42 / 140
第一部
42 リアル
しおりを挟む
直樹はゲームを落としてから備前市の伊部駅周辺のマップを開いた。
備前焼作家と窯元以外に少しの個人店と病院、ビジネスホテルが一軒ある程度だろうか。――陶芸しかないところだな。
眺めていると携帯電話が鳴った。
番号が通知されているだけだ。
『もしもし』
『大友か?俺俺』
『オレオレ詐欺か?』
『三上だよ。三上博通だよ』
『ああ三上か。久しぶり。よく番号がわかったな』
『この前、佐野に会ったろ』
『ああそうだった』
『同窓会の場所と日時決まったから教えておこうと思ってさ』
『葉書出さないのかよ』
『出すよ。でもおまえいつも音信不通だったからさ。どこいるんだよ今』
『実家に帰ってるよ』
『なんだじゃあ来いよな。場所は【シフト】な』
『おまえんちじゃん』
『ハハハ。そうだよ』
『三月二十一日の六時から一応十時までで二次会は適当だな』
『祝日か』
『都合悪くないだろ?佐野から大友は土日祝休みで残業なしとか聞いたぞ』
『そうだけどな』
『飲み放題にするから楽しめよ。ほとんど全員参加だ』
『うん。まあいくよ』
『じゃあな』
『じゃ』
――同窓会か……。たまにはいいか。
パソコンを落としてベッドに入り『スカーレット』のことを思い出してみる。――ネカマか。
なんとなく面白くなった。
ゲームを始めた当初は女性ユーザーは非常に少なかった。
今でこそ学生、社会人、主婦など増えてきてはいるがやはり少数だ。
おかげで『月姫』のような〈ネカマ〉が男性ユーザーをその気にさせ、貢がせ強くなっていくパターンも少なからずあった。
『月姫』は単なる都合上、女キャラを扱っているだけで、直樹には最初から男だとわかっていたしゲームを楽しめれば男でも女でもどっちでも良かった。
さっき心配をしなくていいと『スカーレット』には言ったが実は『ミスト』は〈リアル女〉からアプローチされることが多々あった。
最初は初心者がレベリングやクエストを手伝ってほしいとか、そういうささやかなことなのだが段々慣れて強くなってくると『ミスト』に自分を守らせようとし、そのうち『ミスト』のプレイスキルの高さや強さ、物おじしない落ち着いた態度にのぼせあがってくる。
これが男だと単純な戦闘パートナーになりうるのだが女性は『ミスト』を独占したがるようになるのだった。
そうなってくると直樹は面倒になりイン率が下がる。
少し間が空くと他の男にくっついているので〈引退〉するほどではないのだが。
緋紗は〈リアル女〉を売りにはしてないのだろう。
純粋にゲームを楽しんでいる様子は戦い方を見ればわかった。――いつもいきなりだよな。
最初の出会いからそうだったが、さっきの戦闘で倒されてしまった時も唐突だった。
本人にとっては勿論狙っていたのだろうが、ポンっと目の前に現れる緋紗に直樹はいつもドキッとする。――ほんと豹みたいだ。
小夜子にきついアイラインを入れられていた緋紗の目とすんなりした肢体を思い出した。
直樹は緋紗の身体を細部まで記憶している。――溜まってるのかな。
苦笑したがそれほど強い欲情ではないのでそのままにした。――次は四月だ。
静岡は温暖で天気も良く全然厳しい冬ではないが、それでも春の到来が待ち遠しく感じられた。
備前焼作家と窯元以外に少しの個人店と病院、ビジネスホテルが一軒ある程度だろうか。――陶芸しかないところだな。
眺めていると携帯電話が鳴った。
番号が通知されているだけだ。
『もしもし』
『大友か?俺俺』
『オレオレ詐欺か?』
『三上だよ。三上博通だよ』
『ああ三上か。久しぶり。よく番号がわかったな』
『この前、佐野に会ったろ』
『ああそうだった』
『同窓会の場所と日時決まったから教えておこうと思ってさ』
『葉書出さないのかよ』
『出すよ。でもおまえいつも音信不通だったからさ。どこいるんだよ今』
『実家に帰ってるよ』
『なんだじゃあ来いよな。場所は【シフト】な』
『おまえんちじゃん』
『ハハハ。そうだよ』
『三月二十一日の六時から一応十時までで二次会は適当だな』
『祝日か』
『都合悪くないだろ?佐野から大友は土日祝休みで残業なしとか聞いたぞ』
『そうだけどな』
『飲み放題にするから楽しめよ。ほとんど全員参加だ』
『うん。まあいくよ』
『じゃあな』
『じゃ』
――同窓会か……。たまにはいいか。
パソコンを落としてベッドに入り『スカーレット』のことを思い出してみる。――ネカマか。
なんとなく面白くなった。
ゲームを始めた当初は女性ユーザーは非常に少なかった。
今でこそ学生、社会人、主婦など増えてきてはいるがやはり少数だ。
おかげで『月姫』のような〈ネカマ〉が男性ユーザーをその気にさせ、貢がせ強くなっていくパターンも少なからずあった。
『月姫』は単なる都合上、女キャラを扱っているだけで、直樹には最初から男だとわかっていたしゲームを楽しめれば男でも女でもどっちでも良かった。
さっき心配をしなくていいと『スカーレット』には言ったが実は『ミスト』は〈リアル女〉からアプローチされることが多々あった。
最初は初心者がレベリングやクエストを手伝ってほしいとか、そういうささやかなことなのだが段々慣れて強くなってくると『ミスト』に自分を守らせようとし、そのうち『ミスト』のプレイスキルの高さや強さ、物おじしない落ち着いた態度にのぼせあがってくる。
これが男だと単純な戦闘パートナーになりうるのだが女性は『ミスト』を独占したがるようになるのだった。
そうなってくると直樹は面倒になりイン率が下がる。
少し間が空くと他の男にくっついているので〈引退〉するほどではないのだが。
緋紗は〈リアル女〉を売りにはしてないのだろう。
純粋にゲームを楽しんでいる様子は戦い方を見ればわかった。――いつもいきなりだよな。
最初の出会いからそうだったが、さっきの戦闘で倒されてしまった時も唐突だった。
本人にとっては勿論狙っていたのだろうが、ポンっと目の前に現れる緋紗に直樹はいつもドキッとする。――ほんと豹みたいだ。
小夜子にきついアイラインを入れられていた緋紗の目とすんなりした肢体を思い出した。
直樹は緋紗の身体を細部まで記憶している。――溜まってるのかな。
苦笑したがそれほど強い欲情ではないのでそのままにした。――次は四月だ。
静岡は温暖で天気も良く全然厳しい冬ではないが、それでも春の到来が待ち遠しく感じられた。
0
あなたにおすすめの小説
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる