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第三章
最強種族のドラゴン
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「転移!」
俺の空間干渉によって目の前に円形の転移門が現れる。
一台の馬車に御者、フィリムを連れて転移門を潜った。
「相変わらず便利な力よね……」
「一度行った場所でないと転移できないのが難点だけどな」
「でも魔眼のおかげで移動が楽になったわよ。馬使ったら一週間はかかっちゃうもの!」
以前にクレアとフィリムで海へ行ったことがあったおかげで、ここを拠点に進んでいけば目的地へ早く着くことができる。
この先に魔眼持ちの人間がいる村があるという情報を得たのでまずは一人目だ。
尚、魔道具を使い王都から近隣の村までは、ヨハネスが伝えてくれる。
俺たちは魔道具が届かない範囲の魔眼能力者をスカウトする。
馬車に揺られながらゆっくりと旅は進んでいく。
「どうした? 緊張しているのか?」
「え!? そんなことは……別にないけど」
馬車に乗ってからフィリムの様子がソワソワしているので気になっているので聞いてみた。
俺の勘違いならまあ良いのだが。
「レ、レイスはこの状況で何も思わないの?」
「え? 何かあったのか!?」
「はぁ!? 鈍感!!」
何故かバシッと肩を叩かれた。
フィリムはギルド任務でも主に格闘タイプなので、言っちゃ悪いがかなり痛い。
「痛いじゃないか!」
「アンタは肝心なところが抜けてるのよ!」
これは完全に怒っている顔である。
ただ、どことなく寂しそうな悲しそうな雰囲気も感じた。
俺が原因で気がつかない間に傷つけてしまったということか。
「はぁ……ま、今まで私の家で一緒にいても何もなかったし、今更なんだけどね……」
それっきりフィリムはそっぽを向いたままである。
なんで怒らせてしまったのか、俺にはわからないままだった。
♢
「おいおい、嘘だろ……!」
ヨハネスから教えてもらった国境近くにある、小さなマルダンラー村に到着したのだが、ドラゴンの襲撃にあっていた。
無差別に飛行しているドラゴンは炎を吐き今もなお、村を壊滅状態に追い込んでいる。
家は炎で燃え広がり、畑もドラゴンに食い荒らされたような状況になってしまっていた。
「あんな化け物ギルドランクS級冒険者が束にならないと勝てないわよ!」
「まさかドラゴンに遭遇してしまうとは……」
剣聖クレアがいてくれればと思うが後の祭り。
いや、たとえクレアがいてくれたとしても勝機は薄いかもしれない。
だが、フィリムが覚悟を決めたような顔をして俺の手を握ってくる。
「レイス! 私の石化魔眼であのドラゴンを……!」
「ドラゴンといえば世界最強種族だぞ! いくらフィリムの石化とはいえ効くのか!? まさか命がけで全エネルギーを使うわけじゃないだろうな!?」
「でもこのままじゃこの村は……」
魔眼とはいえ絶対というものはない。
フィリムの力の範囲を超えたものはおそらく効かないだろう。
だからこそ、フィリムの生命力を全て使ってでも石化させようと考えているのではないか?
わざわざ俺の手を握るんだからそういうことだろう。
だが、そんなことはさせられない。
とはいえ、ドラゴンを鎮めるには石化させるか俺が囮になってどこかに転移させるしか方法は……いや、待てよ!?
「フィリム。ドラゴン本体でなく翼だけでも良い。命をかけずに石化できないか?」
「え、多分それならなんとか……」
「頼む! やってくれ。後は俺がなんとかする」
「何をする気なの!?」
「大丈夫だ。翼さえ断てば俺も死ぬことはない」
フィリムはドラゴンに視線を向けていた。
俺の空間干渉によって目の前に円形の転移門が現れる。
一台の馬車に御者、フィリムを連れて転移門を潜った。
「相変わらず便利な力よね……」
「一度行った場所でないと転移できないのが難点だけどな」
「でも魔眼のおかげで移動が楽になったわよ。馬使ったら一週間はかかっちゃうもの!」
以前にクレアとフィリムで海へ行ったことがあったおかげで、ここを拠点に進んでいけば目的地へ早く着くことができる。
この先に魔眼持ちの人間がいる村があるという情報を得たのでまずは一人目だ。
尚、魔道具を使い王都から近隣の村までは、ヨハネスが伝えてくれる。
俺たちは魔道具が届かない範囲の魔眼能力者をスカウトする。
馬車に揺られながらゆっくりと旅は進んでいく。
「どうした? 緊張しているのか?」
「え!? そんなことは……別にないけど」
馬車に乗ってからフィリムの様子がソワソワしているので気になっているので聞いてみた。
俺の勘違いならまあ良いのだが。
「レ、レイスはこの状況で何も思わないの?」
「え? 何かあったのか!?」
「はぁ!? 鈍感!!」
何故かバシッと肩を叩かれた。
フィリムはギルド任務でも主に格闘タイプなので、言っちゃ悪いがかなり痛い。
「痛いじゃないか!」
「アンタは肝心なところが抜けてるのよ!」
これは完全に怒っている顔である。
ただ、どことなく寂しそうな悲しそうな雰囲気も感じた。
俺が原因で気がつかない間に傷つけてしまったということか。
「はぁ……ま、今まで私の家で一緒にいても何もなかったし、今更なんだけどね……」
それっきりフィリムはそっぽを向いたままである。
なんで怒らせてしまったのか、俺にはわからないままだった。
♢
「おいおい、嘘だろ……!」
ヨハネスから教えてもらった国境近くにある、小さなマルダンラー村に到着したのだが、ドラゴンの襲撃にあっていた。
無差別に飛行しているドラゴンは炎を吐き今もなお、村を壊滅状態に追い込んでいる。
家は炎で燃え広がり、畑もドラゴンに食い荒らされたような状況になってしまっていた。
「あんな化け物ギルドランクS級冒険者が束にならないと勝てないわよ!」
「まさかドラゴンに遭遇してしまうとは……」
剣聖クレアがいてくれればと思うが後の祭り。
いや、たとえクレアがいてくれたとしても勝機は薄いかもしれない。
だが、フィリムが覚悟を決めたような顔をして俺の手を握ってくる。
「レイス! 私の石化魔眼であのドラゴンを……!」
「ドラゴンといえば世界最強種族だぞ! いくらフィリムの石化とはいえ効くのか!? まさか命がけで全エネルギーを使うわけじゃないだろうな!?」
「でもこのままじゃこの村は……」
魔眼とはいえ絶対というものはない。
フィリムの力の範囲を超えたものはおそらく効かないだろう。
だからこそ、フィリムの生命力を全て使ってでも石化させようと考えているのではないか?
わざわざ俺の手を握るんだからそういうことだろう。
だが、そんなことはさせられない。
とはいえ、ドラゴンを鎮めるには石化させるか俺が囮になってどこかに転移させるしか方法は……いや、待てよ!?
「フィリム。ドラゴン本体でなく翼だけでも良い。命をかけずに石化できないか?」
「え、多分それならなんとか……」
「頼む! やってくれ。後は俺がなんとかする」
「何をする気なの!?」
「大丈夫だ。翼さえ断てば俺も死ぬことはない」
フィリムはドラゴンに視線を向けていた。
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