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2 ガルカの幼馴染

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「レムは小さい頃に親を亡くしてな、親戚さえもいなかった。だから今まではお手伝いさんとして一緒に住んでいたのだよ。俺がいなくなっては寂しいというのでな、こっちに住んでもらおうかと」

 それも初耳である。結婚の挨拶に行った時もレムさんはいなかったし……。

「使用人としてレムさんを雇うということですか?」
「いや、特にそう堅苦しく縛らなくても良いだろう。自主的な行動ができるし俺の幼馴染だし」

 別にレムさんの第一印象が悪いわけではない。
 ただ、そういう大事なことを相談もせず、勝手に決めたことに対してガッカリした。
 せっかくの新婚生活が……。

 だが、どちらにしても、この家の規模だったらいずれ使用人は雇った方が良いだろうし、ガルカの幼馴染が家のことを手伝ってくれるならば、ある程度は安心もできるだろうと思うことにした。

「……わかりました。よろしくお願いしますね、レムさん」
「はーい」

「よし、では今日は夜通しで飲むか」
「あ、それ良いー!」



 私の意見など聞きもせず、ガルカとレムさんの飲み会が始まってしまった。

 いくら幼馴染との付き合いの方が長いとはいえ、あまりにも勝手すぎるのでは……。

「シェリルさんは何飲みます?」
「あ……、私はアルコール飲めないので、紅茶でも飲みますね」
「じゃあ、私入れてきますねー」

 行動はともかく、レムさんは思ったよりも優しいのかもしれない。
 二人がアルコールで、私はレムさんが用意してくれた紅茶で乾杯をした。

 ハッキリ言って複雑な気分だ。
 全然飲んだ気になれない……。
 しかも、急に頭がぼーっとしてきてしまった。

「はぁ、眠くなってきたので先に寝ますね……」

 結婚式の疲れからだろうか。急に眠気が襲ってきたので先に寝ることにした。

 男女間の心配もしていたが、流石に不倫相手を堂々と家に住まわせるようなゲスではないだろう……。

 それに結婚式が終わってから、次々とガルカの悪い部分を見てしまったので、今はとてもそういう気分になれない。

 結局結婚初夜は一人でぐっすりと寝てしまい、そのまま朝になってしまった。



 私は毎日起きたら三時間、新しい服のデザインを書くことが日課である。もちろん稼ぐための仕事だ。
 これはガルカと結婚してからも継続していくことは話しているし、了承も得ていた。

 早速新しい仕事部屋で作業を開始するのだが……。

「シェリルさーん! お絵かきだったら私もやってみたいです」

 なぜ気軽にレムさんは私についてくるのだろう……。好奇心旺盛なのだろうか。

「いえ、これは仕事なので……」

「え!? 洋服の絵ですよね? これが仕事なんですか?」

「えぇ。私はデザイナーなので、新しい服のデザインを書いてるんですよ。ガルカのお父様が大きな工場で服の仕立をやってるので、そこで私のデザインのした服も作ってもらっているんです。その後出来上がった服を、実家で販売してもらっているんです」

「あぁ、だからガルカと結婚を?」
「それとは別です。知り合ったきっかけは仕事からですが、ガルカとは恋愛結婚なので」

 私としては、最初はお付き合いするつもりはなかったのだが、グイグイと猛アピールしてこられて根負けした。もちろん今は愛しているが。

 細かい経緯は、レムさんに話す必要がないだろう。
 それに、彼女はまるで聞いちゃいないようだった。
 興味津々に私が書いた絵を見て頷いたり首を傾げていたのだ。

「あの、シェリルさん……ハッキリ言って良いですか?」
「は……はい」

「こんなんで売れるんですか? 私だったら買いませんけど……」

 書き上げた紙を見ながら、レムさんはニヤリと笑っていた。

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