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最終話
しおりを挟むこの街の市役所で務めていると話した謎の男の名はアンドレというらしい。
アンドレは、マックスのSNSアカウントのDMを見て、
「これがあればあのニコラスを追い払うことができる」といった。
マックスは不思議に思い、「どうしてですか?」と質問した。
しかし、落ち着けと言わんばかりに男は話のつづきを話しはじめた
「とにかく今はあのニコラスの好きなように君のDMにラブコールを送らせておくことだ。そして、一週間後に口頭でニコラスを君の家に招くんだ。」
マックスは真剣な顔をして聴いていた。そしてアンドレは話す
「ただし、家に招くのは絶対に口約束で済ますんだ。DMで誘うことは絶対にしないように。跡が残るからな」
マックスはなんとなく恐ろしい気分になったが、男はまっすぐ目を見て、落ち着いて話をつづけた。
「マックスくん、君はこの街で生まれ育った。違うか?」
「・・・・はい、この街で生まれ育ちました」
「なら、君はこの街に少なくとも何かしら愛着があるはずだ。きっと好きな女の子もいるだろう?」
「そうですね」
それを聴いて男は深くうなずき、
「この街と君の未来を守ろう。君は今後もこの街で平和に暮らし、君の好きな女の子と結婚して、子供を作って、暖かい家庭をもつんだ。それに、この街なら近場で農場を営むこともできる。休日は子供たちと馬と戯れたり、花畑に座る奥さんと娘さんを見ながら、息子と野球のキャッチボールなんかをして過ごすんだ」
それはマックスにとって素晴らしい話だった。
自分がバイセクシャルであることは忘れて、メリッサと結婚して、アメリカ人がみな望むような暮らしをするんだ。
なにもかもが発展しているアメリカでは、都会でギラギラ輝く暮らしよりも、案外自然のなかで素朴な暮らしをすることを夢見る人も多い。特にひとつの街で生まれ育った人々は帰属意識も高かった。自分もこの街が好きなのだ。
そのためには、自分がバイセクシャルであることは絶対に隠し通さなければならない。
すると、アンドレは微笑み、静かにニコラスを追い払う方法を話し始めた
「君の家にニコラスを招いて、家に入ってきたところを銃で撃つんだ」
マックスは固まった。
「こ・・・殺すんですか・・・?ニコラスを・・・・それに、そんなことしたら警察に捕まりますよ」
しかし、アンドレは顔色を変えず続ける
「大丈夫だ。君が以前よりニコラスに言い寄られていて、“ニコラスが君の家に忍び込んで君をレイプしようとしたという体にすれば”、ニコラスを家の中でなら撃っても問題ない」
「・・・・・」マックスは絶句していた。
「マックスくん、そう悩むな。君が悩むべきは、ニコラスにしつこくされて、君も彼と同じように街からのけ者にされて、好きな女の子との結婚や子供たちといった夢を諦めざるを得なくなることだ」
「・・・・・・・そうかもしれないけど・・・」
「君の未来がかかっている」
そしてアンドレは続ける「大丈夫だ。実際に撃つのは俺がやる。君はニコラスを家に口頭で招けばいいだけだ。ニコラスが来たところを狙う」
それから、アンドレとはまた後日会う約束をして別れた。
―次の日の大学にて
マックスはニコラスに見つからないようにこそこそ大学の教室に入った。
しかし、なんと教室にニコラスがいた。
「マックスちゃんおはよー!ねぇねぇこれ見て!ネットで見つけたBL漫画なんだけど、これすごくエモいから」
「は!?俺がBL漫画なんて読むわけないだろ!!」
「ほんとにー??こんなにおもしろいのに、BL漫画ってね、女ごころもわかるのよ?だから、ノンケ男性ほどBL漫画を読むべきだわ!」
「知らねーよ!俺はレズビアンAVばっか観てる男だぞ、そっちのほうが女子のこと分かるに決まってんだろ」
それを聞いたクラス中が静まり返った。
「それはちょっとキモイ発言だわマックスちゃん・・・」ニコラスは困った顔をしてみせた。
「おまえに言われたくねー!!」そういってマックスは机に突っ伏した。
それから、学校の休み時間のたびにニコラスはマックスに会いに来た。
そして、大学の授業が終わり、人気のないベンチに座ってマックスは考え込んでいた。あの男との計画が頭のなかをぐるぐるとまわっていた。
その頭の片隅で、無邪気な顔で笑うニコラス。俺といるのがそんなに楽しいのかな・・・。
それとともに、ニコラスの生い立ちを考えるようにもなった。
ニコラスという男は、今までどのような生活をしてきたのだろうか・・・・ゲイを受け入れない世界で、彼はどのように自分を強く持っていたのだろうか。
バイセクシャルの自分とゲイのニコラスでは、世界の見方がちがうかもしれない。カモフラージュができるバイセクシャルとは違い、外面的な悩みはゲイのほうが強いだろう。
いつも明るいニコラスは、無理に明るくすることで自分を保っているのではないのか・・・
ニコラスのなかにある、暗い海が見えた気がした
そして。
ニコラスは、自分が想像するよりもずっと、ずっと強い人なのかもしれない。
きっとニコラスはLGBTコミュニティにとって必要な存在で、一方の自分は、LGBTの自由を奪おうとしている悪魔だ。
