7 / 12
労災調査士『ファイル22 墜落(レッコ)』 7
しおりを挟む
「それもありますが、彼の技術はしっかりとその関係を維持してくれました。いままで彼の行動に間違いはありませんでした」
「しかし今回事故が起きてしまった。山崎さんが先程説明してくれたように、左側の枠組み足場の上に田中さん、右の枠組み足場の上に関野さん、その段取り通り作業を進めていれば、とりあえず藤木さんの転落事故は防げた」
「竹垣さん、竹垣さんのおっしゃることはひとつずつ筋が通っているし、それが検証されていて実に分かり易い。ですが付き合いから生まれてくる信頼関係も大事ではないでしょうか。藤木さんの、五十年間無事故であったという自信と経験は、我々を安心させてくれるだけではなく、藤木さんと仕事をしていれば事故はないという『お守り』になっていました。藤木さんが、ただの経験年数が多いだけの先輩であるなら、こんな関係はとっくに破綻していたでしょう、彼の優れた技術、経験、自信が我々の安全作業の基礎にあったと言っても過言ではありません」
「山崎さん、藤木さんが長い間事故を起こさずにいたことは大竹工業の一員としても感謝しますし、その功労も称えたい。ですがたった一度のこの事故で、それが帳消しにされては不憫ではないでしょうか。この大不況の中、ほんとうに彼の怪我状態を心配していらっしゃるのはご家族と、数人の仲間だけでしょう。それ以外は、次の仕事に支障がきたさないように、この事故が明るみ出ることを嫌っています。重大災害でなかったことを、藤木さんの身体のことではなく、会社の、いや、自分自身の保身のために喜んでいるのですよ、情けなくありませんか。あなたがしっかりとリーダーシップをとっていれば、今回の事故は防げていたでしょう。藤木さんが『お守り』という安全神話もいいでしょう、でも勇気を持って一声かけられなかった山崎さんに過失はないでしょうか、『藤木さん、ちょっと待って、関野さんを枠組み足場に上らせるからそこにいてよ』と言えなかった。その遠慮が事故の引き金になったとは考えられませんか?」
山崎は、職人という、ましてや毎日命を張って仕事をしている鳶職にとって、信頼関係ほど重要なものはないと考えていた。一人では仕事にならないこの稼業、相棒が全てである。お互いが信頼し合い、命を預けられるから高所でも作業が出来るのだ。藤木は誰からも信頼してもらえる相棒であった。しかし、竹垣にそんなメンタルなことを言っても通じないだろうと思った。
一方の竹垣も、信頼関係ほど危険作業に重要なことはないと分かっていた。しかしそれだけに頼って、正しい手順を怠って欲しくない、技術があり、仲間から慕われ、無事故のベテランであっても、それをコントロールできるリーダーがベストであると山崎に分かって欲しかった。いや、山崎がそんな基本的なことを理解していないはずがない。事故の検証とはいえ、元受が下請けの職人達を集めて、意見を押し付けているに過ぎないのだ。山崎は切れる男である、二和建設のこと、自分達のことを考えて、言いたいことの半分も口にせずに、次の仕事のために我慢しているのだろうと竹垣は悟った。
「そうですね、私が、藤木さんが下りてくることを抑えれば、事故はなかったでしょう。反省します」
山崎は倉田の携帯が胸のポケットで震えているのに感付いた。そろそろお開きになるのだと思った。倉田は竹垣のてまえ、電話を取らずに、さも納得したように頷いていた。
「はい、ありがとう山崎さん。これは藤木さんをコントロール出来なかった山崎さんだけの問題ではありません。この仕事を山崎班に任命した現場副リーダー、それを見逃した正リーダーであり親方である織田さん、山崎さんにあてられた責任は順次、重みを増しながらあなた方に課せられるのですよ。充分に反省し、改善に努めてください」
竹垣も倉田の携帯が振動しているのを確認した。恐らく池田からの電話であろうと予想した。もう六時になろうとしている。すでに三時間が経過してした。
「あのやろう、電話でねえなあ、たぶん労務に説教くらってる最中なんだろう」
池田は着替えをすませ、現場事務所には不釣合いな革の椅子にふんぞりかえって言った。
「今日の労務はどちらさんですか、吉岡さん?」
「吉岡だったらもうとっくに街に繰り出してるよ、竹垣なんだよ、まったくついてねえよ。でも長居さん、起きてしまったことはしょうがねえけど、気をつけさせてくれよ。俺もあと二年だよ、ケチつけねえでくれな」
