今さら跡継ぎと持ち上げたって遅いです。完全に心を閉ざします

四話

「気にするよ。僕の妻になるんだよ？」

　私はそんなこと少しも聞いたことがない。家柄的には私がもし魔法レベルが高かったら有り得た話だけど両親が私を外に出すとは思えない。まず不正で捕まっているはず。

　両親が世に私を出さないのは理由がある。私が五歳までの間で不正の証拠を何度も見てしまっているからだ。普通に家の者として見せたのだろうが魔法レベルがなかった。成人をすぎたらすぐにでも追い出したいが証拠を見てしまっている。すると追い出すこともできない。

　自殺防止も毎年一回来る貴族学園に通ってない者についての調査の為だ。毎年一回豪華な服を着せられふわふわのベット寝てろと言われる。それだけの為だ。あと一年で成人で検査が無くなるため自殺に見せかけて殺す予定だと使用人達が陽気に話していたのを聞いたことがある。

「両親や兄弟達から説明を受けておりません」

　この答えは現状を把握するために大切なものとなる。両親のみが捕まったのか兄弟達も捕まるのかそして私も捕まるのか。

「そうだよね！だって説明する前に全員流行病で死んじゃったんだから」
「───っ」

　お気楽そうに話すテル王子。普通だったらこんな態度を怒る他ない。だけど私は酷いのかもしれないがほっとした。私を苦しめる存在がいなくなったから。

　多分、当主として女性がなるのは難しいから王家からの通達でテル王子が私の婚約者になったのだと思う。別にそれはいい。テル王子は今のところ私に何もしていない。とりあえず私は影をひそめてお金をなるべく使わないように。