つきせぬ想い~たとえこの恋が報われなくても~

宮里澄玲

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 繭子はたまたまネットで在宅ワークの存在を知って興味を持った。
 詳しく調べていくうちに、これからはクラウドソーシングといって、ネット上で企業が不特定多数に求人をかけて自社の業務を外部に発注するシステムが主流になっていくとのこと。未経験者でもできるものから高度な専門知識を要するものまで、さまざまな仕事の求人があるそうだ。仕事の単価も内容によってさまざまだが、最初は最低賃金でも、ミスなくきちんと納期を守り、仕事が早くこなせるようになると依頼が途切れずに来るようになり、それなりに稼げるようになるらしい。まあ、最初からそんなに上手くいくとは思えないが、社会復帰の足掛かりにはなりそうだ。何より在宅でできるのが魅力的だ。自分にもできそうな、興味を魅かれた仕事がいくつかあったが、仕事をもらうにはまずクラウドソーシングのマッチングサイトを運営する会社に登録しなければならない。口コミなどで信用できそうな会社を確認してから、とりあえず最大手の運営会社に必要事項や職歴、パソコンのスキルなどを入力して登録を済ませた。

 登録してから3日後、早速仕事の依頼のメールが来た。
 まさかこんな早く来るとは思わなかった。依頼内容を確認したところ、繭子でもできそうだったので、すぐに承諾の返信をした。注意点や納期などの詳細のやり取りをした後、データが送られてきた。化粧品メーカーが行った新製品のアンケート結果を集計し表計算ソフトに転記するという作業だった。一緒に送られてきたマニュアルにまず目を通した。この通りにやれば大丈夫そうだ。早速作業に取り掛かった。
 
 最初はマニュアルとにらめっこしながら慎重に作業を進めていたが、だんだんと慣れるにつれスピートアップし、分量もそれほど多くなかったこともあって早めに終わらせることができた。少し時間を置いてから、ミスがないかどうか何度も確認したあと、作成したデータを先方に送った。指定された納期よりも早かったため喜ばれ、また何かありましたらお願いしますね、と言われ、とても嬉しかった。

 1人で黙々とやる仕事は全く苦ではないし私に合っている仕事かもしれない、こういう仕事ならずっと続けられるかもしれない、何か小さな自信のようなものが繭子の中に生まれた。

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