劣情過分の恋情未満【R18】

こいなだ陽日

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【5】剃毛します!☆

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「あの、なんでアルマンにあんなことを言ったんですか! 変に思われたらどうするんですか!」
 オズに手を引かれながら、エスティーナが強い口調で問いかけた。オズは飄々と応える。
「すまない。嫉妬した」
「え、えええ……」
 妙に正直に答えられて、毒気が抜けてしまった。それと同時に、嬉しいという気持ちが少しだけこみ上げてくる。
 繋がれた手が、妙に熱い気がした。胸の奥がむずむずして、いったい何だろうと思っていると、あっという間に屋敷までつく。
 屋敷につくなり、オズは「土のことで試したいことがある」と客室の周囲の人払いをして、エスティーナを部屋に迎え入れた。そして、窓と扉に結界を張る。
「わあ……!」
 魔術用の土詰めをしているものの、エスティーナが魔術を実際に目にするのはこれが初めてだ。きらきらと窓や扉が光る様子はとても綺麗で、わくわくしてしまう。
「これで窓から中が覗かれることもないし、音が外に漏れることもない。……さて」
 客室には水道がついており、桶に水を汲むと、オズは荷物から剃刀を取り出した。男性は髭を剃る必要があるので、泊まりの仕事の場合には必ず持ち歩くのだろう。
「エスティーナ。剃刀は使ったことがあるか?」
「うっ……な、無いです」
 体毛が薄いエスティーナは無駄毛処理などしたことが無い。よって、剃刀は縁が無かった。
 剃刀の刃はナイフに比べたら小さいがとても鋭く、肌に当てるとなれば怖いと思ってしまう。
「そうか……。では、わたくしが剃るしかあるまいな」
 そう言って、オズは少し嬉しそうに笑った。
「……はい?」
「わたくしは毎朝髭を剃っているのだが、一度も失敗したことが無い。安心して任せるがいい」
「い、いや、待って、ちょっと待ってください!」
 エスティーナは服の上から股間を押さえて後ずさった。
「なんでそうなるんですか! やります、自分でやります!」
「夢の中では何度も情を重ねている。そなたの肌は見慣れているし、いまさら恥ずかしがることもないだろう」
 オズは剃刀を片手にじりじりと距離を詰める。
「で、でも!」
「……髭の生えてきた若い魔道士が、顔に傷をつけて出仕するのをよく見る。傷がついたらどうするつもりなのだ? まさか、その部分を医師に診てもらうつもりか? このような小さな村だ。医師もきっと男であろう」
「う……」
「わたくしは手先の器用さには自信がある。初めて髭が生えた時から今まで、剃刀で顔に傷をつけたことは一度たりとも無い。安心してわたくしに任せるがいい」
 エスティーナはオズの手に光る剃刀を見た。確かに、自分で剃刀を使うのは怖い。しかも、場所が場所だけに絶対に怪我をしたくはない。
 彼には裸を見られているも同然だし……と、結局エスティーナは頷いてしまった。
「そういえば、オズ様。私が返事をする前に、人払いとか、結界とか張ってましたよね? まさか、はじめからこのつもりで……?」
 エスティーナが問いかけると、オズは真顔で答える。
「わたくしの魔術の再現度がどれほどのものなのか、実物を見たかったのだ」
「じ、実物……」
 そういえば目の前のこの男は童貞だったことをエスティーナは思い出した。女性器を見たことが無いのなら、具現化したものが真に正しいのかどうかも分からないのだろう。
 そして、オズは剃刀を片手に、実に機嫌が良さそうに言った。
「そなたの体を傷つけたくないというのも紛れもない本心だ。さあ、エスティーナ。わたくしに身を任せてくれ」



