【完結】新婚生活初日から、旦那の幼馴染も同居するってどういうことですか?

よどら文鳥

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6 レム視点 使用人がやってきた

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 いつもの気まぐれで、城下町にお出かけしていた。
 もうすぐ私が作った服のデザインが大ヒットして、お金がガッポガッポ入ってくるから、前祝いでめいいっぱい遊んでたの。

 ハメを外してしまって気がついたときには財布の中身も無くなっちゃった。
 ちょっと我慢していれば良いだけだし、まぁいいでしょう。
 充分満喫したし、帰ってガルカにコッソリとハグしてもらえばそれでいいし。



「ちょ……ちょっと! どうなってんのよ!?」
「本日からこちらで仕えることになりましたロータムです。私はレム様のお世話係を担当させていただきます」

 使用人がいつの間に!?
 しかも居候している私にまで専属使用人をつけているってどういうことなの?

「私は居候させてもらっている身分なんだけれど……」
「はい、主人のシェリル様から、『大事なお客様だからここの家族として扱ってほしい』と命じられております故」

 あ、なるほどね!
 この言葉を聞いて、私が如何に特別で大事な存在なのかが一瞬で理解できた。

「つまり、シェリルさんが私のデザイナーとしての資質を見抜いたから、特別扱いするってことなのね?」
「それはもう……」

 ニコリと笑っていたロータムを見て、私も表情までニヤけてしまった。
 前々から、私は何にでも器用にこなせる天才女だと自負していた。

 シェリルは私が偉大なる存在であることをよく理解していらっしゃる!

「ま、私なら当然のことよね。よろしくねロータム」
「はい」

 いい気分だ。
 シェリルは恋敵だし、すぐに出し抜いて捨てる存在だけれど、今だけは下手に出てあげましょう。
 どうせすぐにあの女は後悔することになるのだから、束の間の幸福を味わっておけばいいでしょう。

 ♢

「ロータム、私の専属とは言っても脱衣所までついてくることはないでしょ!?」

 上級貴族のような扱いを受けるのはいい気分だ。
 だが、常にロータムが私の側にいるため、ガルカとこっそりと会って抱き合ったりすることが出来なくなってしまった。
 しかも、ガルカにはハイタムが側近に付いているから余計に接しにくい。

「浴槽の中で何かあっては大変ですから。安全と安心のためにしっかりとレム様のお側で見守らせていただきます」

 まさかここまでの扱いをされるとは思わなかった。
 しかし、ここで止めるように言って特別扱いがなくなってしまうのも嫌なの。

 ガルカと二人で外に出られた時がチャンスでしょうね。
 それまでの辛抱よ!


 その日が訪れるのは意外とすぐだった。



「ガルカ……。専属使用人が配属されたのは嬉しいわよ。全員が私達と同い年くらいの女というのも良いと思うわ。でも、これじゃあガルカとの愛を育めないじゃないの。今だって使用人達には付いてこないでと言って急いで外に出てきたくらいだし」

「俺だって困っている。せっかくレムをこっちへ連れてきたのに、これではむしろ逆効果じゃないか」

 ガルカと一緒にいられるかと思ったら、使用人達に監視されているような状況になってしまっている。
 どうにかして使用人達からの目を盗んでイチャつける状況を作りたい。

「こうなったらレム……やはり君が使用人として働くしか方法がないかもしれないな」
「え!? そんなことしたら、折角のビップ待遇が無くなってしまうじゃないの!」

 金持ち一家のお嬢様という待遇だけは譲りたくはなかった。
 でも……。

「レムがあいつらと同じ位置に付ければ、いずれ俺の専属使用人にすることだってできるだろ? そうしたら前以上にやりたい放題できるじゃないか」
「そっか!」

 さすがガルカね。天才の私ですらそんな素晴らしい発想ができなかったというのに。

「ビップ待遇だっていずれやってくる。シェリルの稼ぎがとんでもない額だということは今回の件でわかったし。俺に入ってくる金も相当な額になると思う」
「そ……そうよね、今だけの我慢よね……。私だってもうすぐ大量の報酬が入ってくるわけだし」
「すまないがしばらく使用人として頑張ってくれ」
「わかったわ」

 全てはガルカと堂々と不倫生活を送るため。
 そして、私の愛する人を奪ったシェリルをどん底まで叩き落とす。
 その後にガルカを正式な夫として迎え入れるのよ。

 そのために私は一肌脱ぐことにした。
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