「はい、申し訳ありませんでした。さっき休憩室に寄って、がっちり言っておきましたから」
「ところで藤ちゃん退院だって?見舞いに行こうと思っていたけどもういいな。これ渡しといてくれや」
池田は見舞い金を長居に渡した。
「お気遣いありがとうございます、明日にでも渡してきます」
「藤ちゃんいくつになったんだ。俺が小僧のときから大竹でやってんだからなあ」
「えーっと今年六十五ですね」
「若いよなあ、考えられねえようなあ、若いもんの先頭に立ってよ、鉄骨の上歩ってんだからなあ。でもどうなんだ、俺の現場では高所作業を認めているけど、余所行ったら許可してくれないんじゃねえか」
大竹工業は基本的に高血圧者、六十歳以上の高所作業を認めていなかった。彼らには高所作業はしませんという誓約書を書かせ、ヘルメットに『高所作業不可』という赤いシールを貼らせるのである。藤木は高齢の上高血圧症であった。年に一度の健康診断を受けるたびに高血圧と診断され、『要治療』と書かれてしまう。それも軽症ではない、いつも最高血圧が二百近くある。診断された翌日にかかりつけの医者に行き薬をもらい、多少低めに書いてもらって提出していた。医者の診断書があれば現場サイドも問題なく受け入れる。
「どうだ、ぼちぼち引退を考えてもらった方がいいんじゃねえか、いくら若いつもりでいても力の衰えはあるだろう、握力も落ちるだろうし、足の踏ん張りだって効かなくなる。あんただってゴルフ行って感じるだろう」
「そうですねえ、これで引退させましょう。二子新地には連れて行かないようにさせます。所長の花道に泥塗られたらうちが困りますよ」
長居の言い方がひどく気になったが、池田としては危険因子をひとつでも減らして最後の現場に臨みたかった。ここまで無事故で活躍してきた藤井に感謝の念はあるが、仕方のない現実として余計な口を挟まないことが賢明であるとただ頷いてすませた。
「しかし遅いなあ」
掛け時計を見て池田はぼやいた。
「藤木さんの年齢は六十五歳ですね、六十五歳を一括りに同じ枠に収めてしまうのもどうかと思いますが、鳶職という一番危険な職種であり、それも最も危険なポジションにつけるというのはどうでしょうか、身体や反射神経の衰えとかは感じませんでした?どうです親方」
下へ向かうエレベーター内で池田に振られた織田は少し戸惑った。
「そうですねえ、鉄人てみんなから言われてるくらいですから並みの六十五歳じゃないのは間違いないでしょう。私も藤木さんと付き合ってから四十年近くになりますけど、衰えた様子は感じませんねえ」
山崎以外はみんな織田の話に相槌を打っている。
先週こんなことがあった。山崎、藤木、田中、関野のメンバーで搭屋の外部足場をかけているときであった。枠組み足場五段、高さ八メートル五十センチで、プロにとって危険を感じる高さではないが、最上段の手摺を取り付けているとき、足場のコーナーで、藤木がふらふらとよろめいたのを山崎は目にしていたのであった。藤木は手摺の縦棒につかまり、大事に至らなかったが、もしあそこに縦棒がなかったら墜落していて、こんな騒ぎではすまなかっただろうと想い出していた。
「何か思い当たることでもありますか山崎さん?」
「いえ、特に」
山崎は隠すことにした。
「そうですか、まあベテランには申し訳ないが、そろそろ第一線での作業は諦めていただいて、後進の指導にあたっていただいたらどうでしょう。余談ですが、最近高齢者が自主的に運転免許証を返納する例が増えていると聞きます。それは誰にでも例外なくやってくる『老い』という症状が原因による交通事故が頻繁に起きているからです。高い講習料を支払って取得した貴重な資格です。いくら齢を重ねたからとって、手放すには未練があるでしょう。しかし資格を持っていれば運転してしまう、そして万が一事故を起こせば、多くの人に迷惑をかけてしまう。将来を、家族を、仲間を思いやった勇気有る決断だと私も思いますがどうでしょうか、立派な職人を育てていただくことは、二和建設にも、大竹工業にとってもプラスになります。織田さん、つらい役でしょうが藤木さんを説得して、そういう方向に進めていけないでしょうか」
「はい分かりました。かなりショックでしょうがきっと分かってもらえると思います。もうこの現場は残り僅かですから、次の現場からは指導や下回りで活躍してもらうようにします」
「ありがとうございます」
「藤ちゃんてアメリカ映画の軍曹みたいな存在だから、一戦を退けって言われたら引退するかもしれないなあ」
