【完結】婚約者にウンザリしていたら、幼馴染が婚約者を奪ってくれた

よどら文鳥

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【オズマ視点11】アリアのコンサート編7

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「くそう……そのチケットさえあれば」

 あまりにも悔しい。
 その間抜けな知人が俺と知り合いだったなら、間違いなく俺がもらっていただろう。

 ミーナも羨ましそうにしているし、ライアンはコンサートが見れればそれで良いだろうと思っているはずだ。
 ならば、ライアンには少々悪い気もするが、すり替えるしかない。
 さすがにチケットを奪ってしまっては泥棒だ。

 だが、俺たちの持っているゴールドチケットを一枚ライアンの鞄に入れておけば彼女もコンサートは楽しめるだろう。
 さすがはミーナだ。
 俺の思っていることを完全に理解しているようで、すでにライアンの背後に近寄っている。

 ライアンの気を完全に俺に向けてもらうために、彼女の鞄を羨ましく思いながら見つめていた。
 これに関しては嘘ではない。

「私の鞄がそんなに気になるの?」
「あぁ、いや、すまない。高そうな鞄だなと思っていただけだ」

 ライアンの持っている鞄は見たこともないし、随分と頑丈に作られているように見える。
 きっと、王族の奴らがライアンに渡したのだろう。
 ずるい女だ。

「これ、庶民エリアにあるなんでも銅貨一枚圴一で買った鞄なんだけど」

 なんだと!?
 俺の目利きが間違っていたとでもいうのか。
 だが、今焦るわけにはいかない。
 ミーナがタイミングを伺っているのだから。

「そうか、よくできた鞄だな。庶民も侮れん」

 その瞬間ミーナが素早く鞄に手を突っ込み、チケットを奪い、代わりにゴールドチケットを忍ばせた。
 ミーナの場合、俺たちのゴールドチケットを入れないでただ奪うだけかと思っていたが、さすがに情はあるようだ。

 ホッと一安心。

「はっ!!」

 ライアンは相変わらずの鈍臭さだな。
 これも俺たちが幼馴染同士だから知っている性格だ。
 おかげでうまくいった。

「じゃあまたね。二人もコンサート楽しんで」

 何事もなかったかのようにライアンは会場へ向かっていく。

 ミーナと顔を合わせて手をタッチした。

「さすがミーナだな。その素早さがあるからこそ、ワインド家の財産もたやすく拝借することができたのだろう」
「ライアン相手だから緊張もしたけどね。さ、これで握手の権限は私たちの──」
「バカなことを言うな! 欲しがっているその辺の奴らに高く売ってしまおう」

 プラチナチケットならば、俺は金になればそれでいい。
 だが、ミーナはアエルと握手したいがために奪ったらしい。
 またしても意見が一致しなかった。

「元々は私が手に入れたゴールドチケットなのよ! 売るなんて許さない!」
「くそう……俺はアリアのファンだが、それよりも大金が入るならと……」
「それはこれからオズマが働くって約束したでしょう!? 今はアリアのコンサートを楽しむことが大事なの! わかった!?」

 ミーナの意見はわからないでもない。
 俺だって、金に困っていなければ今回のコンサートを楽しんでいたはずだから。
 渋々ミーナに従うことにした。
 金のことはまた後で考えることにする。

「ところで、握手は俺とミーナどちらが?」
「もちろん私よ。だって、覚悟の上で交換したんだもの」

 当たり前のように言ってくるので、俺は許せず反論した。
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