【完結】聖女レイチェルは国外追放されて植物たちと仲良く辺境地でサバイバル生活します〜あれ、いつのまにかみんな集まってきた。あの国は大丈夫かな

よどら文鳥

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9話【Side】植物のいなくなった王都

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 レイチェルを追放した翌朝、王宮にて。
 緊急会議のため、国王は宰相に呼び出されていた。

「不可解な……。ひと晩で王都中の植物や野菜が消えただと……?」
「報告によれば、奇妙なことに真夜中に木が動く姿を目撃したという情報もあります」
「そのような馬鹿げた話があるわけがない! 寝ぼけていた者の報告など聞く気にもなれぬわ」

 王都の人間は、レイチェルの力によって植物が動けるようになっていることを知らない。
 植物たちも人の目を盗んで動くようにしているため、人々は誰も気がつかないのだ。

「このような大規模窃盗など……、いったい誰がなんのために……」
「野菜はともかく、木まで盗むとは。犯人は大工の可能性も」
「宰相よ、国外へ資源を輸出ということも考えられるぞ。あまり容疑者を絞りすぎぬように」

「ははっ。ですが、よほどの怪力か移動手段を持つ道具を大量に持っている、という点は間違いないでしょう」
「そうだな。このままでは王都が滅んでしまう可能性すらありえる。ひとまず、王宮措置として野菜の種をばら撒き大至急収穫できるように」

 すぐに野菜を育てればなんとかなると国王は目論んでいた。
 しかし、王都が現在どのような状況なのかをすべて把握している宰相は落胆しながら国王に伝える。

「それが……」
「どうした?」
「どういうわけか、種も王都中から姿を消してしまっていて……」

 国王は信じられないと言った顔をしながら、椅子から立ち上がる。
 同時にテーブルをバンッと叩いた。

「はぁ!? バカな!!」
「そのとおりバカげていると思いますが現実に……」
「なんということだ……。せっかくレイチェルという税金泥棒聖女を追放したと思ったら、また私に難題を……」
「いかがいたしましょう。このままでは国民は食料を求めて王都から去ってしまう可能性も」

 国王にとって、税を徴収できる民が王都からいなくなることだけは避けたかったのだ。

「大至急、近隣の街から食料と野菜の種を仕入れよ! 多少の国家予算を使っても仕方あるまい。なんとしてでも民がこの王都から去ってしまうことだけは避けるように!」
「かしこまりました」

「犯人探しには金をかけてもかまわぬ。総力をあげて全力で調査せよ!!」
「では騎士団、調査団、諜報部隊、護衛、さらには使用人、メイド、すべての人員を使ってでも……?」
「無論かまわぬ。それほど今回の窃盗は重大事件なのだからな」

 こうして大規模な調査が始まった。
 だが、犯人が存在しないため、当然ながらなにひとつ情報が掴めなかったのだ。

 国の予算もだいぶ使ってしまったため、王都が傾いていく。
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