田中が言った。
「そんなことねえだろう、蓄えだってないって本人も言ってるし、へばりついたって仕事辞めないよ」
岡田が自分の境遇と重ねてしみじみと言った。
「竹垣労務課長のおっしゃること、感動しました。会社としてもそういうスタンスで取り組んでいきます」
長居の息子が鳥肌の立つようなお世辞を言った。長井の息子を無視して竹垣が続けた。
「山崎さん、ひとつ疑問に感じたのですが、藤木さんはエレベーター室から下りるときに、なぜ安全帯をかけておかなかったのでしょうか?過去五十年間無事故だったベテランが、そんな基本的なことを忘れてしまうのでしょうか、出かける前にガスの元栓を締めるとか、玄関を出ると施錠するとか、日頃の安全チェックは、条件反射でするのではないでしょうか。日常当たり前に行っていることは記憶に残らず、出かけてから施錠したのか気になり、折角駅まで行ったのに戻って確認すると、取り越し苦労だったということが私もしばしばあります。藤木さんにとって命綱をかけるという動作は、それくらい反射的にすましてしまうことではなかったのでしょうか?それとも五十年間命綱を先行することなどなく、無事故だったのは、たまたま運がよかっただけだったのでしょうか?」
「多くのベテランは親綱先行、命綱使用の義務を得意としていません。ねじり鉢巻で、命を張る仕事を粋と考え、命綱などすること自体が恥ずかしいと言われていた時代から仕事をしてきた連中ですからねえ。しかし藤木さんは違います。率先して、若いもんにもうるさく指導していました。ですから竹垣さんの疑問に感じた、たまたま運がよかったと想像するのはあたっていません」
山崎ははっきりと否定したが、藤木を庇う意味もあった。竹垣が例にあげた施錠やガスの元栓のように、日常の生活習慣が、そのまま現場でも通用してなどいない。藤木が命綱をするタイミングを逸したのは、三角屋根に下りてからでも問題ないと、経験から得た自信があってそうしたのだ。だがそう言ってしまうと、やはり運がよかったのだと決め付けられるのが山崎は悔しかった。仲間として、大先輩の藤木を晒し者にしたくはなかった。
「とするとうっかりミスでしょうかねえ、それとも『老い』が影響しているのか」
「竹垣さん、私はミスでも老いでもないと思います。藤木さんの安全に対する意識は、他の職人達に比べると群を抜いています。運命だったと考えられませんか、女の子みたいで照れ臭いけど、神様が悪戯したとか、そんなふうには考えられませんか」
山崎は、事故の要因をひとつずつピックアップしては取捨していく竹垣のやり方にだんだん腹が立ってきていた。いくら原因をつきとめても、最終的には自分の身は自分以外に守ることは出来ない商売である。ノルマに追われて無理をしなければならないときもある。力を誇示するために仲間に見栄を張らなければならないときもある。そうやって先輩達はこなしてきた。ここにいる織田班の職人達も危ない思いをしたことは一度や二度ではない、間一髪死を免れた経験をした者もいる。危険体験をその都度監督に報告したりはしない、むしろ隠すことが賢明とされている。
「山崎さん、運不運でまとめられては私の立場がない。分かってください」
竹垣は笑って言った。辺りはすっかり薄暗くなり倉田の胸のポケットで震えている携帯電話のアンテナの先が蛍のように点滅している。
「さあ、いいでしょう、これで検証は終了としましょう。最後に一言だけみなさんにお願いがあります。それは気をつけて作業してくださいということだけです。私は、私の立場から事故を検証し、原因を突き止め、その防止策を練ります。でも事故のひとつひとつは、それぞれがほとんど関連なく、練り上げた策が役に立つことがあまりありません。自分の身は自分で守る以外にないというのは残念ながら当たっています。どんなに工法が進化しても、高所作業が必要なくなることはないでしょう。予算が削られ、工期が短縮されると、安い労働力に無理をさせざるを得なくなるでしょう。これからも新手の事故が発生し続けるでしょうが、私達に出来ることは事故の検証だけで、みなさんに安全作業を提供することは不可能だと思います・・・命綱を使ってください、親綱を先行して、命綱を引っ掛けてください。そうすればぶら下っても命は助かります。多少の怪我をしても、命さえ助かれば人生を続けることが出来ます。これをみなさんにお願いして今日の検証を終了とします。どうもご苦労様でした」
