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【別サイド】宰相の警告
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「今なんと言った!?」
「ですから、ロブリー陛下の政策は大失敗です! このままでは国が崩壊しますよ。至急政策の取りやめを推奨します」
国王の次に権限を持つ宰相が、ロブリーに対して提言をするのは初めてだった。
それほど、ブラークメリル王国が危機的状況にまで追い込まれていたのだ。
「そもそも、皆対応がおろそかだからいけないのだ。政策が問題ではなく、新しい時代の流れについてこれずに文句ばかり言っている奴らがいけないんだよ!」
「政策だけではありません! 結界がなくなり住民から不安の声も続出しております!」
「だから時代遅れの者たちを相手にするのは苦労する……」
ロブリーは宰相の警告をあしらうように切り返した。
だが、今回は宰相も黙ってはいない。
たとえクビになっても訴える必要があったのだ。
「陛下。冷静にお考えください。既に国の重要機関だった魔道具開発の集落は完全に廃墟し、隣国のホワイトラブリーへ移民したとの情報が入っておりますぞ!」
「なんだと!?」
「それだけではありません。すでに国の九割以上の住民がホワイトラブリー王国へ移民する計画を遂行しています」
「…………」
ロブリーは、ここで初めて考え直したのだった。
国を良くするために経費節約が重要だと考えていた。
だが、住民たちは全員が浪費家なのだとしょうもない人間がこの国には大勢いたのだと改めて判断した。
「好きにさせればいい」
「はい!?」
「所詮は浪費癖の激しい愚かなバカどもなのだろう。残ったまともな考えを持った少人数でも立派な国にできるはずだ」
「いえ、残りの人間は……」
「くどい!!」
宰相は、『残りの人間は移民すらできる金や人脈がいない者たちや囚人ですぞ』と言いたかったが、ロブリーがそれを拒否した。
「経費節約政策は続ける。それに、結界がどうのこうのと言っていたが、時代は変わったのだ。既に結界などなくともモンスターは襲ったりはしない。現状平和ではないか」
「そんなことがいつまで続くかはわかりませんぞ……」
「気もしないことに金をかけるほど無駄な行為は必要ない」
「陛下というお方は……」
さすがの宰相も限界だった。
このまま指示に従っていれば確実に国は潰れる。
それくらいの判断は宰相だけでなく、国に仕えているものなら誰でも理解していたのだ。
「なんだその目は? 文句があるのなら貴様とて出ていっても構わないのだぞ。年俸を払わずに済むのだからむしろ好都合と言えるが」
「左様ですか。さすがに今回の件では陛下についていけません」
ロブリーは宰相が出て行く分にはなんの問題もなかった。
残された安い年俸の部下たちが動かしていけばいいのだから、そう思っていたのだ。
「我々もみな、ホワイトラブリーへ移民します」
「うむ。古い考えしか出来ぬような者に国は任せられんからな……。ん? 今、皆と言ったか?」
「えぇ。私だけでなく、王宮にいる者たちは国を捨てます。私が陛下を説得できなければその覚悟を持っていたというわけです」
ロブリーはそれでも止めなかった。
宰相側について国を出て行く部下はせいぜい半分。
むしろ人件費を半分削れて好都合だと思っていた。
だが数日後、事件は起きる。
「む……今日は誰も起こしに来なかったのか。今何時だ?」
「おーい、だれかいないのか!?」
「静まりかえっている……。まさか!?」
ロブリーは王宮の隅から隅まで探し回ったが、誰もいなかったのだった。
「ですから、ロブリー陛下の政策は大失敗です! このままでは国が崩壊しますよ。至急政策の取りやめを推奨します」
国王の次に権限を持つ宰相が、ロブリーに対して提言をするのは初めてだった。
それほど、ブラークメリル王国が危機的状況にまで追い込まれていたのだ。
「そもそも、皆対応がおろそかだからいけないのだ。政策が問題ではなく、新しい時代の流れについてこれずに文句ばかり言っている奴らがいけないんだよ!」
「政策だけではありません! 結界がなくなり住民から不安の声も続出しております!」
「だから時代遅れの者たちを相手にするのは苦労する……」
ロブリーは宰相の警告をあしらうように切り返した。
だが、今回は宰相も黙ってはいない。
たとえクビになっても訴える必要があったのだ。
「陛下。冷静にお考えください。既に国の重要機関だった魔道具開発の集落は完全に廃墟し、隣国のホワイトラブリーへ移民したとの情報が入っておりますぞ!」
「なんだと!?」
「それだけではありません。すでに国の九割以上の住民がホワイトラブリー王国へ移民する計画を遂行しています」
「…………」
ロブリーは、ここで初めて考え直したのだった。
国を良くするために経費節約が重要だと考えていた。
だが、住民たちは全員が浪費家なのだとしょうもない人間がこの国には大勢いたのだと改めて判断した。
「好きにさせればいい」
「はい!?」
「所詮は浪費癖の激しい愚かなバカどもなのだろう。残ったまともな考えを持った少人数でも立派な国にできるはずだ」
「いえ、残りの人間は……」
「くどい!!」
宰相は、『残りの人間は移民すらできる金や人脈がいない者たちや囚人ですぞ』と言いたかったが、ロブリーがそれを拒否した。
「経費節約政策は続ける。それに、結界がどうのこうのと言っていたが、時代は変わったのだ。既に結界などなくともモンスターは襲ったりはしない。現状平和ではないか」
「そんなことがいつまで続くかはわかりませんぞ……」
「気もしないことに金をかけるほど無駄な行為は必要ない」
「陛下というお方は……」
さすがの宰相も限界だった。
このまま指示に従っていれば確実に国は潰れる。
それくらいの判断は宰相だけでなく、国に仕えているものなら誰でも理解していたのだ。
「なんだその目は? 文句があるのなら貴様とて出ていっても構わないのだぞ。年俸を払わずに済むのだからむしろ好都合と言えるが」
「左様ですか。さすがに今回の件では陛下についていけません」
ロブリーは宰相が出て行く分にはなんの問題もなかった。
残された安い年俸の部下たちが動かしていけばいいのだから、そう思っていたのだ。
「我々もみな、ホワイトラブリーへ移民します」
「うむ。古い考えしか出来ぬような者に国は任せられんからな……。ん? 今、皆と言ったか?」
「えぇ。私だけでなく、王宮にいる者たちは国を捨てます。私が陛下を説得できなければその覚悟を持っていたというわけです」
ロブリーはそれでも止めなかった。
宰相側について国を出て行く部下はせいぜい半分。
むしろ人件費を半分削れて好都合だと思っていた。
だが数日後、事件は起きる。
「む……今日は誰も起こしに来なかったのか。今何時だ?」
「おーい、だれかいないのか!?」
「静まりかえっている……。まさか!?」
ロブリーは王宮の隅から隅まで探し回ったが、誰もいなかったのだった。
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