 ベッドに上ると腰の部分に大きなタオルを敷き、その上にエスティーナは寝そべった。下肢には何も身につけておらず、一応タオルを下腹部の上にかけている。
 オズは石鹸を泡立てると、エスティーナのタオルを取り払った。
「おお……」
 オズがごくりと喉を鳴らす。そういえば、夢の中で何度も体を重ねたものの、恥毛を見られたことは無いはずなので、急に恥ずかしくなった。うっすらと生えた下生えが、彼の目にさらされている。
「エスティーナ。危ないから、動くでないぞ」
「は、はい」
 恥ずかしさもあれど、恐怖心もこみあげてきて、エスティーナの体が強張る。
 オズの長い指先が恥丘に触れ、泡をのせた。
「ひうっ!」
 ぴくりと腰が跳ねる。
「まだ剃刀を持っていないからよいが、危ないぞ」
「わ、分かってますが……、んうぅ」
 オズの手が恥丘の上を動き、肌と下生えに泡をなじませる。そのぬるぬるとした感覚に、ぞくぞくとしたものがこみ上げてきた。
「では、これから剃刀を使う」
「はい……っ」
 冷たい刃の感触に、エスティーナは下腹に力をこめた。拳を握りしめる。
 しょり、しょりという音が耳に響く。怖かったけれど、彼の言うとおり手先が器用なのか、動きに迷いはなく早い。時折彼の息が肌をくすぐってきたけれど、ぐっとこらえた。
 さらに、恥丘をすべるこの剃刀がオズがいつも髭を剃っているものだと思うと、なんだか変な気分になってしまう。剃刀を用意すれば良かったと思うものの、既に手遅れだった。エスティーナはぎゅっと瞳を閉じる。
「できたぞ」
「えっ、もう?」
 それは、あっという間だった。オズは濡れた布で下腹部を拭っていく。すると、そこにはつるんとした恥丘があり、下生えは全て綺麗に剃られていた。しかし、すこし剃り痕がひりつく。
 それを分かっているのか、オズは、
「少しひりひりするだろう。これを塗っておく」
と言うと、小瓶を取り出し恥丘に塗っていく。それはぬるりとした液体で、ひりつきがましになった。
「ありがとうございま……」
「少しだけ……触れてもいいか?」
「はっ?」
「触れてもいいかと聞いているのだ」
 流石は人の上に立つ筆頭魔導士とあって、有無を言わせぬ迫力がある。エスティーナは圧倒されてとりあえず「は、はい」と応えると、オズは彼女の足を開き、その間に己の顔を埋めた。
「えっ?」
 次の瞬間、彼の薄い唇がエスティーナの秘部に押し当てられる。
「んあっ!」
 ちゅっ、ちゅっと、いつも夢の中でしていたように、オズの唇はエスティーナの秘部に口づけた。
「んっ、はぁあ……!」
 口づけは何度も繰り返される。角度を変えられると肉芽に高い鼻が当たり、甘い痺れが走った。
「っ、あぁ……」
 夢の中では、こんなことをされたことがない。オズはほとんど前戯をしなかったが、相手が土人形なら当たり前のことだろう。
 だが今、彼は夢中でエスティーナの秘処に口づけている。そして、オズの舌がエスティーナの蜜口にぬるりと侵入してきた。
「ああっ!」
 びくんとエスティーナの腰が跳ねる。それでもオズは止まらず、ぬちゃぬちゃと舌を抜き差しした。
 夢の中では何度も貫かれていたけれど、初めて味わう舌の感触に、エスティーナはあっという間に高みに持っていかれる。
「やっ、あ……も、もう、私……」
 腰がぷるぷると震えると、オズは強く吸い上げてくる。彼の口内まで引っ張られた蜜口が彼の歯に触れた瞬間、エスティーナの体を強い衝撃が駆け抜けた。
「――――っ、ああ……!」
 どっと奥から愛液が溢れてオズの顔を濡らし、エスティーナはぴんと足の指先まで伸ばしたあと、くたりと四肢をベッドに沈める。
「これが、本物……」
 絶頂の余韻でひくつく蜜口を、オズはうっとりとした瞳で眺めていた。
 それは、彼が土人形の術で見ていたエスティーナの体と見た目は同じである。しかし、実物のほうが生々しさがあり、体液の味も彼の情欲を煽った。
「も、もう一度……」
 舌を這わせようとしたところで、エスティーナが秘処を手で隠した。
「エスティーナ?」
「……オズ様。私ばっかりでは、いけませんよね? オズ様も気持ち良くなられないと」
 エスティーナはむくりと体を起こすと、オズの下肢に触れた。服の上からでも、彼のものが張り詰めているのが分かる。
「ま、まさか……」
「そのまさかです。私だって、触れていいですよね?」
 オズが実物の感触を味わいたいと思っているのなら、エスティーナだってそうだ。散々夢の中で自分を貫いてきたものの感触を味わってみたい。
 エスティーナは常々、夢の中で自分の体が自由に動くのなら、あんなことやこんなことをするのに……と思っていた。その機会がおとずれたのだから、大人しくなんてしていられない。オズだってエスティーナに触れたのだから、エスティーナにだって彼に触れる権利はあるはずだ。文句は言わせない。
 エスティーナはオズの服をくつろがせた。狭い布の下から解放され、ぴんと勃ち上がったそれは、先端に透明なものを滲ませている。夢の中とは違い、生々しい雄の匂いがしてエスティーナの気分が昂揚した。
 それは夢でみたものと同じ形だったけれど、やはり本物の持つ迫力は違う気がする。
「ん……」
「……ッあ!」
 エスティーナはその部分を口に含む。夢の中でいつも自身を貫いているものだからこそ、嫌悪感は無かった。口の中に感じる熱に、これは夢ではなく現実なのだとどきどきする。
 エスティーナは処女であるものの、夢の中では経験豊富だ。さらに性におおらかな土地だから、友人からその手の話は沢山聞いている。
 だから、彼女には口淫の知識があった。
 強く激しく吸ったあとは、優しくゆっくりと吸い、緩急をつけながら裏筋にそって舌を這わせる。
「ア……ッ、く……」
 オズの体が微かに震えた。気持ちよさそうだ。
「んっ……」
 陰嚢を手で優しく揉みしだきながら、顔を動かして彼のもの口全体で奉仕した。
「ッあ……、ん」
 オズの口から掠れた声が漏れ、妙に色っぽくて下腹が熱くなる。
「んふ……んっ、んむ……」
 仕事のためにエスティーナが処女を守っていることは、友人たちは知っていた。だからいざという時のためにと、それはもう色々と教えてくれた。わざわざバナナで実演してくれた友人を、当時は大げさだと思いながらも、今は感謝する。とても役に立っている。
「ま、待て……ッ、エスティーナ……」
 オズがいっそう苦しそうな声を上げた。エスティーナはわざと強く吸い上げる。
「……ッ、あ……!」
 舌先で鈴口をつつくと、びくんと、エスティーナの口の中でそれははじけた。熱い雄液が口内に満たされていく。
「……っん」
 少し渋いような、微妙な味だった。口内を満たす白濁をどうしようかと少し悩んだあと、エスティーナはそれをこくりと嚥下する。
「…………!」
 そのエスティーナの様子を、オズは目を見開いて眺めていた。
「あまり美味しくないですね」
「あ、いや……、……す、すまない」
「謝らなくてもいいですよ。それより、オズ様も顔を拭いてください」
 オズの顔はエスティーナの蜜でてらてらと濡れている。視線が交わると、お互い苦笑してしまった。だが、悪い気分ではない。体を繋げているわけではないので、夢の中に比べたら全然たいしたことはしていないが、それでも実際の相手に触れたという満足感がある。
 そして二人はそさくさと体を綺麗にした後、再び土の場所へと向かった。
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