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第三部
9 嫉妬
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直樹が新人を迎えに行っている間に緋紗はテーブルの上をセッティングした。
料理はいつも自分の客だからと直樹が用意してくれる。(私がするよりいいか)
綺麗な仕上がりの料理をみて緋紗は舌なめずりをした。
「ただいま」
直樹が柚香を連れて帰ってきた。
「どうぞ」
「失礼します」
「いらっしゃい」
「浅井柚香です」
緋紗より一つ目線が高く丸顔で愛らしい。
栗色のボブで毛先がゆるく巻いてあり、ふんわりしたチュニックを着た柚香は林業女子というより森ガールだった。(こんなかわいい子が木を切ってるの?)
少し緋紗はおどろきながらテーブルへ促した。
「浅井さんはお酒飲めるの?」
直樹が聞くと
「えーっと。あんまりですね。サワーを少し飲むくらいで」
柚香は恥ずかしそうに顔を赤らめながら答えている。
緋紗が甘めの白ワインを出して持ってきた。
「これでも少し召し上がる?」
「あ、すみません。ちょっといただきます」
直樹は運転があるので、柚香のグラスと緋紗のグラスにワインは注がれた。
優樹もテーブルに着き、みんなで乾杯をしてから食事を始めた。
柚香が料理に感心をする。
「奥さんはすっごい料理得意なんですねえー。これじゃお店です」
「あ、いえ。これ主人なの」
「え。大友さんの?」
「お父さんは料理うまいんだよ。お母さんのご飯も美味しいけどね」
優樹が自慢そうに言った。
「すごいですねえ。私は料理全くダメなんですよねー」
「そうなんだね」
直樹は優しく微笑んだ。
柚香の話を聞いてやり、飲み物や食事にさりげない気配りをする直樹に、今更ながら緋紗は(直樹さんってなんでもできるよなあ)と感心して見た。
と、同時に柚香の直樹を嬉しそうに見つめる様子に少し暗い気持ちを感じる。(女性の多い職場だったらモテモテなんじゃ……)
他の男の組合員に対する態度と全く一緒だと思うが、なんとなく柚香に対してはもっと優しい態度のように映ってしまう。(これからずっと若くてかわいい子のこと一緒に仕事するんだ……)
なんだか不安になってきてしまい、ワインを一人で飲んでしまった。
「そろそろ失礼します」
「送っていくよ」
「じゃあごちそうさまでした」
「いえ。またいらしてね」
緋紗は頑張って笑顔を作って答えた。
直樹と柚香が出て行った後、小さくため息をついて片付けを始めた。
優樹も一緒に手伝いながら「さっきの人、お父さんと一緒に仕事してるの?」 と、聞いてきた。
「そうよ。女の人なのに頑張るね」
緋紗はぼんやり答えた。
少し片付けて優樹を風呂に促して寝かした。(なんか帰ってくるの遅いな……)
ワインのせいか心配と嫉妬が入り混じった複雑な気分になってくる。
すっきりしない気持ちを入浴でなんとかし、寝室で直樹を待った。
帰宅した直樹は台所がすっかり片付いて暗くなっているので、風呂に入ってから寝室に向かった。
ベッドでは緋紗がウトウトしかけている。
「ただいま」
「あ、おかえりなさい。気が付かなかった」
「いいよ。今日はありがとう」
「ううん。私は特に……。遅かったのね。遠いの?家」
「うん。市の端っこなんだ。事故で渋滞もしてたから遅くなったよ」
「そっか」
直樹はなんとなく落ち着かない様子の緋紗に「飲み過ぎた?」 と優しく聞いた。
こういう時の緋紗は何か解消できない思いを抱いていて消化できずに困っていることが多かった。
「ううん。なんかあんなに若くてかわいい子がいつもそばに居ると思うと心配で」
率直な物言いに直樹は(自分のことは全く気付いていないんだな)と沢田のことを思い出しくすりと笑って言う。
「緋紗以外に興味湧かないよ」
「ん。ごめんなさい」
「ほら、おいで。どっちが焼きもち焼きなんだろうね。緋紗と俺は」
「それは私でしょ」
「そうかな」
そう言いながら直樹は緋紗に口づけしパジャマのボタンを外した。
全て脱がしてしまい全裸にする。
直樹は胡坐をかいてその上に緋紗を座らせた。
向かい合って見つめると緋紗は恥ずかしそうに目を伏せた。
「もう入れる?」
「うん」
緋紗の敏感な部分はもう十分に潤っている。
今日のセックスのスパイスは『嫉妬』だった。
色々な感情が、負の感情でさえもセックスを彩り、深い味わいに変えていた。
少し腰を浮かせさせ対面で座ったまま挿入する。
緋紗はゆっくりと身体を沈めながらとぎれとぎれの息を吐き出した。
「全部入ったよ」
お互いの尾てい骨からゆっくりマッサージしながら背筋を撫で上げていくと、身体の内側から熱い快感が高まるのを感じる。
「直樹さん、気持ちいい」
「こんな気持ちのいいセックス。緋紗とじゃなきゃできないよ」
「いっぱいキスして」
何度も口づけをしてから腰を持って動かしてやると、喘ぎながら緋紗自らも動き快感が深まるところを探し始めた。
「ああっ」
感じるところがあるらしい。
直樹は位置をずらさず動いた。そして目の前で揺れる緋紗の乳房に顔をうずめる。
「もう……だめ」
「もっと抱かせて」
動き続けると緋紗は直樹の首に回した手に力を込め、短い声を発してしがみ付く。
二つの身体が螺旋状に絡み合って、一つになるような快感を得て直樹は放出した。
料理はいつも自分の客だからと直樹が用意してくれる。(私がするよりいいか)
綺麗な仕上がりの料理をみて緋紗は舌なめずりをした。
「ただいま」
直樹が柚香を連れて帰ってきた。
「どうぞ」
「失礼します」
「いらっしゃい」
「浅井柚香です」
緋紗より一つ目線が高く丸顔で愛らしい。
栗色のボブで毛先がゆるく巻いてあり、ふんわりしたチュニックを着た柚香は林業女子というより森ガールだった。(こんなかわいい子が木を切ってるの?)
