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第一章
(後編)裁きと混乱
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「あの民はリングベルド伯爵の御子息だと……」
「何故息子を殺そうとしたのだ……」
「おい、あの民の目をよく見てみろ!」
「──!?」
髪の毛で隠しているはずの俺の魔眼は、普通にしていたら分からない。
しかし、じっと見られたり、近距離だと魔眼だとバレる可能性はある。
今回は、俺が全員に注目されてしまっている事もあって、バレてしまった。
「ちょ……ちょっと! ヨハネス! 何とかしなさいよ!」
フィリムが必死に訴えるも、ヨハネスは暫く黙り考えている。
横に座っている国王陛下もまるでヨハネスを試すように事の成り行きを静観するだけだった。
これが……俺達が望む綺麗な世界に変えたい想いとは真逆の現実の現状。
大臣達も魔眼持ちである俺を排除できるなら好都合とでも思っているような……。
成る程、想像通り一筋縄ではいかないなと思った。
俺の近くにいるダイン王子は、まるで虫を見るような目で言い放ってくる。
「レイスだったな。フッ……お前、何か言ったらどうだ? 第一王子の権限にて玉座の間での発言を許そうではないか」
「兄上!」
「ヨハネスは少し黙ってろ。今は哀れなレイスの発言の時間だ」
何が哀れだ? そんなわけがない。しかし、このタイミングで俺に何か喋って良いぞとか、本当に何を考えて何を企んでいるのかが分からない。
しかし、これはチャンスだった。
「……俺はただ、大事な友達でもあるフィリム公爵令嬢様やヨハネス様の命を奪おうとする者は、例え誰であっても許さないだけです。父上と義母上が犯した罪は許せることではありません」
ここまでは俺の気持ち。
そう、ここからが黒幕を引き摺り出すチャンスなんだ。
「父上! 義母上! 誰に脅されてヨハネス第四王子とフィリム公爵令嬢を暗殺するよう言われたのですか!? 父上は権力に弱い事も知っています。そんな方が王子や公爵令嬢を自ら襲うわけがありません!! 権力の強い者に脅されたのでは!?」
一瞬、俺だけの声が響き渡り、大臣達も黙り込んだ。
俺は一瞬、黒幕と分かっているガブネス王子の顔色を伺ったが、流石に動揺が見える。
俺の発言でダイン王子が不気味に笑っている姿を見逃さなかった。
そして、バルスは俺の言葉に助けを求めるように喋ろうとしたが……。
「おっと、そこまで。もう充分だろう満足したか?」
ダイン王子が横入りしてきた。ダイン王子は、喋ろうとしたバルスに対してあの嫌な睨みを効かせた。
バルスは脂汗を流しながら動けなくなってしまった。
この訳の分からない状況に、ヨハネスが動き始める。
「……ここまでかき乱して、無罪のレイスをも処刑しようと……兄上は何をお望みなのです?」
「フッ……なにを言うんだヨハネス。別に私は可愛い弟であるお前を困らせにきたわけじゃない」
「充分困らせてますが兄上!」
「フッ……ちょっとばかしそうだな……あれが欲しい。お前の持っている中で一番希少価値が高い例の魔道具を」
「あれは世界でも数少ない貴重な魔道具──」
「良いのか?」
大臣達を黙らせてバルスに黒幕を白状させようとしたのに邪魔され、おまけにしばらくバルスは喋れないだろう……。
そうなると、魔眼持ちの俺達の状況はこのままでは不利。
もう相手の誘いに乗るしかない状況というわけか
「わかった。条件を飲もう」
「フッ……それで良いのだ。よし。では私が助けてやろう。ミルト。今まで私に話した事を大臣や国王に全て話すが良い」
「は! 私は知っています。母のルーラは、過去にレイスの実母を毒殺し、この件に父も加担している事も」
俺にはミルトが何を考えて何を企んでいるのか理解が出来なかった。
再び大臣達はガサガサと慌ただしくなる。
「フッ……それに今回お前達を助けてやる手土産だ。その間抜けな暗殺者どもと始末するといい」
奥の部屋から『ドン』、と縛られたザバスとウイガルが放り投げられる。
「フッ……皆の者! コイツらも今回の件に加担しているのだ。調べればすぐに分かるであろう。これでレイスは無罪だな」
ガブネス第二王子の顔が青ざめるが、特に何も言わずにダイン第一王子は退場した。
会場が混乱している中、
オルダニネス国王陛下がついに立ち上がった。
「静粛に。この件、直ぐに答えは出せぬな。ヨハネスやフィリム公爵令嬢、そして理由は何であれレイス君の命を狙ったという事は変わりないだろう。更にリングベルド伯爵及びリングベルド伯爵の婦人……其方等の罪は重い。ひとまずこの者達を地下の牢に入れ、後日改めて言い渡す」