しかし、あの男、アンドレが言った理想的な将来像が頭から離れなかった。そんな暮らしをできたら・・・ともずっと思っていた。
気が付くとマックスは泣いていた。
すると、暖かい手が背中を撫でた。―――ニコラスだ。
どうやって俺の居場所を知ったんだろう?そんなこと構っていられなかった。マックスは泣いていた。
「マックスちゃん、何とは言わないけど、これだけは言わせて。神は僕たち人間を作った。その人間のなかにはふつうと違う人間もいるかもしれない。でも、神が間違いを犯すわけはないんだから、人と違う人間も、この世に生きる意味があるでしょう」
マックスは、泣いて問いかけた「たとえそれが罪のない人を殺す人殺しであっても・・・?」
「マックスちゃんは罪のない人を殺すような子じゃないわ・・・」
ニコラスがマックスを包み込む。暖かい。
程よく肉厚のニコラスからのハグはすべての悩みを受け止めてくれるように感じた。
――そうして、アンドレとの約束の日が来た
アンドレは以前説明した通り、マックスに今日ニコラスを家に誘うように指示を出した。
学校の昼休憩中に、マックスはニコラスを呼び出し、話した。
その話を聴いたニコラスは嬉しさで泣いていた。
加えて、マックスはメリッサにも告白をした。
今回の告白ばかりはメリッサの心に響いたようで、メリッサも嬉しさで泣いていた。
――夜の19時
例の男、アンドレとマックスは、マックスの家の中で時間が来るのを待っていた。
アンドレはマックスの家にあった銃を貸してもらい、楽しそうにしていた。
「なぁマックスくん、どのタイミングでニコラスを撃った方がいいかな?なにか希望はあるかい?」
「そうですね・・・俺は銃を持ってはいるけど、実際に弾を撃ったことはないんでわからないです。いつでもいいです。」
「そうか・・・じゃあどの角度から撃てばいいかなあ。マックスくん」
「そうですねえ・・・それも俺には・・・よくわからなくて」
マックスの声は籠っていた。ただひたすら、下を向いていた。それにお構いなくアンドレの声がはずむ。
「今日昼にニコラスを家に招待したとき、ニコラスはどうだったかい?好きな人に家に招待されて、さぞ喜んだだろう・・・ふふふ」
すると、下を向いていたマックスがまっすぐにアンドレのほうを向いて話した
「ニコラスは喜んでいましたよ・・・。フロリダ州で自分を撃った悪魔を俺が始末してくれるって聞いてさ」
ガチャッ。と弾を筒の中で動かす音とともに、マックスは銃をアンドレのほうに向けた。
「な!!何をする!!撃つのはニコラスだろ!?!?」
アンドレは慌ててマックスに向けて銃を撃とうとした。
が、マックスが渡した銃は偽物で、いくら撃とうとしても弾は出なかった。
「ま、まて!!」アンドレは慌てふためく。
「フロリダ州でニコラスに重症を負わせておいて、それでもなおこの街まで来てニコラスを始末しようとするのは異常だろ・・・おまえを活かしておくとニコラスが危ない」
「待て!!男の俺にはプライドがある!!オカマとは違うんだ。君も男ならわかるだろ!?」
「わかんないっすね俺バイセクシャルなんで」
アンドレは奇声を発して慌てふためいた。
そしてマックスは銃の引き金を握った
「あの事件を、我々は忘れない」
そういって、銃声が響き渡った。
アンドレの重い身体はその場で床に落ちた。
そうしてから、マックスは警察に電話をかけ、アンドレが人殺しを強制してきたこと、そして、自分の身も危ないと危機意識が働いたことなど、いろいろと話した。
そして後日、裁判が行われたが、スタンド・ユア・グラウンド法により無罪になった。それとともに、アンドレが率いていたLGBT差別主義のグループも危険組織として警察に捕まった。
―――そのころニコラスとメリッサは・・・・
ニコラスとメリッサは静かな公園のベンチに座っていた。
メリッサは泣きながら、マックスからの告白の内容をニコラスに話していた
「あのとき、マックスは自分がバイセクシャルであることを私に告白してくれたの・・・」
ニコラスは、嬉しそうな顔をしてうなずいた。そして、メリッサは話の続きを話す
「そして、マックスはこういったの「君が俺とデートできない理由も知ってる。知ってたのに、諦められなかった。今までしつこくしてごめん。でも、俺たちはこれからも仲間だ。」って」
「そっか、マックスちゃん、やっとこメリッサちゃんがレズビアンであることを知ったんだね。でもどうやって知ったのかしら?」
「前に、LGBTのカフェが襲撃に遭ったことをマックスとニコラスに話したでしょう?そのとき、勘が働いたんだって・・・そんな情報をあのとき知っていたのはそのカフェにいた人しかわからないはずだって・・・それで私がレズビアンであることを疑い始めたんだって・・・」
「そっか。マックスちゃん、やるわね」
そういって二人はクスクス笑った。
――5年後
カリフォルニア州で、式を挙げるカップルがいた。
「永遠の愛を誓いますか?」
「はい、誓います」
「では、キスをしてください」
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