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第二章
70 無能が揃った末路
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一人の男が銃を乱射させて多数の人間を地面に伏せたという報告も受けた。
異常な行動をするような人物を絶対に王都に入れてはならない。
だが、私にはそういうことをしかねない人物に心当たりがあった。
故に、見た目はドレスだが、実は完全武装と言っても良いくらいの耐久性に優れたドレスを着用して門の前で待ち構えることにした。
そして男たちは王都の入り口へとやってきたのだ。
すでに二人は私のことに気がついている。
「ば……ばかな……」
「どうしてリリーナがいるの……⁉︎」
何故かわからないがものすごい動揺を見せていた。
いつかは来ると思っていたのだ。
防壁が完成している状態だからこそ、比較的余裕をもって接することができた。
「お久しぶりですね。ザグローム様にサフランお姉様……」
「ふ……、ふふふ……。リリーナよ、まさか婚約破棄されて家を追い出されたのち、他国へ逃げているとは思わなかったぞ」
「おかげさまで素晴らしい国と出会うことができましたからね、感謝していますよ」
私らしくはないが、皮肉めいた発言をした。
案の定、ザグロームは既に苛立ちを隠しきれないといった表情をしている。
何か企んでいるにしても、これだけわかりやすい表情を見せてしまえば、上手くいくはずもないだろう……。
相変わらず、この二人は頭が悪い。
教育係として苦労していた日々を思い出してしまう。
「リリーナがいるのならばちょうど良い。私をこの国の陛下に会わせるのだ」
「何故でしょう?」
「お前は知らないかもしれないが、私がアルガルデ王国の国王になったからだよ。そのご挨拶にと」
「そうなのよー。リリーナに代わって私が彼の婚約者になってから良いことばかり起きているのよ」
自信満々に嘘ばかりつける態度を見ていて、内心笑いそうになってしまうがなんとか堪えた。
どうしてかは分からないが、二人は知らないらしい。
アルガルデはサージェント国王が就任したことも、今は両国が友好国になっていることも。
「お帰りください。嘘をつく方々を王都へ入れるわけがありません」
「な……⁉︎ なんの権限でお前がそこまで言うのだ⁉︎」
「許可は得ていますから。それに、近くで殺傷をしましたよね?」
「あれは違う! 殺傷ではなく罰だ!」
必死になっているようだが、理由はなんであれあれだけの数を平気で殺せる相手など危険だ。
「無理に侵入するようならば、不法侵入として捕らえることになってしまいますよ?」
「それは困る! リリーナよ、お前の権限でなんとかしたまえ。俺、いや私はどうしても陛下と会わねばならない」
「リリーナったら相変わらず無知よねー。国王同士の対談で両国がより良き関係になれるキッカケをわざわざ持ってきたことに気がつかないの?」
「サフランお姉様も相変わらず芝居が下手ですね」
「なにを言っているの⁉︎」
「すでにアルガルデ王国と友好国になっていますよ? サージェント国王陛下が望まれたからです」
サージェント国王の名前を言った瞬間に二人は凍りついたように固まった。
さすがに当時の次期国王陛下候補の名前は知っていて当然だろう。
だが、ザグロームは固まったと見せかけて素早い動きを見せ、手に銃を持ったのだ。
「なんの真似です⁉︎」
「そもそもお前が全て悪い! 俺はこの国を支配するために来たまでだ。無能な奴らよりも俺が民を従えたほうが良いに決まっている。故にこうしてお前に銃を向けても誰一人俺を捕まえようとしないではないか」
それも作戦の一つである。
私に何をしようとしても手を出さないようにお願いしてあるのだ。
そのためにわざわざこのドレスに着替えたのだから。
「抵抗せぬのか?」
「ザグローム様の銃の腕前は知っていますからね。私がどんなに抵抗しようとしても無駄でしょう」
「話が早い。穏便に従っていれば生きれたものを……」
──ドン‼︎
玉が私のドレスに当たったらしい。
さすがに少々衝撃はあって痛みもあるが、防弾チョッキよりも強力なドレスに傷さえつくことはなかった。
「な……なぜ無事なのだ……ぐふぅ……」
動揺しているザグロームとサフランの身体に、警備兵たちの持っていた麻酔銃が直撃した。
二人とも倒れ、その場で眠りについた。
どうやら作戦はうまくいったようだ。
「リリー、怪我はしていない?」
「大丈夫。心配かけてごめんなさい」
すぐにしんちゃんが心配そうな顔をして私の胸元あたりに目を向けてきた。
別に嫌らしい目線というわけではない。
玉が直撃した箇所に視線を向けているだけだ。
「もしもザグロームが相手だとしたら、油断させておかないと銃撃戦では勝てないと思ったので」
「そんなにこの男は銃の扱いに慣れていたのか……」
「皮肉にも麻酔銃を思いついたのはこの人のおかげでもあるくらいですからね……。私も仲が良かった頃はこの人に銃の扱い方を教わっていたくらいなので」
「哀れな男ね……リリーへの殺害未遂として連行よ! すぐに牢獄へ連れて行きなさい」
「「ははっ‼︎ シンザーン殿下の仰せのままに」」
ライカル様には黙っておいて正解だった。