事務所の階段下には池田所長と長井が立っていた。黒塗りの車のウィンドウを運転手が拭いていた。
「ひとつ質問してもいいですか?」
関野が別れ際に竹垣に言った。
「なんですか、頭叩かないでやってくださいね」
関野を睨みつける田中に笑いながら言った。
「ありがとうございます。どうしてこんなにしっかりと検証したのに藤木さんは労災扱いにしてもらえないんですか?」
竹垣が答えに詰まってしまった。どう説明しても事故隠しの言い訳にしかならない。竹垣自身もこの業界の腐った慣例を元から正さなければ事故隠しはなくならないと考えていた。しかし今宵もその事故隠しの接待を受ける。関野の質問程的を得ていることはない。しかしその質問の答えは永遠に答えられないと竹垣は下を向いた。
「お疲れ様でした、ありがとうございます」
困っている竹垣を察して織田が今日の現場検証を労い解散となった。ヘルメットを叩く乾いた音が暗闇の現場にこだました。
(八)
平成十五年三月、開発会社三友地所、設計施工大竹建設、鳶工事二和建設の流れて、織田を親方とするグループが二子新地の八百戸の共同住宅新築工事に乗り込んだ。メンバーは織田直轄の、田中、高品洋二、瀬田武、岡田、応援の山崎と関野の七人である。ピーク時には当然まかない切れない員数ではあるが、この不景気で仕事にあぶれた職人はごろごろしていた。忙しいときにワンポイントとして、二日とか、三日とか、或いは今日一日だけとか、使用側のワンサイドでどうにでも都合がついた。もちろん手間の交渉権などなく、使用側の強気がまかり通る。二子新地に招集されたメンバーも横浜保土ヶ谷作業所を終えてから、安定した現場には恵まれていなかった。伝手を頼りに応援に出たり、他作業のアルバイトをしたりして日々の糧としていた。
去年墜落した藤木には声がかからなかった。完全に復調した藤木は声がかかるのを今か今かと待ち侘びていた。墜落したときの道具も作業着も縁起が悪いと一新した。足の捻挫は思ったより長くかかり、リハビリのために家から三十分の所にある川崎大師までのウォーキングを始めた。ウォーキングがてら毎日参拝し、怪我の回復と同僚の安全を祈願していた。そんな中藤木は仲のいい田中と連絡を取り合っていた。
「藤ちゃん、再来週から乗り込むよ二子新地。初日は待ち合わせして一緒に行こうよ」
「ああ、よろしく頼むわ、身体がなまってしょうがねえよ。金も底ついたし早く現場に出たい」
予定が立つと俄然ハッスルした。玄関の姿見の前に立って安全帯を装着し、道具の位置をピタと合うまで調整した。そしてピカピカのラジェットをガンマンみたいに抜いては挿すを繰り返していた。
「あれ、お父さん明日から仕事ですか?」
藤木の妻が玄関に揃えてある道具を見て訊ねた。
「いや、田中さんの話によるとたぶん来週からだな」
「だったらまだ十日もあるじゃないですか、邪魔だからしまっておいてくださいよ」
いてもたってもいられないのである。俺がいなければまとまらない。迷惑をかけた分仕事で返さなければならない。熱心で責任感の強い藤木はじっとしていることが罪に思えてならなかった。しかしそれは虚く空回りするのである。
「ああ田中さん、遅れてんのかい二子新地?」
十日後に藤木は待ち切れず田中に電話を入れた。
「親方から連絡なかった?そう、連絡するように言っておくよ」
田中の気まずそうな話し方が気になったが、現場の都合で少し延びたのだろうと考えた。そして二日後に織田から電話が入った。
「どう怪我の具合?」
声が上ずっていて、緊張しているのが伝わる。織田からの電話は暫くぶりであった。横浜のマンションで墜落し、自宅療養中に、無事竣工を迎えたからとの知らせ以来である。もう三ヶ月以上も前になる。
「ああ、どうもどうも、どう、いつからだい、二子新地?」
「それがさあ近隣ともめて延びちゃっているんだよ。乗り込む前には連絡するから」
「しかし今回事故が起きてしまった。山崎さんが先程説明してくれたように、左側の枠組み足場の上に田中さん、右の枠組み足場の上に関野さん、その段取り通り作業を進めていれば、とりあえず藤木さんの転落事故は防げた」
「竹垣さん、竹垣さんのおっしゃることはひとつずつ筋が通っているし、それが検証されていて実に分かり易い。ですが付き合いから生まれてくる信頼関係も大事ではないでしょうか。藤木さんの、五十年間無事故であったという自信と経験は、我々を安心させてくれるだけではなく、藤木さんと仕事をしていれば事故はないという『お守り』になっていました。藤木さんが、ただの経験年数が多いだけの先輩であるなら、こんな関係はとっくに破綻していたでしょう、彼の優れた技術、経験、自信が我々の安全作業の基礎にあったと言っても過言ではありません」
