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50 アリアのコンサート編5
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少しオズマ達と話しすぎたかな……。
チケット番号一番なので、早めに行かないと一番最初に入れなくなってしまう。
走って向かっている最中、またしても知り合いと遭遇した。
だが、相手はかなり焦っているようだった。
気になったので声をかける。
「マーレット様、ここでお会いできるとは偶然ですね」
「あ、あらごきげんようライアンさん! ごめんなさい。私、ドジしてしまったせいで急いでいるの」
「どうしました?」
「チケットを……落としてしまったようで」
「え!?」
今にも泣き出しそうなマーレット様だった。
どうやら彼女もアリアのファンなのだろう。
必死になって地面を向きながら探し回っている。
「あぁ……もう! せっかくのゴールドチケットを……、どこで落としてしまったのかしら」
「私も一緒に探しましょう」
「でも、もう時間がありませんわ。私など気にせずコンサートを楽しんでください」
いや、気になるから。
どうやら落としたのは本当のようだし、マーレット様がこのままでは一生後悔してしまう気がしてならない。
仕方がない!
私は鞄の奥からプラチナチケットを取り出して、それをマーレット様に渡そうとした。
「こ……これってアリアのコンサートチケット!? しかも握手券付きで整理券一番……こ、こんな凄いもの受け取れませんわよ!」
「でも楽しみにしていたのでしょう? 私は大丈夫ですから」
「何が大丈夫なのですか!? 嘘はダメですよ! 落としてドジをしたのは私なので、絶対に受け取りません。お気持ちだけ受け取っておきます」
理由は本人に言えないけれど、大丈夫なんだよ……。
確かにチケットで会場に入ることはできなくなるのは事実だ。
だが、こういう緊急事態なら致し方がない。
アリアに直接お願いしてしまうという禁断の作戦があるのだから!
もちろん邪道なのはわかっている。
それにアリアに頼んで入れたとしても、そこは関係者席の一番後ろ側からの観戦になる。
しかも、大人しく見ていなければならない。
最前で大声ではしゃぐことが一切許されない席なのだ。
でも、マーレット様の気持ちを考えたら、この方法が一番かなと思う。
アリアと知り合いということだけは伏せながら、少しだけ嘘をついて彼女を説得させた。
「実は関係者が知り合いにいるので、私は関係者席から静かに観戦することもできます。だから心配しないでください」
「もう……あなたって人はどこまで優しいのかしら……」
マーレット様は涙目になって喜んでいた。
うん、これだけでもコンサートに来た価値はある。
アリアファンの同志が喜んでくれるだけでも私は嬉しい。
だが、マーレット様に注意だけはしておかなくてはいけないだろう。
「お言葉ですが、コンサートでは、このように最善の注意と警戒をした方がいいかと思いますよ。私はこうやって、鞄の中にダミーチケットを用意したり、プラチナチケットは一番奥底にしまったりしていますから……」
マーレット様は、私の鞄の中を覗いて、首を傾げていた。
「ダミーチケットですか? これ、本物のゴールドチケットではありませんこと?」
「え!? そんなはずは……。だって、作ったダミーは全部ブラチナチケットを……」
慌てて私も鞄の中に入っているダミーチケットを調べた。
「あれ……本物のゴールドチケットになっている……」
もちろん、魔道具で偽装もしていないし、詐欺的なことはしていない。
だが、ダミーの中に本物のチケットが混ざり込んでいたのだ。
「こんなことって……でも、これでコンサート見れるわ」
罪悪感がある。
謎のチケットをそのまま使うわけにもいかないだろう。
だが、ふと思い出した。
サバス様が私の鞄の中に何かを入れていたのだ。
もしかしたら、私の性格を見抜いていて、こうなることを予感して予備にチケットを忍ばせていたのかもしれない。
そうか、そうだったんだ!
これならば本当に堂々とコンサートを見れる!!
