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休暇の使いかた
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ホワイトラブリー王国へ来てから職業『聖女』に就いた。
そして今日は初めての休暇である。
ところで、休暇ってなにをすればいいのだろうか。
今まで働くことしかしてこなかった私にとっては、なにもしなくていい日はなにをしたらいいのかよくわからない。
ひとまず、今後王宮で迷わないように散策をしてみる。
「イデアよ、今日は休みだったな?」
「あ、クラフト陛下。お疲れさまです」
「普段は堅いあいさつはしなくともよいぞ。ところで、なにかしていたところか?」
「はい。なにをしたらいいのかわからなかったので、ひとまず王宮内を散策してました。仕事中に迷うことが無いようにしたくて」
「それも仕事ではないか……。休暇とは仕事のことは忘れて好きなことをしてくれて構わないのだよ?」
クラフト陛下は軽々とそんなことを言うが、私の社畜生活だったころのルーティンはそう簡単に消せるものではない。
ブラークメリル王国のころと違うことといえば、仕事をイヤイヤやっているわけではない。
むしろ楽しくなっている。
だから楽しく仕事ができるように、あらかじめ下準備を整えているのかもしれない。
このことをクラフト陛下に詳しく話した。
「そうか……。気持ちは大変嬉しい。だが、休むときは休んだほうがいい」
「先ほども言いましたが、なにをすればいいのかがわからなくて……」
「よし。私が人肌脱ぐとしよう」
「はい?」
気持ちは大変嬉しい。
だが国王ってそんなに自由気ままに行動していいものなのか?
「さぁ、きたまえきたまえ」
「え……あの……?」
段取りが非常にスムーズだ。
まるで、最初から私と行動するつもりで動いているかのようだ。
一体クラフト陛下は私をどこへ連れて行ってくださるのだろう。
♢
護衛や警備が周りにたくさんいる中、馬車に乗って街へ案内された。
「まだ王宮以外を散策したことはなかったのだろう?」
「はい。そうですが」
「美味しい店に案内しようと思っている」
「クラフト陛下自らですか!?」
「そうだ」
これは間違いなく事前に計画していたものに違いない。
国王という立場の人間が容易に街に出歩いたりしないだろうし、そもそも国務はどうしたんだ?
きっと、私のことを気遣ってくださり事前に打ち合わせをしていて、王宮内で偶然会ったと見せかけて私のことを気遣ってくださっている。
そう私は確信した。
「ありがとうございます! とっても嬉しいです」
「そうか。私も普段よく行く店で馴染みのある場所なのだ。楽しみにしててくれたまえ」
私は嘘はついていない。
行為自体はとても嬉しいし、ありがたい。
同時に街のことも少しは知っていけるだろう。
「ここだ」
「は、はい……」
案内された店は、王族が通う店というイメージとは少し違うような、予想外の感じだった。
そして今日は初めての休暇である。
ところで、休暇ってなにをすればいいのだろうか。
今まで働くことしかしてこなかった私にとっては、なにもしなくていい日はなにをしたらいいのかよくわからない。
ひとまず、今後王宮で迷わないように散策をしてみる。
「イデアよ、今日は休みだったな?」
「あ、クラフト陛下。お疲れさまです」
「普段は堅いあいさつはしなくともよいぞ。ところで、なにかしていたところか?」
「はい。なにをしたらいいのかわからなかったので、ひとまず王宮内を散策してました。仕事中に迷うことが無いようにしたくて」
「それも仕事ではないか……。休暇とは仕事のことは忘れて好きなことをしてくれて構わないのだよ?」
クラフト陛下は軽々とそんなことを言うが、私の社畜生活だったころのルーティンはそう簡単に消せるものではない。
ブラークメリル王国のころと違うことといえば、仕事をイヤイヤやっているわけではない。
むしろ楽しくなっている。
だから楽しく仕事ができるように、あらかじめ下準備を整えているのかもしれない。
このことをクラフト陛下に詳しく話した。
「そうか……。気持ちは大変嬉しい。だが、休むときは休んだほうがいい」
「先ほども言いましたが、なにをすればいいのかがわからなくて……」
「よし。私が人肌脱ぐとしよう」
「はい?」
気持ちは大変嬉しい。
だが国王ってそんなに自由気ままに行動していいものなのか?
「さぁ、きたまえきたまえ」
「え……あの……?」
段取りが非常にスムーズだ。
まるで、最初から私と行動するつもりで動いているかのようだ。
一体クラフト陛下は私をどこへ連れて行ってくださるのだろう。
♢
護衛や警備が周りにたくさんいる中、馬車に乗って街へ案内された。
「まだ王宮以外を散策したことはなかったのだろう?」
「はい。そうですが」
「美味しい店に案内しようと思っている」
「クラフト陛下自らですか!?」
「そうだ」
これは間違いなく事前に計画していたものに違いない。
国王という立場の人間が容易に街に出歩いたりしないだろうし、そもそも国務はどうしたんだ?
きっと、私のことを気遣ってくださり事前に打ち合わせをしていて、王宮内で偶然会ったと見せかけて私のことを気遣ってくださっている。
そう私は確信した。
「ありがとうございます! とっても嬉しいです」
「そうか。私も普段よく行く店で馴染みのある場所なのだ。楽しみにしててくれたまえ」
私は嘘はついていない。
行為自体はとても嬉しいし、ありがたい。
同時に街のことも少しは知っていけるだろう。
「ここだ」
「は、はい……」
案内された店は、王族が通う店というイメージとは少し違うような、予想外の感じだった。
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