「山崎さん、藤木さんが長い間事故を起こさずにいたことは大竹工業の一員としても感謝しますし、その功労も称えたい。ですがたった一度のこの事故で、それが帳消しにされては不憫ではないでしょうか。この大不況の中、ほんとうに彼の怪我状態を心配していらっしゃるのはご家族と、数人の仲間だけでしょう。それ以外は、次の仕事に支障がきたさないように、この事故が明るみ出ることを嫌っています。重大災害でなかったことを、藤木さんの身体のことではなく、会社の、いや、自分自身の保身のために喜んでいるのですよ、情けなくありませんか。あなたがしっかりとリーダーシップをとっていれば、今回の事故は防げていたでしょう。藤木さんが『お守り』という安全神話もいいでしょう、でも勇気を持って一声かけられなかった山崎さんに過失はないでしょうか、『藤木さん、ちょっと待って、関野さんを枠組み足場に上らせるからそこにいてよ』と言えなかった。その遠慮が事故の引き金になったとは考えられませんか?」
山崎は、職人という、ましてや毎日命を張って仕事をしている鳶職にとって、信頼関係ほど重要なものはないと考えていた。一人では仕事にならないこの稼業、相棒が全てである。お互いが信頼し合い、命を預けられるから高所でも作業が出来るのだ。藤木は誰からも信頼してもらえる相棒であった。しかし、竹垣にそんなメンタルなことを言っても通じないだろうと思った。
一方の竹垣も、信頼関係ほど危険作業に重要なことはないと分かっていた。しかしそれだけに頼って、正しい手順を怠って欲しくない、技術があり、仲間から慕われ、無事故のベテランであっても、それをコントロールできるリーダーがベストであると山崎に分かって欲しかった。いや、山崎がそんな基本的なことを理解していないはずがない。事故の検証とはいえ、元受が下請けの職人達を集めて、意見を押し付けているに過ぎないのだ。山崎は切れる男である、二和建設のこと、自分達のことを考えて、言いたいことの半分も口にせずに、次の仕事のために我慢しているのだろうと竹垣は悟った。
「そうですね、私が、藤木さんが下りてくることを抑えれば、事故はなかったでしょう。反省します」
山崎は倉田の携帯が胸のポケットで震えているのに感付いた。そろそろお開きになるのだと思った。倉田は竹垣のてまえ、電話を取らずに、さも納得したように頷いていた。
「はい、ありがとう山崎さん。これは藤木さんをコントロール出来なかった山崎さんだけの問題ではありません。この仕事を山崎班に任命した現場副リーダー、それを見逃した正リーダーであり親方である織田さん、山崎さんにあてられた責任は順次、重みを増しながらあなた方に課せられるのですよ。充分に反省し、改善に努めてください」
竹垣も倉田の携帯が振動しているのを確認した。恐らく池田からの電話であろうと予想した。もう六時になろうとしている。すでに三時間が経過してした。
「あのやろう、電話でねえなあ、たぶん労務に説教くらってる最中なんだろう」
池田は着替えをすませ、現場事務所には不釣合いな革の椅子にふんぞりかえって言った。
「今日の労務はどちらさんですか、吉岡さん?」
「吉岡だったらもうとっくに街に繰り出してるよ、竹垣なんだよ、まったくついてねえよ。でも長居さん、起きてしまったことはしょうがねえけど、気をつけさせてくれよ。俺もあと二年だよ、ケチつけねえでくれな」
「はい、申し訳ありませんでした。さっき休憩室に寄って、がっちり言っておきましたから」
「ところで藤ちゃん退院だって?見舞いに行こうと思っていたけどもういいな。これ渡しといてくれや」
池田は見舞い金を長居に渡した。
「お気遣いありがとうございます、明日にでも渡してきます」
「藤ちゃんいくつになったんだ。俺が小僧のときから大竹でやってんだからなあ」
「えーっと今年六十五ですね」
「若いよなあ、考えられねえようなあ、若いもんの先頭に立ってよ、鉄骨の上歩ってんだからなあ。でもどうなんだ、俺の現場では高所作業を認めているけど、余所行ったら許可してくれないんじゃねえか」
