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第一部
15 電話
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大友家の週末恒例の賑やかな夕飯が終わり、兄の颯介は今夜もまた緋紗のことを聞き出そうとする。
「おい。岡山どうだった。会いに行ったんだろ?会えたのか?」
「うん。まあね」
この話題にはなるだろうなと覚悟しておいたが聞かれるとやはり鬱陶しい。――ほっといてくれない人だなあ。
「よく会ってもらえたよな。ラインどころかメール一つやり取りしてないんだろ」
変に感心しながら颯介は言った。
「今度は番号交換したよ」
「ほー。まだ続きそうだな。で、また岡山に行くのか?」
颯介の野次馬ぶりに苦笑していると携帯電話が鳴った。
「あ、電話だ」
――宮下ひさ
「じゃ兄貴また。義姉さん、ゆっくりしていって」
口早にそういって部屋を出、電話をとる。
『もしもし』
『もしもし。大友さんの携帯電話でしょうか』
透明感のある声が聞こえる。
『そうです。ひさ?』
『はい。あの、休みの日程が決まったのでお知らせしようと……』
『そう。いつからいつまで?』
『三十日から五日までです。四日には岡山に帰っていたいですけど』
『そうか。三十日中にこっちにこれる?』
『はい。お昼までには到着できると思います』
『うん。岡山からだと三時間くらいだね。そんなに慌てなくていいから新幹線に乗るときに電話くれる?着くころ駅まで迎えに行くから』
『わかりました。じゃあ当日電話します』
『じゃあその日に』
『はい』
『会えるのを楽しみにしているよ』
『私もです。それじゃおやすみなさい』
『お休み』
直樹が電話を終えると颯介がニヤニヤしながら立っていた。
「聞いてたのかよ」
「今ちょっと聞こえただけだって。一緒にペンション行くのか」
「まあね」
「よく来てくれるなあ。物好きだな」
さっきと同じリアクションで颯介は驚いて見せる。
ちょっと考え込んだ直樹を見て、「冗談だって。きっとお前のこと好きになったんだな。まあ仲良くしろよー。聖乃が風呂から出たから帰るよ。またな」 と、口早に言った。
「ああ、おやすみ」
――好きか……。
自分もたぶん緋紗を好きだと思うから会いたいんだろう。
たまに緋紗のことを考えている自分に気づいてハッとすることもある。
ただ今は会いたいから会う関係だと思った。
「おい。岡山どうだった。会いに行ったんだろ?会えたのか?」
「うん。まあね」
この話題にはなるだろうなと覚悟しておいたが聞かれるとやはり鬱陶しい。――ほっといてくれない人だなあ。
「よく会ってもらえたよな。ラインどころかメール一つやり取りしてないんだろ」
変に感心しながら颯介は言った。
「今度は番号交換したよ」
「ほー。まだ続きそうだな。で、また岡山に行くのか?」
颯介の野次馬ぶりに苦笑していると携帯電話が鳴った。
「あ、電話だ」
――宮下ひさ
「じゃ兄貴また。義姉さん、ゆっくりしていって」
口早にそういって部屋を出、電話をとる。
『もしもし』
『もしもし。大友さんの携帯電話でしょうか』
透明感のある声が聞こえる。
『そうです。ひさ?』
『はい。あの、休みの日程が決まったのでお知らせしようと……』
『そう。いつからいつまで?』
『三十日から五日までです。四日には岡山に帰っていたいですけど』
『そうか。三十日中にこっちにこれる?』
『はい。お昼までには到着できると思います』
『うん。岡山からだと三時間くらいだね。そんなに慌てなくていいから新幹線に乗るときに電話くれる?着くころ駅まで迎えに行くから』
『わかりました。じゃあ当日電話します』
『じゃあその日に』
『はい』
『会えるのを楽しみにしているよ』
『私もです。それじゃおやすみなさい』
『お休み』
直樹が電話を終えると颯介がニヤニヤしながら立っていた。
「聞いてたのかよ」
「今ちょっと聞こえただけだって。一緒にペンション行くのか」
「まあね」
「よく来てくれるなあ。物好きだな」
さっきと同じリアクションで颯介は驚いて見せる。
ちょっと考え込んだ直樹を見て、「冗談だって。きっとお前のこと好きになったんだな。まあ仲良くしろよー。聖乃が風呂から出たから帰るよ。またな」 と、口早に言った。
「ああ、おやすみ」
――好きか……。
自分もたぶん緋紗を好きだと思うから会いたいんだろう。
たまに緋紗のことを考えている自分に気づいてハッとすることもある。
ただ今は会いたいから会う関係だと思った。
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