「このプラチナチケットはお返ししますね。もしライアンさんが譲っていただけるのならば、私はそちらのチケットで入ります」
「え、でも……」
「私はまだ、『いただく』とは言っていませんから。それに、握手権利はライアンさんも楽しみにしていたのでしょう?」
「それはそうですけど」
「コンサートを見れるだけで幸せです。それに、既にライアンさんの暖かい心と優しさで胸が一杯ですわ!」
そこまで言われたら私も嬉しくなってしまう。
どうしてゴールドチケットが混ざっていたのかは謎のままだが、マーレット様に渡したチケットは返してもらい、代わりにゴールドチケットを渡した。
「ライアンさんの御恩は一生忘れませんわ!」
「大袈裟な……。でも、無事に解決できてよかったですね。急ぎましょう!」
「ええ!」
細かいことは後回しだ。
すぐに会場の整列箇所へ行き、無事に一番という称号のポジションで入場することに成功した。
何か後ろの方でざわついていたけれど、私はドキドキとワクワクでそれどころではなかった。
チケット番号一番なので、早めに行かないと一番最初に入れなくなってしまう。
走って向かっている最中、またしても知り合いと遭遇した。
だが、相手はかなり焦っているようだった。
気になったので声をかける。
「マーレット様、ここでお会いできるとは偶然ですね」
「あ、あらごきげんようライアンさん! ごめんなさい。私、ドジしてしまったせいで急いでいるの」
「どうしました?」
「チケットを……落としてしまったようで」
「え!?」
今にも泣き出しそうなマーレット様だった。
どうやら彼女もアリアのファンなのだろう。
必死になって地面を向きながら探し回っている。
「あぁ……もう! せっかくのゴールドチケットを……、どこで落としてしまったのかしら」
「私も一緒に探しましょう」
「でも、もう時間がありませんわ。私など気にせずコンサートを楽しんでください」
いや、気になるから。
どうやら落としたのは本当のようだし、マーレット様がこのままでは一生後悔してしまう気がしてならない。
仕方がない!
私は鞄の奥からプラチナチケットを取り出して、それをマーレット様に渡そうとした。
「こ……これってアリアのコンサートチケット!? しかも握手券付きで整理券一番……こ、こんな凄いもの受け取れませんわよ!」
「でも楽しみにしていたのでしょう? 私は大丈夫ですから」
「何が大丈夫なのですか!? 嘘はダメですよ! 落としてドジをしたのは私なので、絶対に受け取りません。お気持ちだけ受け取っておきます」
理由は本人に言えないけれど、大丈夫なんだよ……。
確かにチケットで会場に入ることはできなくなるのは事実だ。
だが、こういう緊急事態なら致し方がない。
アリアに直接お願いしてしまうという禁断の作戦があるのだから!
もちろん邪道なのはわかっている。
それにアリアに頼んで入れたとしても、そこは関係者席の一番後ろ側からの観戦になる。
しかも、大人しく見ていなければならない。
最前で大声ではしゃぐことが一切許されない席なのだ。
でも、マーレット様の気持ちを考えたら、この方法が一番かなと思う。
アリアと知り合いということだけは伏せながら、少しだけ嘘をついて彼女を説得させた。
「実は関係者が知り合いにいるので、私は関係者席から静かに観戦することもできます。だから心配しないでください」
「もう……あなたって人はどこまで優しいのかしら……」
マーレット様は涙目になって喜んでいた。
うん、これだけでもコンサートに来た価値はある。
アリアファンの同志が喜んでくれるだけでも私は嬉しい。
だが、マーレット様に注意だけはしておかなくてはいけないだろう。
「お言葉ですが、コンサートでは、このように最善の注意と警戒をした方がいいかと思いますよ。私はこうやって、鞄の中にダミーチケットを用意したり、プラチナチケットは一番奥底にしまったりしていますから……」
マーレット様は、私の鞄の中を覗いて、首を傾げていた。
「ダミーチケットですか? これ、本物のゴールドチケットではありませんこと?」
「え!? そんなはずは……。だって、作ったダミーは全部ブラチナチケットを……」
慌てて私も鞄の中に入っているダミーチケットを調べた。
「あれ……本物のゴールドチケットになっている……」
もちろん、魔道具で偽装もしていないし、詐欺的なことはしていない。
だが、ダミーの中に本物のチケットが混ざり込んでいたのだ。
「こんなことって……でも、これでコンサート見れるわ」
罪悪感がある。
謎のチケットをそのまま使うわけにもいかないだろう。
だが、ふと思い出した。
サバス様が私の鞄の中に何かを入れていたのだ。
もしかしたら、私の性格を見抜いていて、こうなることを予感して予備にチケットを忍ばせていたのかもしれない。
そうか、そうだったんだ!
これならば本当に堂々とコンサートを見れる!!
「このプラチナチケットはお返ししますね。もしライアンさんが譲っていただけるのならば、私はそちらのチケットで入ります」
「え、でも……」
「私はまだ、『いただく』とは言っていませんから。それに、握手権利はライアンさんも楽しみにしていたのでしょう?」
「それはそうですけど」
「コンサートを見れるだけで幸せです。それに、既にライアンさんの暖かい心と優しさで胸が一杯ですわ!」
そこまで言われたら私も嬉しくなってしまう。
どうしてゴールドチケットが混ざっていたのかは謎のままだが、マーレット様に渡したチケットは返してもらい、代わりにゴールドチケットを渡した。
「ライアンさんの御恩は一生忘れませんわ!」
「大袈裟な……。でも、無事に解決できてよかったですね。急ぎましょう!」
「ええ!」
細かいことは後回しだ。
すぐに会場の整列箇所へ行き、無事に一番という称号のポジションで入場することに成功した。
何か後ろの方でざわついていたけれど、私はドキドキとワクワクでそれどころではなかった。
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