大竹工業は基本的に高血圧者、六十歳以上の高所作業を認めていなかった。彼らには高所作業はしませんという誓約書を書かせ、ヘルメットに『高所作業不可』という赤いシールを貼らせるのである。藤木は高齢の上高血圧症であった。年に一度の健康診断を受けるたびに高血圧と診断され、『要治療』と書かれてしまう。それも軽症ではない、いつも最高血圧が二百近くある。診断された翌日にかかりつけの医者に行き薬をもらい、多少低めに書いてもらって提出していた。医者の診断書があれば現場サイドも問題なく受け入れる。
「どうだ、ぼちぼち引退を考えてもらった方がいいんじゃねえか、いくら若いつもりでいても力の衰えはあるだろう、握力も落ちるだろうし、足の踏ん張りだって効かなくなる。あんただってゴルフ行って感じるだろう」
「そうですねえ、これで引退させましょう。二子新地には連れて行かないようにさせます。所長の花道に泥塗られたらうちが困りますよ」
長居の言い方がひどく気になったが、池田としては危険因子をひとつでも減らして最後の現場に臨みたかった。ここまで無事故で活躍してきた藤井に感謝の念はあるが、仕方のない現実として余計な口を挟まないことが賢明であるとただ頷いてすませた。
「しかし遅いなあ」
掛け時計を見て池田はぼやいた。
「藤木さんの年齢は六十五歳ですね、六十五歳を一括りに同じ枠に収めてしまうのもどうかと思いますが、鳶職という一番危険な職種であり、それも最も危険なポジションにつけるというのはどうでしょうか、身体や反射神経の衰えとかは感じませんでした?どうです親方」
下へ向かうエレベーター内で池田に振られた織田は少し戸惑った。
「そうですねえ、鉄人てみんなから言われてるくらいですから並みの六十五歳じゃないのは間違いないでしょう。私も藤木さんと付き合ってから四十年近くになりますけど、衰えた様子は感じませんねえ」
山崎以外はみんな織田の話に相槌を打っている。
先週こんなことがあった。山崎、藤木、田中、関野のメンバーで搭屋の外部足場をかけているときであった。枠組み足場五段、高さ八メートル五十センチで、プロにとって危険を感じる高さではないが、最上段の手摺を取り付けているとき、足場のコーナーで、藤木がふらふらとよろめいたのを山崎は目にしていたのであった。藤木は手摺の縦棒につかまり、大事に至らなかったが、もしあそこに縦棒がなかったら墜落していて、こんな騒ぎではすまなかっただろうと想い出していた。
「何か思い当たることでもありますか山崎さん?」
「いえ、特に」
山崎は隠すことにした。
「そうですか、まあベテランには申し訳ないが、そろそろ第一線での作業は諦めていただいて、後進の指導にあたっていただいたらどうでしょう。余談ですが、最近高齢者が自主的に運転免許証を返納する例が増えていると聞きます。それは誰にでも例外なくやってくる『老い』という症状が原因による交通事故が頻繁に起きているからです。高い講習料を支払って取得した貴重な資格です。いくら齢を重ねたからとって、手放すには未練があるでしょう。しかし資格を持っていれば運転してしまう、そして万が一事故を起こせば、多くの人に迷惑をかけてしまう。将来を、家族を、仲間を思いやった勇気有る決断だと私も思いますがどうでしょうか、立派な職人を育てていただくことは、二和建設にも、大竹工業にとってもプラスになります。織田さん、つらい役でしょうが藤木さんを説得して、そういう方向に進めていけないでしょうか」
「はい分かりました。かなりショックでしょうがきっと分かってもらえると思います。もうこの現場は残り僅かですから、次の現場からは指導や下回りで活躍してもらうようにします」
「ありがとうございます」
「藤ちゃんてアメリカ映画の軍曹みたいな存在だから、一戦を退けって言われたら引退するかもしれないなあ」
田中が言った。
「そんなことねえだろう、蓄えだってないって本人も言ってるし、へばりついたって仕事辞めないよ」
岡田が自分の境遇と重ねてしみじみと言った。
「竹垣労務課長のおっしゃること、感動しました。会社としてもそういうスタンスで取り組んでいきます」
長居の息子が鳥肌の立つようなお世辞を言った。長井の息子を無視して竹垣が続けた。
「山崎さん、ひとつ疑問に感じたのですが、藤木さんはエレベーター室から下りるときに、なぜ安全帯をかけておかなかったのでしょうか?過去五十年間無事故だったベテランが、そんな基本的なことを忘れてしまうのでしょうか、出かける前にガスの元栓を締めるとか、玄関を出ると施錠するとか、日頃の安全チェックは、条件反射でするのではないでしょうか。日常当たり前に行っていることは記憶に残らず、出かけてから施錠したのか気になり、折角駅まで行ったのに戻って確認すると、取り越し苦労だったということが私もしばしばあります。藤木さんにとって命綱をかけるという動作は、それくらい反射的にすましてしまうことではなかったのでしょうか?それとも五十年間命綱を先行することなどなく、無事故だったのは、たまたま運がよかっただけだったのでしょうか?」
