落ち着いてきた雰囲気がある。――達郎に合う娘なんだろうな。
「私は呼んでくれなくていいよ」
笑いながら言うと「さすがに元カノ呼べまあ」と、達郎も笑って言った。
「あの男と結婚すん?」
再び聞いてくる。――しつこいなあ。
「いやー。まだ付き合って浅いしさ」
「ふうん。おめえも早う幸せになられ」
「うんうん。達郎もお幸せにね」
面倒になった緋紗は適当に済ませた。
達郎が帰った後少し考えそうになったが、師匠の松尾が来たので仕事を始めた。
振り返ると二年前に別れた渡辺達郎が立っている。
「あら。久しぶり。どうしたん?」
喧嘩別れしたわけでもなく嫌いになったわけでもないのでさらっと緋紗は声をかけたたが、達郎はなんだか変な表情をしている。
「わい、今度結婚するじゃ。それで松尾先生に式の招待状持ってきた」
長かった髪の毛を切り短髪になった達郎は、以前の少し暑苦しい作家風な容貌からこざっぱりとした好青年になっていた。
「へー。おめでとう!いつの間にー」
「ありがと。別にええんじゃけど。あんなあ」
「んん?」
「おめえ、先週の土曜、男と一緒にホテル街歩いとったじゃろ」
ぎょっとして少し慌てたが緋紗は、「それがどうかした?」と、平静を装って答えた。
「別にええんじゃけど。なんか大丈夫なんかなあって」
別れた女の心配をする二代目の人の良さに感心しながら緋紗は、「ちゃんとした恋人だから心配せんでええよ」と、嘘をついた。――あーあ。またこれで余計な噂されるなあ。
別の心配も出てきてしまったので話をごまかそうと「結婚相手ってどんな娘?」 と、話を達郎のほうへ振る。達郎は照れながら話す。
「去年センター卒業した娘で、うちに手伝いに来とったんじゃ」
「ほうほう。それで手を出したわけね」
「最初そんな気、全然なかったんじゃけど、でれぇなつかれて」
しどろもどろに話しながらも、喜びの表情が見て取れる達郎に心から祝福した。
達郎は備前焼作家の二代目で陶芸センターでは後輩にあたり、年齢も緋紗より二つ下だ。
一度適当な飲み会に参加したときに盛り上がって付き合ったのだが、亭主関白で強引な達郎と個人主義であっさりした緋紗とは水と油だった。
お互いに尊敬できる部分もあったため嫌いになることはなかったが、交われない部分が多すぎるため別れる方がいいと判断した。
久しぶりに見ると達郎も落ち着いてきた雰囲気がある。――達郎に合う娘なんだろうな。
「私は呼んでくれなくていいよ」
笑いながら言うと「さすがに元カノ呼べまあ」と、達郎も笑って言った。
「あの男と結婚すん?」
再び聞いてくる。――しつこいなあ。
「いやー。まだ付き合って浅いしさ」
「ふうん。おめえも早う幸せになられ」
「うんうん。達郎もお幸せにね」
面倒になった緋紗は適当に済ませた。
達郎が帰った後少し考えそうになったが、師匠の松尾が来たので仕事を始めた。
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