39 / 74
第一章
石化と綺麗
しおりを挟む
フィリムの右目からとてつもなく強力な光が発動した。
その矛先は……。
「「な!?」」
俺もクレアも拍子抜けした。
なぜグール化バルスに魔眼を使わないのか。
だが、俺はすぐにフィリムの姿を見て、理解した。
フィリムの魔眼でギルドの職員と人質のクララを石化させた。
グール化バルスが石化したクララや職員に攻撃をするが、全く傷がつかない。
「今よ!!」
「しょ……承知!!」
クレアはグール化バルスに大剣で攻撃を仕掛け、ザガル同様にバラバラにした。
魔眼でもダメージを殆ど与えられなかったのに……、クレアの大剣は凄まじい攻撃力を秘めている。
確かにグール化した二人は倒せた。
しかしクレアには代償があるように思えてしまう、クレアは石化したクララを見ながらその場にしゃがみ込んだ。
「クララ……」
「ごめんなさい……素早く動いている者は石化魔眼が効かない……だから、今はああするしか……もう少し魔眼の訓練をしていれば石化の解除だってできたはずなのに……でもすぐに訓練して石化は解除させるわ」
その表情は固く、何度も深呼吸する姿はいっそ痛々しい。
でも、俺は確信していた。
未だにフィリムの目からは光が発動しているが、フィリムの魔眼は既に……。
「大丈夫。フィリムの眼は、綺麗だから」
俺はフィリムに近づいて両手でフィリムの肩の上に乗せた。そして、フィリムの顔を俺の顔の位置にもってきて間近で見つめた。フィリムの魔眼の光を直接俺は浴びている。
「レイス!! 今私と目を合わせたら……え? 石化……しない?」
フィリムの魔眼は発動している状態が続いている。しかし、俺には今のフィリムなら絶対に大丈夫だと確信していた。
「大丈夫っていっただろ? ほら、その眼でクララを見れば……」
石像と化していたクララは徐々に固い石から人間の姿に戻り、石化が解かれた。
気がついたクララは、怪我で負傷しているクレアの元へ飛んでいった。
「おねえちゃん!」
「クララ。無事でよかった!」
「おねえちゃんその怪我……」
「なにを言っているクララ。私はこの程度どうってこともない。魔獣にタックルを喰らった時と比べればこんなのかすり傷にもならんだろう」
二人は泣きながら抱き合っていた。
「私……いつの間にか魔眼をコントロール出来るようになってたのね……」
「あぁ、毎日俺が寝た後に訓練していたし、魔眼のエネルギーも嫌な感じがしなかったし」
「レイス知ってたの!?」
「勿論。フィリムはいつも陰で頑張る人って知ってたから」
「レイス……私……私……」
フィリムがそのまま嬉し泣きをして俺にそのまま抱きついてきた。
一国の公爵令嬢様ともあろう方が……。
客観的に見たらいい感じの雰囲気に見えてしまうかもしれない光景に遠慮なくクレア達が俺達のところへ近づいてきて一礼をしてきた。
「レイス殿! 世界樹をレイス殿が守ってくれたから今回の行動が出来た。レイス殿には感謝しても足りない程感謝している」
「戦闘では役に立たなかったけどね。ところでこれ、どうする?」
フィリムを抱きながら視界に入っている俺の目線の先はギルド上層職員。
今も石化して固まっている。フィリムが立ち上がって上層職員に目線を向けた。
「上半身だけ石化を解除するわ。あとはそのまま捕らえて王宮へ連れて行きましょう」
ギルド上層職員の上半身だけ石化が解除された。流石に下半身が石化していればどうすることも出来ない。
「ひぃっ!?」
ギルド上層職員は下半身の異常に気がついて手だけがジタバタしている。
バラバラになってしまったグール化したザガルとバルスも証拠のためにマジックボックスに収納……。できれば収納したくなかったんだが、誰も触ろうともしないし、マジックボックスなら触れることもないから……。
しかしマジックボックスの中が……余計な事を考えるのはやめておこう。
ギルド上層職員を簡単に捕らえて王宮へ連行していった。
その矛先は……。
「「な!?」」
俺もクレアも拍子抜けした。
なぜグール化バルスに魔眼を使わないのか。
だが、俺はすぐにフィリムの姿を見て、理解した。
フィリムの魔眼でギルドの職員と人質のクララを石化させた。
グール化バルスが石化したクララや職員に攻撃をするが、全く傷がつかない。
「今よ!!」
