「魔眼持ちは不気味だ!」と家を追い出されましたが新国王も魔眼持ちに決まったようです〜戻ってこいと言われても……もう王宮にいるから手遅れです〜

よどら文鳥

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第一章

命乞いと再計画(ガブネス第二王子視点)

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「ありえないネ……ありえないネ……ありえないネ!!」

 外から中が見えないようになっているカーテン付きの馬車の中でガブネス王子は苛立ちをあらわにしている。

 馬車の中には、ガブネス王子の他にバルス、ルーラ、ザガル伯爵、ウイガルの四人が一緒に乗っている。
 ルーラは牢屋内で騒いでいたため、強力な鎮静剤で眠らされていて、今も寝ている。

 牢屋に監禁されていた四人を連れ出したのはガブネス第二王子。全員を連れ出したのには理由があった。

 何も知らずにザガル伯爵は普段のように、苛立ちを抑えようとガブネス王子をたてる。

「ありがとうございますガブネス様! フッフッフ……次こそは」

 ザガル伯爵は、伯爵という立場でありながら、今までガブネス王子と近く親しい存在と接していたため、助けてくれたのだと思っていた。
 しかし、ガブネス王子は、苛立ったまま怒鳴る。

「次? ボクがお前らを連れてきたのは余計なことを喋る前に殺すためだネ! 牢で死ねば原因を探られるからネ」

 想定外の言葉にザガル伯爵は驚きを隠せず脂汗を流し始めた。
 横ではバルスが青ざめている。

「まだ私は役に立つはずです! 必ずやガブネス様のお役に!」
 笑っている状況ではないのはザガル伯爵も分かっていた。普段の口癖のような笑い声も消える。

「ザガル伯爵。ボクはウイガル君に全てを聞いたんだネ。ヨハネスの会話を盗聴できたのも、作戦を立てられたのも、役に立ったのはこの男……ウイガル君のおかげなんだネ。だから、ザガル伯爵、お前はいらないネ」

 ザガル伯爵は絶望感で黙り込む。ザガル伯爵ですら殺される状況では自分たちの命もないとバルスも滝のように汗を流して放心状態になっている。

 しかし、助けるように出たのがウイガルだった。

「ガブネス第二王子様。今まで面倒見ていただけたのはザガル伯爵様のおかげなのです……。どうか……ザガル伯爵様の命は……」

 バルスも必死に命乞いをする。
「私も……どうか……レイスを消すまでは死ぬに死にきれませぬ……ルーラも同じ気持ちであります。ガブネス様……今一度チャンスを……必ずや!」

 暫く全員を見ながら考えるガブネス王子。

「リングベルド伯爵、ザガル伯爵。君達仲が悪いんだネ? 今回は協力出来るネ?」

 ザガル伯爵とバルスは目を合わせる。
 二人ともここで死んでしまうなら……くらいの気持ちでお互いに握手を交わす。

 ガブネス王子は今まで見せたこともないような不気味なニヤケ顔をした。
「わかったネ。ならば、今度こそ第四王子達をきっちり仕留めてくるんだネ。これを使ってネ……」

 ガブネス王子は、バルスとザガル伯爵に魔道具を渡した。

「「ありがとうございますガブネス様!!」

 この魔道具が実は危険な物で、使用者がどうなるかなど、二人は知らない。
 このまま生き延びられるものだと大きな勘違いをしていた。
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