安全とは言え、私が銃で撃たれるかもしれないなどと知ったら黙っているわけがない。
案の定、このあとライカル様からこっぴどく叱られてしまった。
異常な行動をするような人物を絶対に王都に入れてはならない。
だが、私にはそういうことをしかねない人物に心当たりがあった。
故に、見た目はドレスだが、実は完全武装と言っても良いくらいの耐久性に優れたドレスを着用して門の前で待ち構えることにした。
そして男たちは王都の入り口へとやってきたのだ。
すでに二人は私のことに気がついている。
「ば……ばかな……」
「どうしてリリーナがいるの……⁉︎」
何故かわからないがものすごい動揺を見せていた。
いつかは来ると思っていたのだ。
防壁が完成している状態だからこそ、比較的余裕をもって接することができた。
「お久しぶりですね。ザグローム様にサフランお姉様……」
「ふ……、ふふふ……。リリーナよ、まさか婚約破棄されて家を追い出されたのち、他国へ逃げているとは思わなかったぞ」
「おかげさまで素晴らしい国と出会うことができましたからね、感謝していますよ」
私らしくはないが、皮肉めいた発言をした。
案の定、ザグロームは既に苛立ちを隠しきれないといった表情をしている。
何か企んでいるにしても、これだけわかりやすい表情を見せてしまえば、上手くいくはずもないだろう……。
相変わらず、この二人は頭が悪い。
教育係として苦労していた日々を思い出してしまう。
「リリーナがいるのならばちょうど良い。私をこの国の陛下に会わせるのだ」
「何故でしょう?」
「お前は知らないかもしれないが、私がアルガルデ王国の国王になったからだよ。そのご挨拶にと」
「そうなのよー。リリーナに代わって私が彼の婚約者になってから良いことばかり起きているのよ」
自信満々に嘘ばかりつける態度を見ていて、内心笑いそうになってしまうがなんとか堪えた。
どうしてかは分からないが、二人は知らないらしい。
アルガルデはサージェント国王が就任したことも、今は両国が友好国になっていることも。
「お帰りください。嘘をつく方々を王都へ入れるわけがありません」
「な……⁉︎ なんの権限でお前がそこまで言うのだ⁉︎」
「許可は得ていますから。それに、近くで殺傷をしましたよね?」
「あれは違う! 殺傷ではなく罰だ!」
必死になっているようだが、理由はなんであれあれだけの数を平気で殺せる相手など危険だ。
「無理に侵入するようならば、不法侵入として捕らえることになってしまいますよ?」
「それは困る! リリーナよ、お前の権限でなんとかしたまえ。俺、いや私はどうしても陛下と会わねばならない」
「リリーナったら相変わらず無知よねー。国王同士の対談で両国がより良き関係になれるキッカケをわざわざ持ってきたことに気がつかないの?」
「サフランお姉様も相変わらず芝居が下手ですね」
「なにを言っているの⁉︎」
「すでにアルガルデ王国と友好国になっていますよ? サージェント国王陛下が望まれたからです」
サージェント国王の名前を言った瞬間に二人は凍りついたように固まった。
さすがに当時の次期国王陛下候補の名前は知っていて当然だろう。
だが、ザグロームは固まったと見せかけて素早い動きを見せ、手に銃を持ったのだ。
「なんの真似です⁉︎」
「そもそもお前が全て悪い! 俺はこの国を支配するために来たまでだ。無能な奴らよりも俺が民を従えたほうが良いに決まっている。故にこうしてお前に銃を向けても誰一人俺を捕まえようとしないではないか」
それも作戦の一つである。
私に何をしようとしても手を出さないようにお願いしてあるのだ。
そのためにわざわざこのドレスに着替えたのだから。
「抵抗せぬのか?」
「ザグローム様の銃の腕前は知っていますからね。私がどんなに抵抗しようとしても無駄でしょう」
「話が早い。穏便に従っていれば生きれたものを……」
──ドン‼︎
玉が私のドレスに当たったらしい。
さすがに少々衝撃はあって痛みもあるが、防弾チョッキよりも強力なドレスに傷さえつくことはなかった。
「な……なぜ無事なのだ……ぐふぅ……」
動揺しているザグロームとサフランの身体に、警備兵たちの持っていた麻酔銃が直撃した。
二人とも倒れ、その場で眠りについた。
どうやら作戦はうまくいったようだ。
「リリー、怪我はしていない?」
「大丈夫。心配かけてごめんなさい」
すぐにしんちゃんが心配そうな顔をして私の胸元あたりに目を向けてきた。
別に嫌らしい目線というわけではない。
玉が直撃した箇所に視線を向けているだけだ。
「もしもザグロームが相手だとしたら、油断させておかないと銃撃戦では勝てないと思ったので」
「そんなにこの男は銃の扱いに慣れていたのか……」
「皮肉にも麻酔銃を思いついたのはこの人のおかげでもあるくらいですからね……。私も仲が良かった頃はこの人に銃の扱い方を教わっていたくらいなので」
「哀れな男ね……リリーへの殺害未遂として連行よ! すぐに牢獄へ連れて行きなさい」
「「ははっ‼︎ シンザーン殿下の仰せのままに」」
ライカル様には黙っておいて正解だった。
安全とは言え、私が銃で撃たれるかもしれないなどと知ったら黙っているわけがない。
案の定、このあとライカル様からこっぴどく叱られてしまった。
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