少し緋紗はおどろきながらテーブルへ促した。
「浅井さんはお酒飲めるの?」
直樹が聞くと
「えーっと。あんまりですね。サワーを少し飲むくらいで」
柚香は恥ずかしそうに顔を赤らめながら答えている。
緋紗が甘めの白ワインを出して持ってきた。
「これでも少し召し上がる?」
「あ、すみません。ちょっといただきます」
直樹は運転があるので、柚香のグラスと緋紗のグラスにワインは注がれた。
優樹もテーブルに着き、みんなで乾杯をしてから食事を始めた。
柚香が料理に感心をする。
「奥さんはすっごい料理得意なんですねえー。これじゃお店です」
「あ、いえ。これ主人なの」
「え。大友さんの?」
「お父さんは料理うまいんだよ。お母さんのご飯も美味しいけどね」
優樹が自慢そうに言った。
「すごいですねえ。私は料理全くダメなんですよねー」
「そうなんだね」
直樹は優しく微笑んだ。
柚香の話を聞いてやり、飲み物や食事にさりげない気配りをする直樹に、今更ながら緋紗は(直樹さんってなんでもできるよなあ)と感心して見た。
と、同時に柚香の直樹を嬉しそうに見つめる様子に少し暗い気持ちを感じる。(女性の多い職場だったらモテモテなんじゃ……)
他の男の組合員に対する態度と全く一緒だと思うが、なんとなく柚香に対してはもっと優しい態度のように映ってしまう。(これからずっと若くてかわいい子のこと一緒に仕事するんだ……)
なんだか不安になってきてしまい、ワインを一人で飲んでしまった。
「そろそろ失礼します」
「送っていくよ」
「じゃあごちそうさまでした」
「いえ。またいらしてね」
緋紗は頑張って笑顔を作って答えた。
直樹と柚香が出て行った後、小さくため息をついて片付けを始めた。
優樹も一緒に手伝いながら「さっきの人、お父さんと一緒に仕事してるの?」 と、聞いてきた。
「そうよ。女の人なのに頑張るね」
緋紗はぼんやり答えた。
少し片付けて優樹を風呂に促して寝かした。(なんか帰ってくるの遅いな……)
ワインのせいか心配と嫉妬が入り混じった複雑な気分になってくる。
すっきりしない気持ちを入浴でなんとかし、寝室で直樹を待った。
帰宅した直樹は台所がすっかり片付いて暗くなっているので、風呂に入ってから寝室に向かった。
ベッドでは緋紗がウトウトしかけている。
「ただいま」
「あ、おかえりなさい。気が付かなかった」
「いいよ。今日はありがとう」
「ううん。私は特に……。遅かったのね。遠いの?家」
「うん。市の端っこなんだ。事故で渋滞もしてたから遅くなったよ」
「そっか」
直樹はなんとなく落ち着かない様子の緋紗に「飲み過ぎた?」 と優しく聞いた。
こういう時の緋紗は何か解消できない思いを抱いていて消化できずに困っていることが多かった。
「ううん。なんかあんなに若くてかわいい子がいつもそばに居ると思うと心配で」
率直な物言いに直樹は(自分のことは全く気付いていないんだな)と沢田のことを思い出しくすりと笑って言う。
「緋紗以外に興味湧かないよ」
「ん。ごめんなさい」
「ほら、おいで。どっちが焼きもち焼きなんだろうね。緋紗と俺は」
「それは私でしょ」
「そうかな」
そう言いながら直樹は緋紗に口づけしパジャマのボタンを外した。
全て脱がしてしまい全裸にする。
直樹は胡坐をかいてその上に緋紗を座らせた。
向かい合って見つめると緋紗は恥ずかしそうに目を伏せた。
「もう入れる?」
「うん」
緋紗の敏感な部分はもう十分に潤っている。
今日のセックスのスパイスは『嫉妬』だった。
色々な感情が、負の感情でさえもセックスを彩り、深い味わいに変えていた。
少し腰を浮かせさせ対面で座ったまま挿入する。
緋紗はゆっくりと身体を沈めながらとぎれとぎれの息を吐き出した。
「全部入ったよ」
お互いの尾てい骨からゆっくりマッサージしながら背筋を撫で上げていくと、身体の内側から熱い快感が高まるのを感じる。
「直樹さん、気持ちいい」
「こんな気持ちのいいセックス。緋紗とじゃなきゃできないよ」
「いっぱいキスして」
何度も口づけをしてから腰を持って動かしてやると、喘ぎながら緋紗自らも動き快感が深まるところを探し始めた。
「ああっ」
感じるところがあるらしい。
直樹は位置をずらさず動いた。そして目の前で揺れる緋紗の乳房に顔をうずめる。
「もう……だめ」
「もっと抱かせて」
動き続けると緋紗は直樹の首に回した手に力を込め、短い声を発してしがみ付く。
二つの身体が螺旋状に絡み合って、一つになるような快感を得て直樹は放出した。
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