大臣達は黙り、国王に跪く。
警備兵によってバルス、ルーラ、ザガル伯爵、ウイガルの四名は、地下の牢に連れて行かれた。
「何故息子を殺そうとしたのだ……」
「おい、あの民の目をよく見てみろ!」
「──!?」
髪の毛で隠しているはずの俺の魔眼は、普通にしていたら分からない。
しかし、じっと見られたり、近距離だと魔眼だとバレる可能性はある。
今回は、俺が全員に注目されてしまっている事もあって、バレてしまった。
「ちょ……ちょっと! ヨハネス! 何とかしなさいよ!」
フィリムが必死に訴えるも、ヨハネスは暫く黙り考えている。
横に座っている国王陛下もまるでヨハネスを試すように事の成り行きを静観するだけだった。
これが……俺達が望む綺麗な世界に変えたい想いとは真逆の現実の現状。
大臣達も魔眼持ちである俺を排除できるなら好都合とでも思っているような……。
成る程、想像通り一筋縄ではいかないなと思った。
俺の近くにいるダイン王子は、まるで虫を見るような目で言い放ってくる。
「レイスだったな。フッ……お前、何か言ったらどうだ? 第一王子の権限にて玉座の間での発言を許そうではないか」
「兄上!」
「ヨハネスは少し黙ってろ。今は哀れなレイスの発言の時間だ」
何が哀れだ? そんなわけがない。しかし、このタイミングで俺に何か喋って良いぞとか、本当に何を考えて何を企んでいるのかが分からない。
しかし、これはチャンスだった。
「……俺はただ、大事な友達でもあるフィリム公爵令嬢様やヨハネス様の命を奪おうとする者は、例え誰であっても許さないだけです。父上と義母上が犯した罪は許せることではありません」
ここまでは俺の気持ち。
そう、ここからが黒幕を引き摺り出すチャンスなんだ。
「父上! 義母上! 誰に脅されてヨハネス第四王子とフィリム公爵令嬢を暗殺するよう言われたのですか!? 父上は権力に弱い事も知っています。そんな方が王子や公爵令嬢を自ら襲うわけがありません!! 権力の強い者に脅されたのでは!?」
一瞬、俺だけの声が響き渡り、大臣達も黙り込んだ。
俺は一瞬、黒幕と分かっているガブネス王子の顔色を伺ったが、流石に動揺が見える。
俺の発言でダイン王子が不気味に笑っている姿を見逃さなかった。
そして、バルスは俺の言葉に助けを求めるように喋ろうとしたが……。
「おっと、そこまで。もう充分だろう満足したか?」
ダイン王子が横入りしてきた。ダイン王子は、喋ろうとしたバルスに対してあの嫌な睨みを効かせた。
バルスは脂汗を流しながら動けなくなってしまった。
この訳の分からない状況に、ヨハネスが動き始める。
「……ここまでかき乱して、無罪のレイスをも処刑しようと……兄上は何をお望みなのです?」
「フッ……なにを言うんだヨハネス。別に私は可愛い弟であるお前を困らせにきたわけじゃない」
「充分困らせてますが兄上!」
「フッ……ちょっとばかしそうだな……あれが欲しい。お前の持っている中で一番希少価値が高い例の魔道具を」
「あれは世界でも数少ない貴重な魔道具──」
「良いのか?」
大臣達を黙らせてバルスに黒幕を白状させようとしたのに邪魔され、おまけにしばらくバルスは喋れないだろう……。
そうなると、魔眼持ちの俺達の状況はこのままでは不利。
もう相手の誘いに乗るしかない状況というわけか
「わかった。条件を飲もう」
「フッ……それで良いのだ。よし。では私が助けてやろう。ミルト。今まで私に話した事を大臣や国王に全て話すが良い」
「は! 私は知っています。母のルーラは、過去にレイスの実母を毒殺し、この件に父も加担している事も」
俺にはミルトが何を考えて何を企んでいるのか理解が出来なかった。
再び大臣達はガサガサと慌ただしくなる。
「フッ……それに今回お前達を助けてやる手土産だ。その間抜けな暗殺者どもと始末するといい」
奥の部屋から『ドン』、と縛られたザバスとウイガルが放り投げられる。
「フッ……皆の者! コイツらも今回の件に加担しているのだ。調べればすぐに分かるであろう。これでレイスは無罪だな」
ガブネス第二王子の顔が青ざめるが、特に何も言わずにダイン第一王子は退場した。
会場が混乱している中、
オルダニネス国王陛下がついに立ち上がった。
「静粛に。この件、直ぐに答えは出せぬな。ヨハネスやフィリム公爵令嬢、そして理由は何であれレイス君の命を狙ったという事は変わりないだろう。更にリングベルド伯爵及びリングベルド伯爵の婦人……其方等の罪は重い。ひとまずこの者達を地下の牢に入れ、後日改めて言い渡す」
大臣達は黙り、国王に跪く。
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