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9話
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夜、公爵様が戻ってきた。
私とレオルド様はすぐに呼び出されて再び対談をすることになった。
今までの不穏だった感じと違い、公爵様は、いささかにこやかである。
「どうやら、私の判断が間違っていたようだ。二人ともすまなかった」
公爵様がそう言いながら、頭を深々と下げてきた。
今まで『伯爵令嬢ではレオルドを渡すことなど断じてできない』と、邪魔者扱いされていた。
そんな公爵様がここまで真剣に向き合って話をしてくださっているなんて……。
愛人関係ではなく、レオルド様と正式な交際を交渉するための大チャンスである。
「父上。俺の婚約相手はフィアーナしかいません」
「……わかった。まずは理由を聞かせてもらえるか?」
今までは帰れの一言で門前払いだった。
だが、ようやく会話ができるようになった。
侯爵家の情報を提供できたからだろうか。
「今も昔も、フィアーナ以外の者を愛することはできません。父上がどんなに縁談を持ちかけてこられても、俺の脳裏にはフィアーナしかいないのです」
「ふむ……、わかった。フィアーナ殿には返しきれぬほどの借りもできてしまったしな。今までのことを非礼を詫びたうえで認めることにしよう」
ついに、愛人としてでなく正式な婚約者として認めてくださった。
レオルド様のことを何年も想い続けていたからこそ……。
長かった……。
「ひとつ、フィアーナ殿には伝えておきたいことがある。レオルドの愛人の件だが」
「はい……」
「レオルドは次期公爵であるがゆえ、どうしても王族同士で婚約をさせたかった。だが、多方面から縁談の話があってな。私はあえて『愛人』と共に時間を過ごしてもらい、レオルドが気に入った者かつ王族もしくは実績のある貴族をつなげたいと思っていた」
公爵様とレオルド様は私に対して、申しわけないといった表情をしていた。
私の頭の中では、どうしたら公爵様も納得してくださる婚約にできるかに切り替わっている。
おそらく、公爵様は私に婚約したければそれなりの実績を作ってくれと言っているのだろう。
「レオルド様とご一緒になれるのなら、時間をかけてでもなんらかの功績を残せるよう、今後精進します」
「いやいや、フィアーナ殿は此度絶大な功績を残してくれた。だからレオルドとの婚約を認めようという気になったのだよ」
「え?」
「あらためて、デルム侯爵の情報提供に感謝する。まもなく私の部隊がより調査を進め、デルム並びに裏で繋がっている組織をも一網打尽にできるだろう」
私はただ、お父様たちの身の安全を第一に考えて公爵様たちにお願いをしただけのことだった。
まさか、功績に繋がるとまでは思っていなかったのだ。
「うまくいけば、王都の悪党集団全てを人蹴りできてしまうかもしれないほどの情報だ。よくぞ発見してくれたと思う。これも、私がキミたちの望みを否定をしていながらも、それを良しとしなかった絆あってこそ……。それを否定など私にはできぬよ」
「ありがとうございます! そしてフィアーナよ、改めてすまなかった。当然だが今後は愛人など作らず、フィアーナのことだけを愛すと誓おう」
「レオルド様……」
私とレオルド様は、ついに婚約することになった。
いっぽうデルム侯爵はなかなか裏組織との繋がりを認めなかったものの、最終的には私が持ち出した書類が決め手となって、ついに白状したそうだ。
もちろん、私とのデルム侯爵との婚約は無効で、彼の牢獄生活が始まったのである。
たとえ愛人がいようともレオルド様のことを愛し続け、彼と結ばれることだけを信じてきて良かった。
これからは、レオルド様との甘いあまい生活が待っているのだ。
どろどろだった恋が、あまあまの恋へと変わっていく。
私とレオルド様はすぐに呼び出されて再び対談をすることになった。
今までの不穏だった感じと違い、公爵様は、いささかにこやかである。
「どうやら、私の判断が間違っていたようだ。二人ともすまなかった」
公爵様がそう言いながら、頭を深々と下げてきた。
今まで『伯爵令嬢ではレオルドを渡すことなど断じてできない』と、邪魔者扱いされていた。
そんな公爵様がここまで真剣に向き合って話をしてくださっているなんて……。
愛人関係ではなく、レオルド様と正式な交際を交渉するための大チャンスである。
「父上。俺の婚約相手はフィアーナしかいません」
「……わかった。まずは理由を聞かせてもらえるか?」
今までは帰れの一言で門前払いだった。
だが、ようやく会話ができるようになった。
侯爵家の情報を提供できたからだろうか。
「今も昔も、フィアーナ以外の者を愛することはできません。父上がどんなに縁談を持ちかけてこられても、俺の脳裏にはフィアーナしかいないのです」
「ふむ……、わかった。フィアーナ殿には返しきれぬほどの借りもできてしまったしな。今までのことを非礼を詫びたうえで認めることにしよう」
ついに、愛人としてでなく正式な婚約者として認めてくださった。
レオルド様のことを何年も想い続けていたからこそ……。
長かった……。
「ひとつ、フィアーナ殿には伝えておきたいことがある。レオルドの愛人の件だが」
「はい……」
「レオルドは次期公爵であるがゆえ、どうしても王族同士で婚約をさせたかった。だが、多方面から縁談の話があってな。私はあえて『愛人』と共に時間を過ごしてもらい、レオルドが気に入った者かつ王族もしくは実績のある貴族をつなげたいと思っていた」
公爵様とレオルド様は私に対して、申しわけないといった表情をしていた。
私の頭の中では、どうしたら公爵様も納得してくださる婚約にできるかに切り替わっている。
おそらく、公爵様は私に婚約したければそれなりの実績を作ってくれと言っているのだろう。
「レオルド様とご一緒になれるのなら、時間をかけてでもなんらかの功績を残せるよう、今後精進します」
「いやいや、フィアーナ殿は此度絶大な功績を残してくれた。だからレオルドとの婚約を認めようという気になったのだよ」
「え?」
「あらためて、デルム侯爵の情報提供に感謝する。まもなく私の部隊がより調査を進め、デルム並びに裏で繋がっている組織をも一網打尽にできるだろう」
私はただ、お父様たちの身の安全を第一に考えて公爵様たちにお願いをしただけのことだった。
まさか、功績に繋がるとまでは思っていなかったのだ。
「うまくいけば、王都の悪党集団全てを人蹴りできてしまうかもしれないほどの情報だ。よくぞ発見してくれたと思う。これも、私がキミたちの望みを否定をしていながらも、それを良しとしなかった絆あってこそ……。それを否定など私にはできぬよ」
「ありがとうございます! そしてフィアーナよ、改めてすまなかった。当然だが今後は愛人など作らず、フィアーナのことだけを愛すと誓おう」
「レオルド様……」
私とレオルド様は、ついに婚約することになった。
いっぽうデルム侯爵はなかなか裏組織との繋がりを認めなかったものの、最終的には私が持ち出した書類が決め手となって、ついに白状したそうだ。
もちろん、私とのデルム侯爵との婚約は無効で、彼の牢獄生活が始まったのである。
たとえ愛人がいようともレオルド様のことを愛し続け、彼と結ばれることだけを信じてきて良かった。
これからは、レオルド様との甘いあまい生活が待っているのだ。
どろどろだった恋が、あまあまの恋へと変わっていく。
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