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51 ガルカ視点 計画
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流石に俺は犯罪に手を染めるのはどうかと思うのだが。とはいえ、バレなければ無罪だし、そもそも盗んだとはいえレムは現状無罪なのだ。
「盗むというよりも、取り戻すと言った方が今回は正しいと思うの」
「言っていることがよくわからん。詳しく説明してくれるか?」
ひとまずレムが盗んできたリンゴを受け取ってかじる。
美味い。
言葉には出さなかったが、レム、良くやった!
「シェリルの家に大量のお金を運んだっていう噂を聞いたの。多分服の売上だと思う。つまり、私の販売の邪魔をして手に入れたお金だし、私達が受け取る権利だってあるはずなの。そう思わない?」
こればかりは腕を組みながら少し考えた。
「うーむ……どれくらいの額かわかるか?」
「噂だと百億だって!」
「ひゃく!? バカな!」
そんなに金を持っているのならば、今すぐにでもシェリルと再婚したいとすら思ってしまう。
レムのことは幼馴染だし、もちろん愛している。だが、今は愛より金なのだ。
「レムよ、一旦離婚をして、俺がシェリルと再婚する。そのあと離婚してもう一度夫婦になるというのはどうだろうか?」
そう言うと、レムは物凄い睨みを効かして俺の頬をビンタしてきた。
勢いでかじってたリンゴが飛んでいってしまった。
「痛いじゃないか!」
「当たり前でしょ! 痛くなるように叩いたんだから!」
コントじゃないんだから説明はしないでほしい。俺は大真面目なのに。
「そもそも、そんな大金があるのなら、数億盗んだってバレないと思うの。ほら、そのリンゴが良い例よ。そこに一個しかないリンゴがなくなったらすぐに分かる。けれど、百個リンゴがあって、数個無くなってても分からないと思うのよ」
「なるほど……。確かにそうだが」
「それにシェリルの家だったら構造もわかるし、元々無防備だったでしょ?」
「あぁ。使用人がいても家事しかしていなかった気がする」
だんだんとレムのペースにハマってきた。いや、むしろレムが正論なんだと思う。
「せいぜい離婚の慰謝料と、シェリルのせいで売れなかった代金分は返してもらって良いと思うの」
「確かにな。元はと言えば原因はアイツだ。そうだよな。盗むと言うよりも、返してもらうというのが正しい表現だよな」
考えがまとまった。俺は間違っていた。だが、レムが俺の考えを正しい道に導いてくれた。
ありがとうレム。
愛より金だと思っていたが、借金さえなくなれば愛と金は同じくらいの価値になるだろう。
散々話し合った結果、お金を回収しに行くのは明日の夜中。
もしものことを考えて、まだアイツと夫婦だったときにコッソリと作っていた合鍵を今も持っていたのだ。
これを使えば容易に侵入できる。
おまけに百億という大金ならば、保管しておく場所など想像ができる。
これでようやく借金生活が終わると考えるとワクワクしてきた。
--------------------------
【後書き】
長い間読んでいただきありがとうございます。
ここで新作のお知らせです。
新作『愛してきた義妹と婚約者に騙され、全てを奪われましたが、大商人に拾われて幸せになりました』
こちらも宜しくお願い致します。
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レムのことは幼馴染だし、もちろん愛している。だが、今は愛より金なのだ。
「レムよ、一旦離婚をして、俺がシェリルと再婚する。そのあと離婚してもう一度夫婦になるというのはどうだろうか?」
そう言うと、レムは物凄い睨みを効かして俺の頬をビンタしてきた。
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「当たり前でしょ! 痛くなるように叩いたんだから!」
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「そもそも、そんな大金があるのなら、数億盗んだってバレないと思うの。ほら、そのリンゴが良い例よ。そこに一個しかないリンゴがなくなったらすぐに分かる。けれど、百個リンゴがあって、数個無くなってても分からないと思うのよ」
「なるほど……。確かにそうだが」
「それにシェリルの家だったら構造もわかるし、元々無防備だったでしょ?」
「あぁ。使用人がいても家事しかしていなかった気がする」
だんだんとレムのペースにハマってきた。いや、むしろレムが正論なんだと思う。
「せいぜい離婚の慰謝料と、シェリルのせいで売れなかった代金分は返してもらって良いと思うの」
「確かにな。元はと言えば原因はアイツだ。そうだよな。盗むと言うよりも、返してもらうというのが正しい表現だよな」
考えがまとまった。俺は間違っていた。だが、レムが俺の考えを正しい道に導いてくれた。
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もしものことを考えて、まだアイツと夫婦だったときにコッソリと作っていた合鍵を今も持っていたのだ。
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