【完結】不倫をしていると勘違いして離婚を要求されたので従いました〜慰謝料をアテにして生活しようとしているようですが、慰謝料請求しますよ〜

よどら文鳥

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2【レント視点】証拠はあるんだ

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 シャーリーは顔が可愛いし、騎士をやっているというのもあって交際を始めた。
 騎士というのだから身体が引き締まっているだろうし、稼ぎも良いと思った。
 たとえ俺が働けなくなったとしても将来安泰だと思っていたのだ。

 だが、結婚してから毎日一緒にいたら身体には飽きてしまう。
 金だけはどんどん入ってくるから、そのまま俺のそばに置いといてやった。

 女の夜など金さえあればいくらでも買える。
 まさに天国生活で俺の理想。

 だが、俺は更に天国生活を送れるかもしれない現場に遭遇してしまったのだ。
 それが初夏の第十五日、騎士団の控え室だ。

 俺はあの日、控室の外から耳を当てて盗み聞きしていた。

♦︎

「シャーリー殿、今まで其方の活躍があったからこそ我が騎士団はここまで成長できた。改めて感謝する」
「いえ、身体を動かすのが好きですし、辺境地を守るためでもありますから」

 そうか、シャーリーの奴は騎士団の中でも活躍しているのだな。
 だからこそ多額の年俸なわけか。
 よし、いいぞ。もっと活躍するんだ。
俺のために。

 浮かれていてしばらく会話は聞いていなかったが、とんでもないワードを耳にしてすぐに聞く体制に入った。

「──一緒になるんだな」
「すぐに抜きますよ」

 ば……ばかな!
 シャーリーが抜くだと!?
 
 すでに俺からシャーリーへの愛情はないし、金になる道具としてしか思っていないので、これは絶好のチャンスだと思っていた。

 どうやらシャーリーの発言は本当らしい。
 ソファーかベッドだろう。
 ミシミシと連続で音が響いてきた。
 鍵がかかっているので中は覗けないが、間違いなくそういうことなのだろう。

「ふーふー、シャーリー殿、やはり其方は素晴らしい。俺はこのような動きだけでも息があがってしまうのだから」
「私だってこんなに動いたら心拍数は上がりますからね」

 まさかこんなところでそんなことを!!
 これで証拠は整った!
 あとは問い詰めれば吐くだろう。
 吐かなかったとしても、確実に現場の音声を聞いたのだから現場を調べれば証拠なんて出てくるだろうな。

 そのあと、多額の金が入ってくるだろうと興奮してしまい浮かれていた。
 会話をしていたようだが聞いていなかった。最後の言葉以外は。

「──イくぞ」
「はいっ!」

 そうか、行為はたった今終わったんだな。
 ならば俺も早速離婚へのプランを考えなくては。

 ふっふっふ……、シャーリーの奴め。
 まさかあいつが不倫をするような女だとは思わなかったが、俺にとっては好都合だ。
 さぁて、どれだけの慰謝料をもぎとれるだろうか。
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