「多くのベテランは親綱先行、命綱使用の義務を得意としていません。ねじり鉢巻で、命を張る仕事を粋と考え、命綱などすること自体が恥ずかしいと言われていた時代から仕事をしてきた連中ですからねえ。しかし藤木さんは違います。率先して、若いもんにもうるさく指導していました。ですから竹垣さんの疑問に感じた、たまたま運がよかったと想像するのはあたっていません」
山崎ははっきりと否定したが、藤木を庇う意味もあった。竹垣が例にあげた施錠やガスの元栓のように、日常の生活習慣が、そのまま現場でも通用してなどいない。藤木が命綱をするタイミングを逸したのは、三角屋根に下りてからでも問題ないと、経験から得た自信があってそうしたのだ。だがそう言ってしまうと、やはり運がよかったのだと決め付けられるのが山崎は悔しかった。仲間として、大先輩の藤木を晒し者にしたくはなかった。
「とするとうっかりミスでしょうかねえ、それとも『老い』が影響しているのか」
「竹垣さん、私はミスでも老いでもないと思います。藤木さんの安全に対する意識は、他の職人達に比べると群を抜いています。運命だったと考えられませんか、女の子みたいで照れ臭いけど、神様が悪戯したとか、そんなふうには考えられませんか」
山崎は、事故の要因をひとつずつピックアップしては取捨していく竹垣のやり方にだんだん腹が立ってきていた。いくら原因をつきとめても、最終的には自分の身は自分以外に守ることは出来ない商売である。ノルマに追われて無理をしなければならないときもある。力を誇示するために仲間に見栄を張らなければならないときもある。そうやって先輩達はこなしてきた。ここにいる織田班の職人達も危ない思いをしたことは一度や二度ではない、間一髪死を免れた経験をした者もいる。危険体験をその都度監督に報告したりはしない、むしろ隠すことが賢明とされている。
「山崎さん、運不運でまとめられては私の立場がない。分かってください」
竹垣は笑って言った。辺りはすっかり薄暗くなり倉田の胸のポケットで震えている携帯電話のアンテナの先が蛍のように点滅している。
「さあ、いいでしょう、これで検証は終了としましょう。最後に一言だけみなさんにお願いがあります。それは気をつけて作業してくださいということだけです。私は、私の立場から事故を検証し、原因を突き止め、その防止策を練ります。でも事故のひとつひとつは、それぞれがほとんど関連なく、練り上げた策が役に立つことがあまりありません。自分の身は自分で守る以外にないというのは残念ながら当たっています。どんなに工法が進化しても、高所作業が必要なくなることはないでしょう。予算が削られ、工期が短縮されると、安い労働力に無理をさせざるを得なくなるでしょう。これからも新手の事故が発生し続けるでしょうが、私達に出来ることは事故の検証だけで、みなさんに安全作業を提供することは不可能だと思います・・・命綱を使ってください、親綱を先行して、命綱を引っ掛けてください。そうすればぶら下っても命は助かります。多少の怪我をしても、命さえ助かれば人生を続けることが出来ます。これをみなさんにお願いして今日の検証を終了とします。どうもご苦労様でした」
事務所の階段下には池田所長と長井が立っていた。黒塗りの車のウィンドウを運転手が拭いていた。
「ひとつ質問してもいいですか?」
関野が別れ際に竹垣に言った。
「なんですか、頭叩かないでやってくださいね」
関野を睨みつける田中に笑いながら言った。
「ありがとうございます。どうしてこんなにしっかりと検証したのに藤木さんは労災扱いにしてもらえないんですか?」
竹垣が答えに詰まってしまった。どう説明しても事故隠しの言い訳にしかならない。竹垣自身もこの業界の腐った慣例を元から正さなければ事故隠しはなくならないと考えていた。しかし今宵もその事故隠しの接待を受ける。関野の質問程的を得ていることはない。しかしその質問の答えは永遠に答えられないと竹垣は下を向いた。
「お疲れ様でした、ありがとうございます」
困っている竹垣を察して織田が今日の現場検証を労い解散となった。ヘルメットを叩く乾いた音が暗闇の現場にこだました。