「しょ……承知!!」
クレアはグール化バルスに大剣で攻撃を仕掛け、ザガル同様にバラバラにした。
魔眼でもダメージを殆ど与えられなかったのに……、クレアの大剣は凄まじい攻撃力を秘めている。
確かにグール化した二人は倒せた。
しかしクレアには代償があるように思えてしまう、クレアは石化したクララを見ながらその場にしゃがみ込んだ。
「クララ……」
「ごめんなさい……素早く動いている者は石化魔眼が効かない……だから、今はああするしか……もう少し魔眼の訓練をしていれば石化の解除だってできたはずなのに……でもすぐに訓練して石化は解除させるわ」
その表情は固く、何度も深呼吸する姿はいっそ痛々しい。
でも、俺は確信していた。
未だにフィリムの目からは光が発動しているが、フィリムの魔眼は既に……。
「大丈夫。フィリムの眼は、綺麗だから」
俺はフィリムに近づいて両手でフィリムの肩の上に乗せた。そして、フィリムの顔を俺の顔の位置にもってきて間近で見つめた。フィリムの魔眼の光を直接俺は浴びている。
「レイス!! 今私と目を合わせたら……え? 石化……しない?」
フィリムの魔眼は発動している状態が続いている。しかし、俺には今のフィリムなら絶対に大丈夫だと確信していた。
「大丈夫っていっただろ? ほら、その眼でクララを見れば……」
石像と化していたクララは徐々に固い石から人間の姿に戻り、石化が解かれた。
気がついたクララは、怪我で負傷しているクレアの元へ飛んでいった。
「おねえちゃん!」
「クララ。無事でよかった!」
「おねえちゃんその怪我……」
「なにを言っているクララ。私はこの程度どうってこともない。魔獣にタックルを喰らった時と比べればこんなのかすり傷にもならんだろう」
二人は泣きながら抱き合っていた。
「私……いつの間にか魔眼をコントロール出来るようになってたのね……」
「あぁ、毎日俺が寝た後に訓練していたし、魔眼のエネルギーも嫌な感じがしなかったし」
「レイス知ってたの!?」
「勿論。フィリムはいつも陰で頑張る人って知ってたから」
「レイス……私……私……」
フィリムがそのまま嬉し泣きをして俺にそのまま抱きついてきた。
一国の公爵令嬢様ともあろう方が……。
客観的に見たらいい感じの雰囲気に見えてしまうかもしれない光景に遠慮なくクレア達が俺達のところへ近づいてきて一礼をしてきた。
「レイス殿! 世界樹をレイス殿が守ってくれたから今回の行動が出来た。レイス殿には感謝しても足りない程感謝している」
「戦闘では役に立たなかったけどね。ところでこれ、どうする?」
フィリムを抱きながら視界に入っている俺の目線の先はギルド上層職員。
今も石化して固まっている。フィリムが立ち上がって上層職員に目線を向けた。
「上半身だけ石化を解除するわ。あとはそのまま捕らえて王宮へ連れて行きましょう」
ギルド上層職員の上半身だけ石化が解除された。流石に下半身が石化していればどうすることも出来ない。
「ひぃっ!?」
ギルド上層職員は下半身の異常に気がついて手だけがジタバタしている。
バラバラになってしまったグール化したザガルとバルスも証拠のためにマジックボックスに収納……。できれば収納したくなかったんだが、誰も触ろうともしないし、マジックボックスなら触れることもないから……。
しかしマジックボックスの中が……余計な事を考えるのはやめておこう。
ギルド上層職員を簡単に捕らえて王宮へ連行していった。
11
あなたにおすすめの小説
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。
紺
ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」
実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて……
「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」
信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。
微ざまぁあり。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる