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14【視点】アルファード家、なくなる
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「ちょっとー! ちょっとちょっとちょっとーーーー!! 家がなくなるかもしれないってどういうことですか!?」
マーヤが慌てふためき、両親のニッシモとミーンに訴えかけた。
落胆した顔をしながら、ニッシモは答える。
「……すまん、急にうちの店の取引先から、もう二度と取引しないと断ってきた。もう我が家はおしまいだ……」
「大袈裟でしょう!? 他のところでやっていけばいいじゃないのー!」
状況を軽く見ているミーンは、希望を捨てていなかった。
だが、ニッシモはどうしようもできないことをしっかりと伝える。
絶望に満ちた表情をしながら。
「無理だな……。取引相手がダーレーアビアとバイアリタークの両国共に一番の大商人だったんだ。そんな相手が怒って取引をしないと宣言してきたんだぞ。こんなことになってしまっては、うちの店と今後取引したいと思うようなお人好しな者はいないだろう……」
「あ……あなた、それでもなんとかならないの?」
「大商人に嫌われたくはないだろう。あのお方が嫌った相手と取引を続けていれば、今度は自分の店まで取引をしないと言われかねない。そんなリスクを犯してまでうちの店と関わろうと思う奴がいると思うか?」
ついにミーンからも笑顔が消える。
「うぅ……そんな……そんなことになったら、私とダルム様の婚約も……」
「いや、それは問題ないだろう。ダルム男爵はお前の魅力に惚れていたのだろう? マーヤはダルム男爵と幸せになりなさい」
「はいっ!」
マーヤだけはまだ諦めていなかった。
だが、婚約相手のダルムがアルファード家の金が目当てだということをマーヤは知らなかった。
♢
「なんだと!? 店が潰れて家もなくなる? どういうことだ!?」
突然マーヤからそう告げられ、冷静さを失っていた。
「大商人から二度と取引はしないって言われてしまったそうで……。いくら貴族のはしくれとは言っても、このことが噂になってしまったら存続も危うくなるんじゃないかと……」
「なんということだ……これではマーヤとの婚約もなかったことにするしか」
冷静さを失っていたため、うっかりと本音を漏らしてしまったのだ。
マーヤは驚いた表情をしながらも、なんとか婚約を成立させねばと必死だった。
「なんですって!? 私はダルム様と幸せな家庭を望んでいますよ!」
「俺だって被害者だ。この際はっきり言うが、アルファード家の金と商売に期待していたのだ。それがなくなってしまえば、いくらお前に魅力があっても結婚する価値はない。それでも一緒にいたいのなら体相手にでもなるか?」
「ひ……ひどい……」
マーヤはどうすることもできなかった。
だが、それでも良いから居場所を確保したかったのである。
「それでも良いです……。私を捨てないて……」
「ほう……そこまで考えているのか。婚約自体はすでに貴族たちには知られている状態だ。婚約破棄をした上でもなお、俺のそばにいたいと?」
「え……ええ、そうです」
「ならばそれもよかろう」
なんとか住む場所を確保したいという思いだけでダルムにしがみつく。
ダルムは渋々了承してしまったのである。
だが、ダルムの判断が大きな間違いだったことをまだ知らなかった。
その数日後、アルファード家の住処はなくなり、ニッシモとミーンの野宿生活が始まる。
マーヤもダルムの元でなんとか居候を試みたが、すぐに身体を飽きられ、捨てられてしまったのだ。
マーヤも野宿生活が始まった。
マーヤが慌てふためき、両親のニッシモとミーンに訴えかけた。
落胆した顔をしながら、ニッシモは答える。
「……すまん、急にうちの店の取引先から、もう二度と取引しないと断ってきた。もう我が家はおしまいだ……」
「大袈裟でしょう!? 他のところでやっていけばいいじゃないのー!」
状況を軽く見ているミーンは、希望を捨てていなかった。
だが、ニッシモはどうしようもできないことをしっかりと伝える。
絶望に満ちた表情をしながら。
「無理だな……。取引相手がダーレーアビアとバイアリタークの両国共に一番の大商人だったんだ。そんな相手が怒って取引をしないと宣言してきたんだぞ。こんなことになってしまっては、うちの店と今後取引したいと思うようなお人好しな者はいないだろう……」
「あ……あなた、それでもなんとかならないの?」
「大商人に嫌われたくはないだろう。あのお方が嫌った相手と取引を続けていれば、今度は自分の店まで取引をしないと言われかねない。そんなリスクを犯してまでうちの店と関わろうと思う奴がいると思うか?」
ついにミーンからも笑顔が消える。
「うぅ……そんな……そんなことになったら、私とダルム様の婚約も……」
「いや、それは問題ないだろう。ダルム男爵はお前の魅力に惚れていたのだろう? マーヤはダルム男爵と幸せになりなさい」
「はいっ!」
マーヤだけはまだ諦めていなかった。
だが、婚約相手のダルムがアルファード家の金が目当てだということをマーヤは知らなかった。
♢
「なんだと!? 店が潰れて家もなくなる? どういうことだ!?」
突然マーヤからそう告げられ、冷静さを失っていた。
「大商人から二度と取引はしないって言われてしまったそうで……。いくら貴族のはしくれとは言っても、このことが噂になってしまったら存続も危うくなるんじゃないかと……」
「なんということだ……これではマーヤとの婚約もなかったことにするしか」
冷静さを失っていたため、うっかりと本音を漏らしてしまったのだ。
マーヤは驚いた表情をしながらも、なんとか婚約を成立させねばと必死だった。
「なんですって!? 私はダルム様と幸せな家庭を望んでいますよ!」
「俺だって被害者だ。この際はっきり言うが、アルファード家の金と商売に期待していたのだ。それがなくなってしまえば、いくらお前に魅力があっても結婚する価値はない。それでも一緒にいたいのなら体相手にでもなるか?」
「ひ……ひどい……」
マーヤはどうすることもできなかった。
だが、それでも良いから居場所を確保したかったのである。
「それでも良いです……。私を捨てないて……」
「ほう……そこまで考えているのか。婚約自体はすでに貴族たちには知られている状態だ。婚約破棄をした上でもなお、俺のそばにいたいと?」
「え……ええ、そうです」
「ならばそれもよかろう」
なんとか住む場所を確保したいという思いだけでダルムにしがみつく。
ダルムは渋々了承してしまったのである。
だが、ダルムの判断が大きな間違いだったことをまだ知らなかった。
その数日後、アルファード家の住処はなくなり、ニッシモとミーンの野宿生活が始まる。
マーヤもダルムの元でなんとか居候を試みたが、すぐに身体を飽きられ、捨てられてしまったのだ。
マーヤも野宿生活が始まった。
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