(八)
平成十五年三月、開発会社三友地所、設計施工大竹建設、鳶工事二和建設の流れて、織田を親方とするグループが二子新地の八百戸の共同住宅新築工事に乗り込んだ。メンバーは織田直轄の、田中、高品洋二、瀬田武、岡田、応援の山崎と関野の七人である。ピーク時には当然まかない切れない員数ではあるが、この不景気で仕事にあぶれた職人はごろごろしていた。忙しいときにワンポイントとして、二日とか、三日とか、或いは今日一日だけとか、使用側のワンサイドでどうにでも都合がついた。もちろん手間の交渉権などなく、使用側の強気がまかり通る。二子新地に招集されたメンバーも横浜保土ヶ谷作業所を終えてから、安定した現場には恵まれていなかった。伝手を頼りに応援に出たり、他作業のアルバイトをしたりして日々の糧としていた。
去年墜落した藤木には声がかからなかった。完全に復調した藤木は声がかかるのを今か今かと待ち侘びていた。墜落したときの道具も作業着も縁起が悪いと一新した。足の捻挫は思ったより長くかかり、リハビリのために家から三十分の所にある川崎大師までのウォーキングを始めた。ウォーキングがてら毎日参拝し、怪我の回復と同僚の安全を祈願していた。そんな中藤木は仲のいい田中と連絡を取り合っていた。
「藤ちゃん、再来週から乗り込むよ二子新地。初日は待ち合わせして一緒に行こうよ」
「ああ、よろしく頼むわ、身体がなまってしょうがねえよ。金も底ついたし早く現場に出たい」
予定が立つと俄然ハッスルした。玄関の姿見の前に立って安全帯を装着し、道具の位置をピタと合うまで調整した。そしてピカピカのラジェットをガンマンみたいに抜いては挿すを繰り返していた。
「あれ、お父さん明日から仕事ですか?」
藤木の妻が玄関に揃えてある道具を見て訊ねた。
「いや、田中さんの話によるとたぶん来週からだな」
「だったらまだ十日もあるじゃないですか、邪魔だからしまっておいてくださいよ」
いてもたってもいられないのである。俺がいなければまとまらない。迷惑をかけた分仕事で返さなければならない。熱心で責任感の強い藤木はじっとしていることが罪に思えてならなかった。しかしそれは虚く空回りするのである。
「ああ田中さん、遅れてんのかい二子新地?」
十日後に藤木は待ち切れず田中に電話を入れた。
「親方から連絡なかった?そう、連絡するように言っておくよ」
田中の気まずそうな話し方が気になったが、現場の都合で少し延びたのだろうと考えた。そして二日後に織田から電話が入った。
「どう怪我の具合?」
声が上ずっていて、緊張しているのが伝わる。織田からの電話は暫くぶりであった。横浜のマンションで墜落し、自宅療養中に、無事竣工を迎えたからとの知らせ以来である。もう三ヶ月以上も前になる。
「ああ、どうもどうも、どう、いつからだい、二子新地?」
「それがさあ近隣ともめて延びちゃっているんだよ。乗り込む前には連絡するから」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ランの父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリーだった。
ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。
学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。
当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。
同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。
ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。
そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。
まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。
その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。
こうしてジュリーとの同居が決まった。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる