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5話
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「さっそく魔法を使ってみたいと思います」
「ミリアよ、無理しなくとも少し休んでは?」
「いえ、身体は大丈夫です。それよりも、私の身体の異常を取り除いてベイルハルト様との……。…………あ」
その後の発言を止めた。
ベイルハルト子供を作りましょうとは会長の前では言えなかったのだ。
「ともかくやってみます」
ひとまずは治癒魔法の初歩として、身体の状態を検索する魔法を自分自身に発動してみた。
私自身が実験台になったことでどんな感覚になるのかがよくわかる。
そして治癒魔法を発動した場合に術者がどのような感覚になるのかも……。
今私の身体がどのようになっているのかが手にとるようにわかった。
「呪い……!? 私の身体には呪いがかかっている……」
「な!?」
呪いなんて本来は囚人が逃げないようにするために魔導士が発動する魔法だ。
しかも、私へ与えられた呪いは『子が授からないようにする呪い』である。
このことをベイルハルト様に詳しく話す。
すると、ベイルハルト様の表情が徐々に強張ってきた。
「まさか……、まさかではないと思うが……」
「はい?」
「ミリアよ、呪いを消すこともできるのだな?」
「はい。すぐにでも」
「いや、すまないが少しだけ待ってほしい。その呪いをかけてきた魔導士を見つけることが先決だ。私の友人に有能な魔導士がいる。彼に頼めば犯人をすぐに見つけられるだろう」
「わ……わかりました」
私はふと疑問になっていた。
呪い魔法なんて、よほど近くにいない限り喰らってしまうことはまずないだろう。
私がここ数年で深く関わった相手なんて、両親やベイルハルト様、それから彼のご両親とその側近の護衛たちだけである。
結婚生活が始まってからは箱入り娘のように屋敷で暮らしていたし、人と長時間共にすることはなかったはずだ。
気になる……。
だが、ベイルハルト様の友人が犯人を見つけてくれると言っているのだし任せてしまおう。
でも早くベイルハルト様との子供も欲しい……。
いや、今は我慢だ。
きっとベイルハルトのご両親も、『私に呪いがかかっていたから子供が授からなかった。でも治癒魔法で呪いを解呪したから大丈夫です』と言えばなんとかなるだろう。
……と、安易に考えていたのが甘かったのだ。
「ミリアよ、無理しなくとも少し休んでは?」
「いえ、身体は大丈夫です。それよりも、私の身体の異常を取り除いてベイルハルト様との……。…………あ」
その後の発言を止めた。
ベイルハルト子供を作りましょうとは会長の前では言えなかったのだ。
「ともかくやってみます」
ひとまずは治癒魔法の初歩として、身体の状態を検索する魔法を自分自身に発動してみた。
私自身が実験台になったことでどんな感覚になるのかがよくわかる。
そして治癒魔法を発動した場合に術者がどのような感覚になるのかも……。
今私の身体がどのようになっているのかが手にとるようにわかった。
「呪い……!? 私の身体には呪いがかかっている……」
「な!?」
呪いなんて本来は囚人が逃げないようにするために魔導士が発動する魔法だ。
しかも、私へ与えられた呪いは『子が授からないようにする呪い』である。
このことをベイルハルト様に詳しく話す。
すると、ベイルハルト様の表情が徐々に強張ってきた。
「まさか……、まさかではないと思うが……」
「はい?」
「ミリアよ、呪いを消すこともできるのだな?」
「はい。すぐにでも」
「いや、すまないが少しだけ待ってほしい。その呪いをかけてきた魔導士を見つけることが先決だ。私の友人に有能な魔導士がいる。彼に頼めば犯人をすぐに見つけられるだろう」
「わ……わかりました」
私はふと疑問になっていた。
呪い魔法なんて、よほど近くにいない限り喰らってしまうことはまずないだろう。
私がここ数年で深く関わった相手なんて、両親やベイルハルト様、それから彼のご両親とその側近の護衛たちだけである。
結婚生活が始まってからは箱入り娘のように屋敷で暮らしていたし、人と長時間共にすることはなかったはずだ。
気になる……。
だが、ベイルハルト様の友人が犯人を見つけてくれると言っているのだし任せてしまおう。
でも早くベイルハルト様との子供も欲しい……。
いや、今は我慢だ。
きっとベイルハルトのご両親も、『私に呪いがかかっていたから子供が授からなかった。でも治癒魔法で呪いを解呪したから大丈夫です』と言えばなんとかなるだろう。
……と、安易に考えていたのが甘かったのだ。
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